アンタが言うなアンタが…

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アンタが言うなアンタが…
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世界で最も売れた,
「ウォール・ストリート・ジャーナル」
を販売するセールスレター。

「美しい春の夕暮れ時,二人の若者が同じ大学を卒業しました。彼らはとてもよく似ていました…」
という書き出しは非常に有名です。
コピーライティングを学んだことがある人なら,誰でも知っていることでしょう。

このウォール・ストリート・ジャーナルのセールスレターは知らなくても,このセールスレターをパクったセールスレターを目にした人は,もっと多いのではないでしょうか。
「ある二人の若者がいました」
という感じの,ストーリー型です。

ストーリーだと読みやすかったり注目を得やすいため,非常に効果があります。
…けれど,ウォール・ストリート・ジャーナルのセールスレターは,決してストーリーが優れているから,だけではありません。

でなければ,20年以上に渡って,1000億円以上もの売上を上げ続ける,なんて結果にはならないでしょう。

このオープニング以外でも,非常に優れた点がたくさんあります。
今日は,そのうちの1つを紹介します。

先日,あるコピーを見かけました。
詳しい表現は忘れましたが,
「あなたはラッキーですね」
といった書き方をしていたように思います。

…が。
そのサービスを売る販売者側が,
「このサービスを買えて,あなたはラッキーですね」
と言われたら,どう感じるでしょうか。

私が感じたことを,今日のタイトルにしました。
「アンタが言うなアンタが…」
です。

北海道の,某和菓子会社「わかさ◯も」が,「おいしいま◯じゅう」という名称のまんじゅうを売っています。
本当に酷いネーミングです。

料理を作った人が,食べた人に,
「これおいしかったでしょ,おいしいって言えよコラ」
くらいのノリを,このネーミングから感じます。

おいしいかどうかは,食べた顧客側が判断することです。

もうちょっとエグい表現をするならば,女の子が,
「私ってかわいいよね…っていうか,かわいいって言えよボケ」
くらいな感じでしょうか。
あざとさを通り越して薄気味悪さすら感じます。

話を戻します。

同じように,そのオファーが本当にラッキーかどうかは,それを読んだ見込み客が判断することです。
それを自分で「こんなラッキーはもうないかもしれません」などと言ったら,
「アンタが言うなアンタが…」
とツッコミを入れたくなります。

繰り返しますが,ラッキーと感じるのは,顧客側です。
売り手側ではありません。
…こんなふざけたコピーで,顧客ができれば,まさにラッキーでしょう。

では,どうすればいいのでしょうか。

反対の視点で考えればいいのです。
「どうすれば,顧客が『ラッキー』と感じるだろうか」
と考えてコピーを書けばいいのです。

あるいは,
「どうすれば,『おいしそう』と思ってもらえるだろうか」
と考えながらコピーを書けばいいのです。
言うまでもありませんが,「おいしい」と感じるのは,それを食べた後です。
でも,食べる前に売らなければいけません。
ですので,「おいしい」ではなく「おいしそう」と感じてもらうための努力が必要になります。

この点について,かのウォール・ストリート・ジャーナルのセールスレターが巧く表現しています。
個人的には,冒頭のストーリーの流れと同じくらい巧い表現だと思っています。

それが,この表現です。

「(前略)このおためし購読をいつでもキャンセルすることができ,まだお届けしていない分の料金は返金いたします。
このご提案が,フェアで同意できる内容だと思われるのでしたら(以下略)」

ウォール・ストリート・ジャーナルは一定期間(最低13週間)の申込を受けたにも関わらず,いつでもキャンセルできて,かつ未配送分については返金する,という提案です。

ちょっと思い出してみて下さい。
携帯電話のいわゆる「2年縛り」をご存知でしょうか。
いつでもキャンセルは可能ですが,キャンセルした時点で,相応の額の違約金が請求されます。

それに比べたら,違約金もかからず,前払い済みで未配送分の料金は返金する,というのは,まさに「フェア」という他ないでしょう。

最近は全額返金保証というリスクリバーサルが増えてきました。
ですので,この全額返金保証であれば,購読済みであったとしても,全額返金する,という流れにはなります。
ですが,リスクリバーサルは,売手側がより重い責任を負って立つ覚悟を示すものです。
そういう意味では「フェア(正当)」ではありません。リスクリバーサルは,フェアを超える姿勢です。

話を戻します。
ウォール・ストリート・ジャーナルの販売側としては,フェアな提案をしている,と思っているわけです。
そこを,「これってフェアですよね」と言ったら,「アンタが言うなアンタが…」となってしまいます。

そこで,
「このご提案が,(顧客であるあなたにとって)フェアで同意できる内容だと思われるのでしたら」
と,一見すると,ちょっと回りくどい表現…ですが,極めて妥当な言い回しになるのです。

このコピーを写経(手書きで書き写すコピーライティングの訓練)をするときに,
「ああ,こうやって,言いたいことを自分で言わずに顧客に思ってもらう表現をするのだな」
と学びました。

あなたが言いたいことは,あなたが言ってはいけません。
どうしたら顧客にそう思ってもらえるかを描写してください。

あなたがよりアップスタッツな明日になりますように。
セールスコピーライター 飯山陽平

追伸
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