職人の誇りと魂を木っ端微塵にする「言葉の使い方」

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こんにちは。
アップスタッツ合同会社の代表,
経営軍師の飯山です。

 

今日は言葉に関する
マニアックな話です。

本当にマニアックですので,
読み物として最後までお付き合いください。

お茶いっぱいに4年半掛けた物語

 

 

北海道の…とある田舎の
寿司屋の話です。

 

寿司屋ですから,
板前さんとか,大将…あたりなんでしょうけぢど。

 

みんな,彼のことを
「マスター」
と呼んでいたから,
ここではマスターと
表現します。

 

 

その日も
マスターはいつもどおり
店を開けて,
寿司を握っていました。

 

 

すると,
ある老齢に差し掛かった
男性が来店しました。

 

…と言っても,
見知らぬ人ではなく
ずっと取引してきた
相手です。

 

 

その男性は
マスターに
こう告げました。

 

 

「もう,
歳だから引退することにしたよ」

 

 

それで困ったのはマスター。
ずっと,その男性と
取引して…

「お茶」

を仕入れていたのです。

 

 

寿司屋にとて
お茶は,必須アイテムの一つ。

 

 

仕入れられるだけ
仕入れましたが…
時間の問題です。

 

 

 

あちこちの
お茶を仕入れては
納得がいかず…他を探す。

 

 

そんな日々。

 

 

店を訪れた,
ある顧客がマスターに
こんなことを言うわけです。

 

 

「この店の寿司は本当に美味い。

寿司だけじゃない。
醤油も美味い。
ガリもまで美味い。

…だからこそ…
このお茶はなんとかならんかね。
これは酷い」

 

 

 

きっと,
お茶そのものも,
そこまで酷いものでは
なかったのでしょう。

 

 

ただ…
醤油も特別のものであって
ガリはガリとしてまた
特別のものです。

 

 

その特別さを紹介したら
記事2本分になってしまいます。

 

 

マスターいわく,

 

寿司屋がネタに力を入れるのは
当たり前のこと。

 

 

だから,
その当たり前のことは
当然にやるとして,
その寿司の味を引き立てるために
必要な…

 

お茶,醤油,ガリ,わさび…

 

 

これらのものを
いかに良いものを出すのか。

 

 

そこに力をいれていたからこそ,
これまで扱っていたお茶が
非常に素晴らしいものであり…

 

 

その代替品が
二級品になってしまうと…

 

他が一級品なだけに,
劣っていることが
極端にわかってしまう。

 

でも…
探しても,
自分が確信を持って
お店に出せるお茶は
まだ見つからない。

 

 

そして…
顧客にまで指摘される。
焦ったまま年月が流れること…

 

 

約4年半。

 

 

ある日。
たまたま出張で北海道に
来ていた人がいました。

 

ついでに,
観光も兼ねていたのでしょう。
近くには,全国規模で
有名な温泉街がありますから。

 

 

その温泉に行く…途中で
立ち寄ったその寿司屋で…
やはりお茶の話になって…

 

「もう4年半,ずっと
良いお茶を探しているが
納得の行くお茶が見つからない」

 

…と話すと,
その顧客は,

「だったら,心当たりはある」

とのこと。

 

 

静岡のとある山奥にある
茶園のお茶で…
有名なブランドのお茶ではないものの,
その人にとって,
お茶といえば,コレ。

というくらいに美味しいものだったそうです。

 

 

そして…
時は流れ…

 

 

私がお寿司を食べて…
そのマスターはこちらの様子を見ながら,
満足したかどうかを
一声掛けてくれます。

 

 

その確認後に…
お茶を勧めてくれるのですが。

 

緑茶は大好きなので,
満腹でも,つい頂いてしまいます。

 

 

そして…

 

「このお茶,
本当に美味しいですね」

と言ったら…
上述のエピソードを教えてくれました。

 

 

実際に,
ある客から…
「お茶だけは~」
と言われた。
これも,マスターから
直接聞いた話です。

 

 

 

そして…
寿司ネタに力を入れるのは
当然だから,
お茶,醤油,ガリ,わさびといったものにこそ
より力をいれる。

 

…というその考え方も
直接,マスターから聞きました。

 

 

