ニーズを尋ねるという暴言

ニーズを尋ねるという暴言

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無邪気な子どもが、何の悪意もなく、人を傷つける暴言を吐くことがあります。
その裏にあるのは、無知です。知らないことが人を傷つけるのです。
ということで、今日はある女性アナウンサーが、決して言うべきではない暴言を吐いた、という話です。

テレビ東京の経済系ニュース番組「ワールドビジネスサテライト」において、「トレンドたまご」というコーナーがあります。
同番組ホームページによると、
「新商品・新サービスの『卵たち』を体験レポート!」
とのこと。

ある開発中の新製品について、
「トレたまレポーター」こと、この女性アナウンサーが、その開発者に暴言を吐きました。

見ていた私は、その暴言に唖然。
その開発者も固まっていました。

では、彼女はどのような暴言を吐いたのでしょうか。それは次の通りです。
「それって必要ですか?」

これ以上辛辣な言葉は思いつかない…くらいの酷い暴言です。
なぜなら、
「それって必要ですか?」
と尋ねる、ということは、
「(私にとってそれはどう考えても必要性を感じないのでよくわかりません。だから教えてください。)それって必要ですか?」
というメッセージになります。

もちろんこの()の部分を彼女は言ったわけではありません。
言ってはいませんが、その意図は無意識に相手に…そして視聴者に伝わるのです。

クリエイティブなアイディアを抱くにあたって、最大の敵は「否定」です。
そのアイディアやその人自身を否定することが、非常に効果的なダメージになります。
こうやって、彼女は「トレンドたまご」を叩き潰していくのでしょう。

さて、本題です。
コピーライティングの観点から、
「それって必要ですか?」
という質問がまずい理由があります。

なぜなら、人は「必要だから買い物をする」ことはほとんどないからです。

マーケティングにおいて、よく
「ニーズ(必要性)」
という言葉が使われます。

例えば、
「顧客のニーズを探る」
などといった言い回しをします。

一世代前には、この言葉でも問題ありませんでした。
ですが…今の時代においては、「ニーズ」という言葉は通用しません。

例えば、1950年代後半の神武景気に湧く日本において、家電三種の神器などと言われるものがありました。
冷蔵庫、洗濯機、テレビです。

もう…この頃には「ニーズ」ではないのです。

ニーズではないのなら、そのニーズに変わるものは何なのでしょうか。

「2003年(平成15年)1月31日の施政方針演説で、小泉純一郎首相は、食器洗い乾燥機・薄型テレビ・カメラ付携帯電話を「新三種の神器」と命名し、「欲しいものがないといわれる現在でも、新しい時代をとらえた商品の売れ行きは伸びている」と述べた。」
(ウィキペディアより)

この中に答えはあります。
それは「欲求(ウォンツ)」です。

今の時代において、9割以上が、「ニーズ」ではなく「ウォンツ」によって人は買うのです。

先ほどの女性は、1950年代にタイムスリップすることがあれば、テレビを欲しがっている人に、
「それって必要ですか?」
と尋ねるような、それだけ滑稽な質問でもあります。

この時代のテレビは、ある意味象徴的な代物でもあります。
「それが買えるだけ豊かになった」
ということを実感するためのものです。

人はテレビを見なくても死にはしません。
生活はできます。
それでも…手に入れることで、満足感や充実感、優越感などを得たいから買うのです。

ニーズではなくウォンツなのです。

ニーズに訴求すると、その商品やサービスはコモディティ(一般消耗品)化します。

もちろん、今の時代でもニーズに基づく買い物はします。
例えば、トイレットペーパー。
このような消耗品は、買わざるを得ません。

では、トイレットペーパーはいくらするのでしょうか。
1ロール500円するようなものは売られているのでしょうか。

このような一般消耗品に成り下がると、当然ですが、価格も下がります。
大企業による大量生産品と勝負することになります。

ニーズにアプローチしてはいけないのです。
ウォンツにアプローチして、
「欲しい」
と思ってもらい…最終的には
「必要だ」
とまで思ってもらえるようにして、販売する、ということができれば、価格競争を回避できるのです。

もちろん、一般的には「ニーズ」という言葉を使います。
顧客も普通に「ニーズ」と使ったり「必要性」などということもあります。

だからといって、必要だから買う、ということではないのです。
ニーズにスポットを当て、
「それって必要ですか?」
と言われたら…世の中の大多数の商品やサービスは
「どうしても必要というわけではない」
ことになります。

必要性だけだったら…きっとこの女性アナウンサーも不要な存在です。

「必要」
という本来の意味で捉えてはいけないのです。
欲求、ウォンツにアプローチしなければならないのです。

 

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