先日、都内で、とあるマーケティングのセミナーに出た時のことです。
ある商品を販売するテレビショッピングの話になりました。
講師の先生いわく、非常に素晴らしいCMなので、是非見るようにとのこと。
東京から戻り、夜遅くまで作業していたところ、午前3時を回っていました。
ちょうどこの時間にテレビをつけたらやっているのでは…と思ってみたら、やはりジャストタイミングでした。
講師の先生が見るように、と言っていた商品を宣伝するテレビショッピングが放映されていました。
メモを片手に、
「やっぱそうだよな」
「うん、その説明はうまいな」
「確かにそうだよな」
などと、うなずきながら、まさに流れるような素晴らしいテレビショッピングを見入っていました。
そして、あるタイミングで、
「え?!」
そこで思考停止です。
さて、今日のテーマは
「一貫性」
です。一貫性があればあるほど、メッセージに説得力が出ます。
なぜなら、人は「一貫性を求める」性質があるからです。
例えば。
「私、今日から税理士を目指そうと勉強することにします」
と宣言した知人がいたとします。
1週間後、その人にあった時に、
「勉強頑張ってますか?」
と尋ねたところ、
「いや〜税理士ってあまり向いてなくてね。今、宅建主任者の資格を取ろうか検討しているところなんだ」
と言われたらどう感じるでしょうか。
どのように口にするかはともかく、
「え?この前は税理士目指すって言っていたのに…?」
と思うのではないでしょうか。そして、そのときの感情は、あまりよいものではないのではないでしょうか。
なにより。
ほとんどの人が、
「そうなんだ、宅建の試験、頑張ってね!」
と、心の底から本気で言う…のは難しいのではないでしょうか。
なぜなら、一貫性の法則に外れるからです。
これがもし宅建じゃなかったらどうでしょうか。例えば、
「いや〜税理士と思ったけど、まずはいきなり税理士を目指す前に、まずは簿記検定を受けることにする」
という話だったらどうでしょうか。
「宅建試験」よりも嫌悪感は少ないのではないでしょうか。
これは、宅建と簿記のどちらが優れている、という問題ではありません。
宅建と税理士との間に関連性はありません。しかし、税理士と簿記との間には関連性があります。一貫性の法則からは外れないのです。
一貫性の法則は、続けば続くほどパワーが強くなっていきます。
だからこそ、一貫性から外れた時の、違和感も大きくなるのです。
先ほどのテレビショッピングの話しに戻ります。
商品の特徴として、
・非常に硬い材質を使っていること。
・独自技術を使って、非常に高温でも耐える強さがあること
・耐摩耗テストでも素晴らしい結果を残そたこと。
・厚みがあって変形しにくいこと
といった、いかに商品が丈夫で長持ちするのかを、ずっと宣伝していたのです。
1つ、2つ、3つ、4つ…と頑丈であることを示す特徴が続いたので、
「これ、どれだけ頑丈なのだろうか」
と頭の中で感じたのです。
ところが。
ある瞬間、思考停止しました。
一貫性の法則から外れたことにより、大きな違和感を見つけたのです。
はじめは、サラッと流してしまいそうでしたが、それ以上に違和感が先にあったのです。
その違和感の正体。
それは、修理保証でした。
上記の通り、とにかく丈夫で長持ちする素晴らしい商品だ、と何度も何度も力説していたのです。
その上で。
「1年間は保証により無料で修理します」
という一言が、一貫性の法則から外れたのです。
なぜなら、それだけ丈夫で長持ちする商品が、1年内に壊れることがあるのだろうか、と思ったからです。
壊れないような商品だった場合、意味のない保証になります。
壊れるような商品だった場合、宣伝に嘘が混じっていることになります。
どちらにしても何かがおかしいのです。
では、どうすれば一貫性の法則を保てたのでしょうか。
ひとつの例えですが、
「10年間無料修理保証」
と謳えばいいのです。
これならば、10年は長持ちする、本当に丈夫な商品だ、というメッセージになります。
また、10年保証することで、本当に効果のある「保証」するということですから、意味のない保証ではなくなります。
あるいは。
本体自体が非常に頑丈で長持ちするものだったとしても、取っ手の部分はそこまで頑丈ではない、というのであれば
「1年間無料修理保証します。本体が1年で壊れることはまずありえませんが、取っ手が壊れることも稀にあるため、その時はこの保証で直して下さい」
というメッセージを加えれば、一貫性の法則を保つことができるのです。
最後の最後、保証の部分で、一貫性の法則の全てが台無しです。
非常にもったいない、残念な例でした。
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