だから…
今でこそ,笑い話だし,
ハッピーエンドで終わった話だから
済んだことでもあるのですが。

 

 

実際に,
顧客から
お茶だけをダメ出しされたときの
悔しさ,もどかしさは
どれほどだったのでしょうか。

 

 

本当に北海道の小さな
田舎町ですから…

 

 

週6日お店を開けている以上,
そうそうどこかに
出歩くことも難しい。

 

忙しい中,
つてと心当たりを探っても,
思うようなお茶が見つからない。

 

このもどかしさと悔しさ。

 

それは,
想像に難くないことです。

 

 

そして…
4年半の時を経て
ようやく見つけた納得の緑茶。

 

 

それが,
その瞬間,私の手の中の
湯呑に入っているわけですね。

 

 

お茶だけで…
ここまでの
「背景」
があるのです。

 

 

そして…
この背景は…
マスターが教えてくれたから
私は知ることができました。

 

同じように,
ガリにはガリの背景があって,
醤油には醤油の背景があって,
わさびにはわさびの背景がある。

 

 

それぞれ,
別の機会に
教えてもらう事ができました。

 

 

ガリは本当に美味しくて…
私がそこのガリを本当に美味しく
喜んで食べることも
覚えてくれているので…

 

私が食べに行くと,
他の人よりも多めに
ガリを出してくれて…

 

なくなったら,すぐに
追加で出してくれたのも
懐かしい思い出です。

 

 

さて。
なんでこんな話をしているかと言うと。

 

 

この背景の話は,
マスターが
教えてくれたから,
私は知ることができたのです。

 

つまり,
マスターが教えてくれなかったら
顧客である私は,
知ることができなかったのです。

 

 

職人の思いを台無しにするもの

 

先日,
あるきっかけで
お菓子をいただきました。

こちらをご覧ください。
パッケージにこんな事が書いてありました。

これを見て
どう思うでしょうか。

 

 

私は真っ先に思ったのは…
ある意味,
ここまでかけらほども
心に響かない言葉って,
それはそれで凄いな…

 

 

という,逆の意味で
感銘を受けました。

 

そして…

 

あまりにも菓子職人が
かわいそう…と思ったのです。

 

 

私は…
上述のマスター,本人から
いろいろと背景を
聞くことができました。

 

 

もしかしたら…
このお菓子も,
同じように…
長い時と手間暇…

そして,職人の誇りを懸けて
探し求めた
何かがあるのかもしれない。

 

逸話があるのかもしれない。

泣くほど悔しい出来事が
あったかもしれない。

 

あるいは…
それこそそれらの困難を乗り越えて
今度は泣くほど嬉しいことが
あったかもしれない。

 

それらの体験の積み重ねがあって,
できたお菓子が,この商品だったとして。

 

そのお菓子を紹介する言葉が
「コレ」
なわけです。

既製品の中の既製品…っぽい言葉を
集めてさらに凝縮された,
キングオブ既製品…っぽい,
あまりにもありふれた言葉です。

 

 

本当に,
これでは職人が全身全霊込めて
開発したものだったとしても…

 

さすがにコレはひどすぎる。

 

…という話でした。

 

 

書いた人は,
酒でも飲みながら,
30秒で書いたもの
なのかもしれません。

背景の物語を伝えるには
字数が必要です。
その字数を凝縮して圧縮して…
数行,数フレーズで伝えるには…

ある意味,この職人の懸けた
手数と同じくらいあるいはそれ以上の
必死さが必要なのかもしれません。

 

私は…
この三行のパッケージコピーを
ボロクソに言うだけのために,
つい,ここまで書いてしまいました。

 

自分の仕事に対して,
熱意と誇りと,やりがいを…
場合によっては人生を懸けて
取り組み…

 

 

そしそれが世に出た時に紹介されるのが
コレって…あまりにも不憫というほかありません。

 

では,
これをどのようにしたらいいのか,
については,さすがにマニアックなので,
興味がある人がいた場合にだけ書きます。

 

興味がある方は,コメント欄から
「どうすればいいのか」
とでも書いてください。

あなたがよりアップスタッツな明日になりますように。
アップスタッツ合同会社 経営軍師 飯山陽平

 

 

 

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