書籍に込められた本当の価値

書籍に込められた本当の価値

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4年前くらいでしょうか。
無料小冊子を執筆しました。
約3万3000文字分の量です。

日本人の平均読書スピードは、約600文字と言われています。
3万3000文字÷600文字=55分。
読み割るのに55分掛かる計算です。
そこで、
「60分で学ぶ〜」
と表記しました。

そして、その小冊子を提供したところ、何人もの人から次のように言われました。
「これ、とても60分じゃ読めない…」

計算上は、55分なのに…と首を傾げたのを思い出します。

さて。
先日も紹介した、日本トップクラスのコンサルタント、神田昌典氏の著書「稼ぐ言葉の法則」
どうやら、この本には、未公開原稿があるようです。

氏いわく、
「稼ぐ言葉の法則」で、私が伝えたかったことは、残念ながら、無慈悲にも
「内容が概念的で、難しいのでは…」という理由で、編集者にカットされてしまいました」
とのこと。

その未公開原稿を入手して見たのですが、
「確かに…」
という他ありませんでした。

そこに書かれたのは…
2012年に、私が氏のセミナーに参加した時に学んだ内容をまとめたものだったのです。
当時の私が、そのセミナーを受けた時の感想は、次の一言。

「わけわからん」

本当に全くわからなかったのです。
わからなかった結果、
「神田さんは、どうやら全くこれまでとは違う世界観で物事を見ているようだ」
との印象を抱いたのを今でもよく覚えています。

では、その未公開原稿を今読んで…それを理解できるのか。
正直言うと、
「やっぱりわけわからん」
という印象です。

さっと2回ほど目を通したのですが、わかりません。
わからないものに遭遇した時の、なんとも言えないもやもやした気分になります。
おそらくギアを上げて、本気で取り組めば、わかるのかもしれません。
今はそこまでしていないので、わからないだけなのかもしれません。

そこで、
「あ、なるほどなぁ」
と思ったことがあります。

もともとの著書「稼ぐ言葉の法則」全体からの一貫性から外れるのです。

決して内容が薄いわけではありません。
(本自体は187ページという、200ページにも満たない薄めの本です)
1時間もかからずに、1冊読めてしまいます。

そのような全体性の中で、この未公開原稿16ページを突っ込んだらどうなるのか。
読了時間が倍以上になるかもしれません。

1冊の本の中で、急に内容が難しくなると、得てして読みづらい本となります。

例えるならば、5キロのジョギングをするつもりが、実は20キロだった…
あるいは、20キロだと思っていたのだけど、途中の5キロがずっと急な上り坂だった、というような感じでしょうか。
いわうる「想定外」が起きます。

すると、その書籍を手にとった人はどう思うのか。
「この本は読みにくい」
と思うのではないでしょうか。

それが、Amazonなどの感想に書かれたら…本の売上に左右します。
編集者の仕事は、
「良い本を作り上げる」
ことではありません。
「売れる本を作り上げる」
ことにあるのです。

編集者は、神田昌典氏が本当に伝えたいこと、その本の中でももっとも重要なことを削ってでも、本全体の読みやすさを優先したのでしょう。

氏いわく、この未公開原稿について次の通り述べています。
「私のマーケティング・コンサルタントとしての20年の経験を凝縮した体系をほんの20分で理解できるようになる」
とのこと。

とはいえ、20分では読めたところで理解が及びません。

そうです。
ようやく、4年前の自分の間違いに気がついたのです。
執筆者であればこそ、その内容について理解しています。
理解している内容を読むのに、時間は掛かりません。さほど労力も掛かりません。
ですが、私の書いた小冊子は、マーケティング初心者向けに書かれた本です。
これまでにマーケティングとか集客とか…といったこととをほとんど学んでいない人に読んでもらおうと書いた小冊子です。

初めて学ぶもの、難しいものを読むには時間がかかります。
読むだけならともかく、内容の理解を伴いながら読む場合、初めて読むものと2回目、3回目では全く早さが変わってきます。
または、前提知識や周辺知識がある場合とそうでない場合でも、読む早さは違います。

私はそのことに気づかなかったのです。
神田昌典氏は…あくまでも推測です。
そのことをわかっていたから、敢えて編集者と一芝居を打って、
「カットされてしまった…」
ということにして、未公開原稿を入手するにあたって
「メルマガ登録」
させたの…かもしれません。
真実はわかりません。それほど重要ではありません。

ここから学べることは、ターゲットと一貫性です。
タイトルとしても「稼ぐ言葉の法則」という、割と直接的なタイトルにしている以上、「直ぐに結果を出したい人向け」だと思われます。

ところが、読んでみたら難解で読むのが大変…ということでは、本末転倒。
だからこそ、本当に重要な、難しいものは登録制にして、
「読みやすさ」
の一貫性を保ったのではないでしょうか。

最後に。
やはり4年くらい前のこと。
フォトリーディング講座で、講師が
「1冊の本で、本当に重要な事は8〜11%しかない」
とのことでした。更に、
「まさかそんなことは無いだろう…と思っていたけど、自分が書籍を執筆するようになって、これは本当のことだと実感した」
とのこと。

本当に伝えたいことだけでは1冊の本にならないので、水増しするしかなかったのでしょう。

ですが…今の時代は、その本当に伝えたいことである8〜11%すらも、書籍に書くことが許されない時代が来たのかもしれません。
世知辛い話です。

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