こんにちは。
アップスタッツ合同会社の代表,
経営軍師の飯山です。
今日は…
よくわからないことを書きます。
何を言っているんだ…と
思うかもしれませんが,
私もよくわかりません。
わからないことを
わかるようにするための話です。
どういうことか。
現代人は,わからないものを
補完する能力を持っています。
雨ニモマケズ
風ニモマケズ
雪ニモ夏ノ○○ニモマケヌ
丈夫ナカラダヲモチ
有名だから
ご存知かもしれませんが。
この○○は
「暑サ」
です…が。
前後の文脈でなんとなく
わかるのではないでしょうか。
わからない言葉があって…
なんとなくするスルーしても
問題ないわけです。
ただ,
わからない言葉を
わからないまま
なんとなく使い続けることで,
誤用の言葉が拡散したり…
学習面で考えると,
わからない言葉が
増えれば増えるほど,
知能指数が下がる,
というデータもあるようです。
ということで…
わからないものを
スルー「しない」ことは
大事なのです。
ということで…
今日はある意味不明な言葉について
考えてみることにします。
いつにも増して
マニアックですが
楽しんでいただけたら幸いです。
「プロ経営者」って何?
とか言いつつ…
はじめは私も流していたのですが。
どうにも変な違和感が
つきまとうのです。
この「感覚」は
すごく大事です。
この件は日を改めて
いつか解説します。
今日のお題は
「プロ経営者」
っていう意味不明な言葉です。
というのも,
セールスレターなどで
「プロ経営者から学べる貴重な機会」
…みたいな表現,
時折目にするのですが。
目にするたびに,
心が冷える感覚が伴います。
これも不思議ですね。
こういう「サイン」も大事です。
語感としては
「なんとなくそれっぽい」
けど…
よく考えると
違和感満載な言葉が
「プロ経営者」
なのです。
それはなぜなのか。
言葉の理解の促進
好きな映画に
「舟を編む」
というものがあり…
劇中で,
「右」
の定義について
いろいろ触れていました。
「左の反対」
では,言葉の定義としては
失格なのです。
ですが,
それは辞書の編纂レベルの話なので,
私達が,
言葉を理解する上では
「反対」
を考えるのは効果的です。
さて。
プロ経営者とは
単純に
プロ+経営者
です。
そして…
プロとは
プロフェッショナルの略語ですね。
この時点で,
あれって思うのでは
ないでしょうか。
世の中に,
「プロじゃない経営者」
っているのだろうか,
ということですね。
会社法,税法,会計帳簿的には,
役員報酬の有無というものは
ありますが。
何らかの形で
対価があるから,
経営者として活動することになります。
では,
ここでプロフェッショナルとは
何なのでしょうか。
ウェブリオによれば,
「それを職業としている専門家」
と説明がなされています。
理解の促進のために,
言葉を裏返してみましょう。
対義語は,アマチュア。
アマチュアとは
「趣味の範囲で行っている非専門家」
と説明されています。
別の言葉としては,
プロフェッショナルとは
「職業として行っているか、それ相当の技量があるさま」
対義語では,
ノンプロフェッショナルで…
「本職として行っているのではないさま」
という説明になります。
つまり…
「プロ経営者から学べる貴重な機会」
…というセールスレターは,
「アマチュア…
趣味で会社経営やっているような
あなたたちに,経営の専門家から
教わる機会です」
みたいな…
ものすごいマウンティングを
仕掛けてくるような
言葉になっているわけです。
そして…
これを見た
「経営者」
は…そのマウンティングに対して
どう思うのでしょうか。
経営者って何?
