使えば使うほど人を盲目にする単語

使えば使うほど人を盲目にする単語

読んで役に立つ,学びがあったと思った方は「いいね」やシェアをお願いします。

先日、ある番組を見ていた時のことです。
世界地図を見たあるゲストが、
「この地図、何かが変」
とのこと。

地図の中心がヨーロッパになっていて、日本列島が右端に印刷されているのです。
その解説を受けて、
「ああ、ヨーロッパでは、これが【普通】なんですね」
とのコメント。

では、普通とは何でしょうか。

辞書(大辞泉)によると、
1.特に変わっていないこと。ごくありふれたものであること。それがあたりまえであること。また、そのさま。
2.たいてい。通常。一般に。

辞書によっては、「その言葉の使い方」が載っていて、これがとても勉強になります。
今回はこのように出ていました。

「普通」は意味の範囲が広く、「どこにでも普通に生えている草」のように、ありふれている、珍しくないの意、「ごく普通の子」「普通科」のように、特に変わりがない・平均的・一般的なの意に使われる。これらは「普段」「通常」は使えない。

普通…という言葉を使うのは、2つの理由から危険です。

1つ目は、単純に盲点を生みます。
昨日も書いたとおり「当たり前」のものは、目に見えません。
尋ねられても答えられません。

子どもによる「なんでなんで?」攻撃を大人が嫌うのは、これが一つの原因です。

例えば、
「なんで空が青いの?」と訊かれたならば、科学的な根拠を示して話すことができます。
それをその子どもが理解できるかどうかはまた別ですが…

では、子どもに
「何で人殺ししちゃいけないの?」
と訊かれたらなんと答えたらいいのでしょうか。
「なんでなんで?」としつこく食い下がられたら、どう対応すればいいのでしょうか。

ここで「普通は人を殺さないからだよ」と答えたら、子どもは納得するでしょうか。
普通という言葉を使えば使うほど、人はそこに盲点を生みます。
そこで、思考は止まります。使えば使うほど、人の頭を鈍らせるのです。

もう1つの理由。
それは、「普通以外を排除する」ことになります。
すなわち、相手を否定したり差別することになりかねません。

冒頭の例で、ゲストのコメントは、「日本列島が真ん中にあるものを普通、そうでない地図を変」と断定したのです。

自分の基準が普通。自分の基準から外れるものは変。これが行き過ぎると、テロリストになります。
自分の「普通」でないものを物理的に排除…殺害する、ということになるのです。

テロリスト云々はともかく、マーケティングやコピーライティングにおいては、この「普通」という言葉を使えば使うほど、頭が腐っていく…それくらいの心構えが必要です。

なぜなら、「普通」などというものは存在しないからです。

例えば、マーケティングプランを立てます。
ターゲットを「普通の人」とします。
これで、どんなマーケティングを展開できるのでしょうか。

コピーを書くとします。
ターゲットは、「普通の人」です。
普通の人に向かってどんなコピーを書けば、普通の人は反応するのでしょうか。

「この商品は普通の人がよく買っています」

…意味がわからないのではないでしょうか。

普通の人など存在しません。
例えば、
「40代男性。職業は会社員。年収600万円で、家族構成は妻と子供2人」
という人ならいるでしょう。
あるいは、
「30代女性。専業主婦で子ども1人。趣味はテレビ」
という人もいるかもしれません。

ですが、仮にこういった人を一括りにして「普通」と呼んでしまったら…もう誰が誰だかわかりません。
「普通の人」といういない人をマーケティングで展開できるはずがないのです。

最後に。
「普通」を「平均的」という意味で使われることもあります
当然、「何を以って」平均的となるのか。やはり自分の「平均」を相手に押し付けることになりかねません。
そして、誰もが「平均的だなんていたくない」のです。

普通…使うときには相応の犠牲や代償を払う覚悟がなければ使うべきではないでしょう。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください