こんにちは。
アップスタッツの飯山です。

 

 

今日は，あるラーメン屋の
シンプルなマーケティングについて
紹介します。

 

ラーメンという，
ある誰もが知っている
「特殊な商品」
をどうマーケティングしているのか。

 

 

又聞きですので
数値は不正確ですが。

 

ラーメン店は，
確か9割だか7割だかが，
個人事業主…らしいです。

 

数字の根拠はともかく，
要するに
ラーメンには
「主流」
というものがなく，
個人が個人において
思い描く
理想の一杯を売ろうとするのが
ラーメン業界です。

 

もちろん，
その中にはチェーン店もありますが。

 

 

さて，
そんなラーメン業界の中で，
あるラーメン店の話です。

 

 

以下，最後までお付き合いください。

 

…なお言うまでもなく
ラーメンの話です。

 

お腹が空いているときに
読むことで飯テロ要素がありますが
ご容赦ください。

 

 

 

想定外のラーメン屋の話

 

 

大きな幹線道路沿いに，
黄色い大きな看板を掲げている
某ラーメン店。

 

 

店名は直接的には出しませんが。
力士の「称号」を店名にしているのですから…

 

 

さぞかし，
「ガッツリと」
くることでしょう。

 

 

興味本位で
ずっと行ってみたかったのですが，
なかなか機会がありませんでした。

 

そして先日。
暑い中，
ずっと草刈りをして…
汗だくになり体も動かしました。

 

こんなときこそ，
こってりガッツリのラーメンを
食べたい…

 

そう思った時に，
その黄色い看板を思い出して…

 

行ってみました。

 

 

結論から言うと，
「想定外」
もっと言うと，
期待外れでした。

 

 

なにせ，
力士の称号を冠するラーメン店です。
さぞかし重厚感のある店で…
重たくガッツリしたラーメンに
ありつけると思ったのですが。

 

行ってみたら，
やたらと広い駐車場。
そして…
世間で言うところの
休日の昼時でもあり
ワンボックスカーがたくさん
駐車しています。

 

 

店内に入ると，
若い女性店員が

 

「いらっしゃいませー！
何名様ですか？」

 

 

違う，
そうじゃない。

 

 

なんというか，
腹の底にずしりと来るような
重厚感あふれる声で

 

「らっしゃい」

 

って感じを期待していたのですが。

 

なんというか…
きゃぴきゃぴ，とまでは言わないのですが，
若い女性店員がたくさんいて，
店内の雰囲気が華やか。

 

実際，
ワンボックスカーが
たくさん…ということもあり，
若い家族連れも多く，
小さな子供もたくさん。

 

 

お子様セットやら，
子供向けの玩具まで置いてある。

 

…なんというか，
想定外でした。

 

もっと…
なんというか
男臭いような，
おっさんのおっさんによるおっさんのための
ラーメン店，みたいな雰囲気を
想定していただけに…
なんというか違和感がすごい。

 

なお，
ラーメンの味自体は…

 

こちらは
「無難に普通」
の味でした。

ファミレス化したような
ラーメン店ですからね。

 

もっと癖のある，
こってりガッツリ系を
期待していただけに店
残念です。

 

まあ，
まずいわけでもないので
替え玉まで頼んで食べてきましたが。

 

 

店の雰囲気，
看板の印象と
店名と，
思い描いた実際のズレが大きく…

 

繰り返しますが，
まずいわけではないですが，
まあ，私一人で行くなら
次はないでしょう。

 

 

あるラーメン店のシンプルな戦略

 

 

実際，
そのラーメンを食べながら…
脳裏に，これまで食べた
いくつかのラーメン店を
思い浮かべるわけですね。

 

たとえば，
こってり濃厚なら，
某，京都発祥の全国チェーン店とか。

 

 

近所の「家系ラーメン」も，
かなりガツンときます。

 

男臭い感じではなく，
むしろ女性客も多そうだけど…
にんにく増し増し感が
好みに合う，
某九州発祥の辛麺系も
かなりいいですね。

ただ，
これって味とか好みなので，
よほど特化しないと
差別化しにくいのが現実。

 

 

たとえば，
以前に書いた，
蒙古タンメン中本，くらいまで
「辛味」
に突き抜ければ，差別化できますが。

<参照>

 

 

 

家系ラーメンと
一言で言っても，
「あ，家系ね」
みたいな感じで
一括りにされるのではないでしょうか。

 

