パクり論 どうすれば倫理的法的かつ合理的にパクれるか

パクり論 どうすれば倫理的法的かつ合理的にパクれるか

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1934年9月。ドイツニュルンベルクにて、国家社会主義ドイツ労働者党(いわゆるナチス党)の第6回全国党大会にて。

アドルフヒトラーの演説に、こんな一節がありました。

「国が我々に命令するのではなく、我々が国に命令するのだ。」

1961年1月20日。ワシントンD.C.米国連邦議会議事堂にて、アメリカ合衆国大統領ジョン・F・ケネディによる就任演説にこん一節があります。

「国があなたのために何をしてくれるかではなく、あなたが国のために何ができるかを考えようではありませんか」

最近,デザインについて「パクり」疑惑で世間を騒がせています。

パクる(日本語俗語辞典より)
「パクるとは物を盗むという意味で、不良に使われた言葉である。1980年代に入ると音楽や小説などの作品、さらにキャラクターやブランドなどで、他者のアイデアや特徴を流用、真似することもパクるというようになる」

個人的には,
「いやそれはないだろ,どう見てもパクり」
と思うものもあれば,ネットでパクリと叩かれているモノであったとしても,
「いや,これはセーフじゃない?」
と思うモノもあります。

そこで,私なりに,どのようにパクリ…もとい,創造的に模倣するのか,思う事を書いていきます。

まず,大前提ですが,全くゼロから生み出すことは不可能だ,ということです。
無から有を作り出すことは出来ないのです。
出来るかもしれませんが…事実上立証は不可能でしょう。

かの発明王,トーマス・エジソンは,1300もの発明をしたと言われています。
ところが,ほとんどが「改良発明」であり,本当に全く新しいものを生み出した発明はたった1つ,だという話を耳にしたこともあります。

「天才」と称えられるトーマス・エジソンですら、1300分の1しかないのです。
凡人たる私達に、無から有を生み出す発想はどれだけできるでしょうか。

本当の意味で、無から有を生み出すような発想ができた時、その人は歴史に名を残すことになるでしょう。
ただ…多くの人は歴史に名を残すことを目的に仕事をしているわけではありません。
デザイナーならば、クライアントの依頼に基づいて、その目的に適うデザインを制作することにあります。

コピーライターも、素晴らしい文章を作ることが目的ではありません。
「売る」ことが目的となるでしょう。

無から有を作り出すのは、事実上不可能であり、現実的ではありません。

だからといって、パクることも許されません。

うまくパクった…と思われる例を紹介します。

遠い遠い記憶の彼方、学生時代に習ったことがあるのではないでしょうか。それは、本歌取り。
「典拠のしっかりした古歌 (本歌) の一部を取って新たな歌を詠み,本歌を連想させて歌にふくらみをもたせる技法。」
です。

ここで重要なのは、「典拠のしっかりした」「本歌を連想」この2つです。
前者は盗作とか、法的な問題以前に、パクる元ネタ、あるいはその作者に対するリスペクトとして当然必要です。
後者は、それをどのようにアレンジしたか…そこに、自らの作品としての価値が出てくるのです。

当然、そのまますっかりパクって、「自らの作品」として発表するのは言語道断という他ありません。
これは、「パクり」という表現だと軽く聞こえてしまいますので、はっきりと「盗作」と言うべきでしょう。

では、うまくパクった…とは言えないもの。
それは、中国のパクリです。
「中国 パクリ」でイメージ検索するとよく分かるでしょう。
なんとなく「ドラえ◯んをパクりたかったのかな?!」と思われるような画像がちらほら。
これは、パクった…と言えるようなレベルではないものの、上記の「典拠のしっかりした」ものではないので、違法な盗作といえるでしょう。

では、どうすれば、うまく合法的にパクれるのか。
上記の通り、和歌に和歌をパクるのであれば、本歌取りとしての作法が必要になります。
ですが、全く違うジャンルにパクったらどうなるでしょうか。
その場合には、いちいち誰かの許可を得る、という問題にはなりません。

これを、マーケティング的な表現をするならば、
「他業種から学ぶ」
と言っています。

例えば、ドライブスルー。
ファストフード店などで活躍しているシステムですが、あれは飲食店業界が発祥ではありません。
実は、銀行業界が発祥だと言われています。

飲食店がドライブスルーをするときに、銀行の誰に許可を得るというのでしょうか。
これは「盗作」として誹られ、倫理的にも法的にも問題になるでしょうか。

または。
「私がピアノの前に座ると、みんなが笑った…けれども、弾き始めると…」
これは、ピアノのレッスンを販売する、ジョン・ケープルズの有名なコピーです。

これをパクると、
「私がフランス語のメニューを渡されるのを見て、みんなが笑った…けれどもフランス語で注文をすると…」
これは、フランス語のレッスンの販売です。

これは、いちいちジョン・ケープルズに許可を取るべきでしょうか。法的に問題になるでしょうか。

長野の工務店、エルハウスがこんなチラシを出して大ヒットしました。
「家はまだ買うな」

これをパクって、
「株はまだ買うな」
とすれば、エルハウスに許可を得る必要はないでしょう。

ただ、絶対にやってはいけないのは、同じ工務店が
「家はまだ買うな」
とすることです。
これは完全に違法であり、盗作です。

クリエイターとして、何かからインスパイアされるのは当然です。
あるいは、先達の知恵を学ぼうとすることも大切でしょう。

では、冒頭のケネディ大統領は、ヒトラーの盗作なのでしょうか。パクリなのでしょうか。
私の基準では、同じ政治家が同じ政治の演説をしている以上、「本歌取り」のルールに従うべきでしょう。

ケネディが、ヒトラーから引用した…などと言えるはずもありません。
個人的には中国の劣化版パクリのような印象を受けますが、いかがでしょうか。
正解・不正解の問題ではありません。

先達、元ネタにどれだけリスペクトできるかどうか。
そして、どれだけオリジナリティを演出できるか。この2点です。

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