では次。
経営者って何なのでしょうか。
定義【経営】
事業目的を達成するために、
継続的・計画的に意思決定を行って実行に移し、
事業を管理・遂行すること。
この経営を行う人が
経営者ということになります。
ですが,
あくまでもこれは
辞書的な定義です。
なので,
このブログでも,
経営者・社長…
と併記して使うことが多い。
つまり,
自分の会社があり,
その会社の全責任を背負う立場が
社長であり,経営者です。
経営の本質は
「責任」
である旨,かの渋沢栄一翁も
おっしゃっています。
もちろん,
本来はイコールではありません。
会社法に基づいて
会社の代表権を持っている人が
代表取締役などと呼ばれることがあり,
結果的に,会社の全責任を
背負うことになります。
良いか悪いかはともかく,
会社と命運をともにし,
存亡を掛けて,日々戦い続ける存在。
それが,経営者であり社長なのです。
スキルや能力,
経験やキャリアよりも…
会社の全責任を追って立つ覚悟が
あるから…
社長・経営者という存在は
社会的に認知され…リスペクト
されるのです。
ではそんな経営者たちを
一斉に集めて…
その経営者たちを相手に,
薫陶を垂れる。
そんな人が…
「○○株式会社,統括部長」
みたいな肩書だったら
どう思うでしょうか。
責任を誰かが背負ってくれるような
サラリーマンごときが偉そうに…
社長たちに何を語るんだ…
…と思う人も居るのでは
ないでしょうか。
…例えば私とか。
それが,
例えば法改正の話などで,
その道の「専門家」だから
レクチャーする,
というのなら,わかります。
社員研修に
社長が参加するようなものですね。
では…
「プロ経営者が経営を教える」
というものだったら
どうでしょうか。
その統括部長とやらが,
全責任を背負って
戦い続ける社長たちに
ありがたい経営術を
教えてくれる,
ということになります。
…さて,
どう思うでしょうか。
実際には,
統括部長ではないですが。
でも,
「プロ経営者」
と表記した時点で…
経営権…つまり,会社の全責任を
背負う立場と…
業務執行権限を切り分けられた…
「雇われ」
サラリーマンと同じということに
なります。
「サラリーマンに経営を教わりたい
経営者」
ってどれくらいいるのでしょうか。
この…
「プロ経営者」
として紹介された方は,
私も直接話を聞いたことがある方です。
たくさんの経験を持っていて,
すばらしい人格者だということは
話の内容や語り口,
物腰から伝わってきます。
…が。
その人を
ティーアップするために,
プロ経営者なんて言葉を使って
見込み客を
「アマチュア」
とマウンティングしてくる。
その上…
「プロ経営者(というサラリーマン)」
です。
この一言の言葉が,
いろいろと台無しに
してしまっているのです。
「なんかプロ経営者から~って
売り込み,妙に感じ悪いな…」
って思ってましたが。
ここまで書いて,
ようやく謎が解けました。
ではどうすればよかったのでしょうか。
手抜きはいけない
プロ経営者という言葉は
それを書いた人の
「主張」であり「評価」
です。
特にBtoBで,
この手の主張や評価を
使えば使うほど
売り込み臭くなります。
解決策は事実を書くことです。
例えば,
「○○年掛けて,○社の経営不振を
再生してきた方」
みたいな「具体的な事実」を書くのです。
「プロ経営者」
という表現に不快感をいだいても
「事実」
に不快感を抱く人はめったにいないでしょう。
雨が降っているときに
「雨が降っている」
という「人」に不快感を抱く人は
あまりないでしょうからね。
もちろん,
雨故に外出が億劫になることはあっても,
それは「雨」に対してであって…
「雨が降っている」
という事実を伝える人に
不快感を抱く人はそうそういないでしょう。
ということで…
前から違和感がつきまとっていた
「プロ経営者」
という言葉を分解整理することで…
「使うとリスクになる言葉」
ということがわかりました。
まあ,マウンティング云々はともかく…
「プロ経営者」って言葉を聞いた瞬間に
率直に私が思ったのは,
「うわ,手抜きでつまらない言葉…」
一言で,すべてがだめになることは
往々にしてあります。
もったいない話です。
冒頭でお伝えしたとおり,
マニアックな話に
ここまでお付き合いいただき
ありがとうございました。
あなたがよりアップスタッツな明日になりますように。
アップスタッツ合同会社 経営軍師 飯山陽平