0を1にする「乗り換えコスト」

0を1にする「乗り換えコスト」

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今から8年ほど前でしょうか。
まだ私が関東で司法書士事務所をやっていた時のことです。
開業の時に買った、中古のコピーFAX複合機が、壊れかけていて、まさに虫の息だった時のことです。
たまたまテレアポか飛び込みかは覚えていませんが、コピー機の販売に訪れた営業マンがいました。

その時に、この壊れかけのコピー機を下取りして、新しいコピー機をリースで使わないか、という提案を受けました。

まさに壊れかけだったし、中古だとメンテナンスができません。
リースでメンテナンスも含めて契約したほうが楽です。
しかも、エレベーターのないビルの3階に、なんとか運び込んだ複合機を下取りしてくれるとのこと。自分で持ち出して捨てなくていのです。
さらに。ヤフオクで2万円で買った複合機を2年ほど使っていたのに、2万円で下取りしてくれるとのこと。

ということで、
「え?2万円で購入して2年使ったものを、2万円で買い取ってくれるのはなぜだろう」
くらいには思ったのですが、得だったので理由は考えませんでした。

時は流れ、先日のことです。

テレビ通販で有名な、某会社から、カタログが届きました。
この会社の販売法でよく見かけるものがあります。

それは、「下取り価格」です。
例えば、掃除機ならば、今使っているものを1万円で下取りするというもの。
結果的に、古い掃除機を処分できる上に、新しい掃除機を1万円安く購入することができます。

単純に1万円値引きするのではなく、なぜ下取りなのでしょうか。

ここに、この会社の販売戦略の巧さがあります。
下取りの目的、それは「買う理由をつくること」にあります。

例えば、掃除機を買うときというのはいつでしょうか。
通常は、今使っているものが壊れて使えなくなった時ではないでしょうか。
その壊れた掃除機を処分して新しく買い直す、というのが一般的でしょう。

つまり、今使っている掃除機が壊れるまでは、新しい掃除機を買う理由はないのです。
では、壊れるまで待つのでしょうか。
壊れた時に、自社から買ってもらえるのでしょうか。

そこで考えたのが、
「下取り」
です。
下取り、というくらいですから、壊れている掃除機は下取りできません。
あくまでも「まだ使えるもの」でなければなりません。
逆に、使えるものであれば、どれだけボロいものでもいい、ということになります。

では、その買い取ったオンボロ掃除機を、他所に転売するのでしょうか。
それは、考えにくいでしょう。
となると。敢えて下取りと称して、古い機材を買い取る理由。
それは、「新しいものを買う理由」にすることです。

自分で費用を払って処分しなくていい上に、新しいものをいくらかでも割引して購入できるのであれば、これを機会に買ってしまおう…という判断を期待してのことです。

壊れるまで待つのではなく、今買う理由を作り出す、この「下取り」戦略。
仮に1万円で買い取ったとしても、十分に利益になるということなのでしょう。

8年前にはわからなかった理由。
今になってやっとわかりました。
なぜ壊れかけたコピー機を2万円で買い取るのか。
壊れかけているだけで壊れているわけではありません。
まだ使おうと思えば…使えるかもしれません。

だからこそ、ライバルも多いコピー機販売市場において、「今買ってもらう」理由として、2万円で買い取ったのです。

この2万円は高いのか安いのか。

結果的に。
この営業マンとは、8年間ずっと付き合いが続いています。
コピー機を3回入れ替え、他にもビジネスフォンやセキュリティ機器、空気清浄機など様々なものをリース契約することになりました。

2万円の下取りコストで、これだけの件数に繋がったのです。

結果的に、LTV(顧客生涯価値)戦略に繋がりました。
とはいえ、どんな大口取引も、どんな長期取引も、必ず共通することがあります。
それは、どんな取引であっても、1回目から取引が始まったことです。
いきなり3回目から取引が始まる、などということはないのです。

だからこそ、その第1回目をいかに迎えるか。
今回は「下取り」という手段でした。

他社から乗り換えてもらう、ということで
「乗り換えコスト」
などと呼ぶことがあります。

長期契約が想定されるような場合には,特に効果的です。
活用を検討してみて下さい。

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