 

ところが。

 

北海道に居た頃によく見かけた，
ある家系ラーメン店。

 

山岡家のマーケティングは
シンプルです。

 

味は…
まあ，普通です。
普通に豚骨系の
家系ラーメンであって…
味自体に突き抜けた何かが
あるわけではない。

 

 

けれど…
山岡家は
チェーン展開するほどの
規模感があります。

 

 

私が考察する理由は，
戦略がシンプルだから，
でしょう。

 

 

広い駐車場に，
「大型車用駐車場あります」
と大きく掲げるわけですね。

 

そして，
朝5時までだったり，
店舗によっては，
24時間やっているところもあります。

 

 

また…
一部の店では，
「シャワールーム」
も設置されているのです。

 

 

ターゲットは，
その幹線道路を通る
トラックの運転手。

 

味自体は濃い目で，
肉体労働系の人に
向いているのもありますが。

 

大型駐車場完備だったり，
夜遅く…どころか
朝までやっていたり。

 

シャワールームまである。

 

 

私は以前に，
店の前を通った時に，

 

 

「朝5時近くの時間帯に，
ラーメン食べたい人って
いるのだろうか…」

 

と考えたのですが。

 

まさに，
トラックの運転手でしょうね。

 

 

トラックの運転手は，
決められた時間までに
決められた場所に到着しなければ
なりません。

 

 

時間と場所は決まっていても，
移動スピードは
決められるわけではありません。

 

遅れそうだから
かっ飛ばす…なんて真似は
交通法規的にもできないわけです。

渋滞などで進行が遅れると，
どうしても移動時間が長くなる。

 

まともな時間に
自由に休めるわけでもない。

 

無事に現地にたどり着いて
荷物を納品するころには，
夜明け前。

 

疲れたし，
温かいものを食べたいし…
でも，休めるところはないし，
食べるものはコンビニ弁当くらい。

 

…だったはずです。

 

でも，
山岡家は，
朝5時…場合によっては
24時間やっています。

 

シャワールームを使って，
荷降ろしの際の埃や汗を
流すこともできます。

広い駐車場なので…
駐めることもできるし…

 

実際，
私も北海道に居た頃に，
明け方に山岡家の前を通ると
たくさんのトラックが駐車していて…

 

外から伺う限りでは，
運転席で休んでいるのです。

 

 

私はトラックの運転手を
やったことはないので
あくまでも想像ですが。

 

もし，
やっていたとしたら…
眠いし疲れたし
お腹が空いたし，
温かいものが食べたい。

 

 

そんな時に
山岡家の前を通ったら，

 

「ここは自分のための店だ」

 

…と思うのではないでしょうか。

 

 

そう，
家系ならではの
味ではありますが。

 

味そのもので
差別化はしていないのです。

 

かの有名なドミノ・ピザが，
ピザの味ではなく
配達スピードで差別化したように。

 

山岡家も，
味そのものだけで勝負するのではなく，
他の要素で勝負しているのです。

 

 

マーケティング的には，
至ってシンプル。

 

 

メインターゲットが
「ここは自分のための店だ」
と思わせたなら勝者です。

 

もちろん，
シンプルに，
一般顧客を相手にするよりも，
トラックの運転手を相手にしたほうが
リピートが見込めるでしょう。

 

実際，
私も山岡家で食べたことはありますが。
食券の半券を集めると，
たしか10枚だったかで，
ラーメンが無料になります。

 

リピートの基本的な仕組みですね。

 

また…
飽きさせないように，
頻繁に，新メニューが登場します。

 

私はしょっちゅう行っていたわけではないですが。

 

 

前を通る度に，
新メニューの「のぼり」が
見てわかるようになっています。

 

やろうとしていることと
やっていることに一貫性があり，
意図が極めて明確です。

 

最高の一杯ではないかもしれませんが，
マーケティングとしては
本当に素晴らしい店ですね。

 

 

さて。
今回，がっかりしたラーメン店の同じ
道沿いに…
山岡家があります。

 

またラーメンを食べるタイミングがあったら，
今度は山岡家にでも久々に
行ってみたくなりました。

 

珠玉の一品と言えるほどの味では
ないですが…
でも，家系ラーメンを食べに行って
家系ラーメンを食べた，という実感は持てるので
十分ですね。

 

 

あなたがより「アップスタッツ」な明日になりますように。
アップスタッツ　飯山陽平