こんにちは。
アップスタッツ合同会社の代表,
経営軍師の飯山です。
今日は…「愚痴の話」をします。
愚痴ではなく,
「愚痴の話」です。
お題としては,
生き方,在り方,考え方が違う人との付き合い方
とでもしておきましょうか。
ちょっとした読み物感覚で
最後までお付き合いください。
社内ナンバーワン営業成績者の悩み
先日のことです。
ある人とあって
話を聞く機会がありました。
ビジネスそのものでは
直接関わりがある方ではないのですが,
いろいろとお世話になった方です。
話を聞いてみると…
その方は,
凄腕のセールスマンです。
その地域の,その業種では
トップクラスの会社に勤めていて,
その中でもセールスの成績はナンバーワン
だそうです。
その会社はあまりにもブラックで,
入ってきた人がどんどんやめていく。
創業して3桁の会社なので
歴史はあるが…でも,
内部は腐敗しきっていて…
システムや考え方が陳腐化。
改革しようと動いているが,
まったく成果が出ない。
…ということを
延々と語っていました。
どうすれば社内改革できるか。
でも,それがどうして潰されて…
だから…
この会社の半沢直樹になるとかなんとか。
…私,
半沢直樹ってよくわからないんですが,
確か,銀行系の話だったような。
まあ,それはともかく。
そんな話を
ひたすら延々と
言っているわけです。
おお,これが
「愚痴」
かぁ…
なかなかの精神的苦痛です。
さて,
ここで問題です。
私はこの時,
「何が苦痛だったのか」
ということですね。
延々と愚痴を聞かされたことが
問題ではありません。
私と…もうひとり,
別の関係者がいて…
その別の関係者と,
そのセールスマンとの関係性が
強い場に…私は居合わせて
話を聞くという状況です。
ですので…
私が,そんな状況下に置いて…
言いたいことを言うことが
できるわけではありません。
だから…
「ある一言」
を言うのをずっと我慢していた。
これが苦痛だったのです。
その方と,私とは,
ビジネス観は
ある程度似ていました。
つまり…
利益を出すには,
どれだけ顧客に価値提供できるかどうか,
という考え方です。
その方自身は,
どれだけ会社が腐っていて,
ブラックで酷い組織風土でも…
それでも,
顧客はそういった事情とは
関係ありません。
だからこそ…
顧客に最大の価値を提供するには
どうしたらいいのかを絶えず考え続け…
実行する。
だからその方は,
顧客満足度を高めて
喜んでもらうことで…
その後のクロスセルやアップセルを
次々と成功させ,
セールス実績ナンバーワンだ
ということのようです。
聞くところによれば…
社内改革案を100個以上まとめ,
上層部に提出。
そして…
それが社長の目に届くことなく
ことごとく闇に葬られているとかなんとか。
顧客は顧客。
社内闘争は社内闘争。
割り切って…
日頃は顧客のために価値提供し…
月100時間以上
サービス残業し,
休日は月に2日程度。
会ったときも,
眼鏡の下には
隈が出来ていました。
そんな話をずっと聞いていて…
「この会社で半沢直樹になる」
だそうです。
私が何を言いたいのかを
我慢していたのか。
…ということは,
もう伝わっているのでは
ないでしょうか。
「だったら,こんなところで
愚痴ってないでさっさと会社辞めて
起業したらどうでしょうか」
言いたかったけど,
言うわけにはいきませんね。
それだけ営業成績が
高いのであれば…
苦労はするにしても,
会社の黎明期は乗り切れるでしょうから。
そして…
そんな腐った会社に風通しを
よくしようと全力を尽くす
労力があるならば…
はじめから,
自分の会社で
自分の名において,
全力で顧客に貢献したほうが
遥かに良い価値提供ができるのでは
ないでしょうか。
アップセル,クロスセルは
お手の物ですから…
会社はどんどん伸びていくことでしょう。
愚痴が問題ではなく…
これを言いたかったことが問題であり,
内容に矛盾が発生している。
…つまり,
本当に顧客に価値提供することを
第一順位として考えているなら,
その会社の風通しを良くしようとする時点で
無駄な労力が多すぎる。
…ということですね。
言いたくても我慢していた理由は…
その場の人間関係的な問題も
ありますが。
もしかしたら,
会社を良くする>顧客への価値提供
という優先順位なのかもしれません。
なにせ…
営業成績を上げて
発言力を高めないと
無視される…とのことでしたから。
(実際にはナンバーワンでも無視されていますが)
相手のことを
詳しく知っているわけでもなく,
積み重ねてきた人間関係が
あるわけでもないのに…
いきなり
「正論」
をぶつけるわけにも
いきません。
生き方と在り方,考え方
そして…
これは聞くと話に聞いた情報を
いくつか集めて結合した結果…
その方は…
・以前は団体職員だった
・その時から凄腕で,顧客からの信頼も篤かった
・その団体組織の内部分裂で組織から追われた
という背景があるようです。
さてこれを踏まえて…
私がこの「愚痴の話」から考えたのは
何だったのか。
結局は生き方,在り方の
問題なんだな…という話です。
どういうことか。
組織の権力闘争に巻き込まれ…
人生の相応の時間を過ごしてきた
団体を追われたわけです。
そして…
就職先で…
組織が腐敗していて
ブラック起業。
その会社を改善しようと
やっきになっている。
…かたわら,
それは顧客にとっては
直接関係ない話だから,
顧客への価値提供は全力で行う。
つまり…
その人にとって,
「自分で起業して,
自分で組織の頂点として
理想とする組織づくりをする」
という発想はないのかもしれません。
一方。
私は,サラリーマンドロップアウト組。
これまで一番長く勤めたのは
コンビニバイトの3年半。
起業前に,3年は下積みして
実力をつけよう…と決めていたのに,
2年1ヶ月で退職。
完全に,組織不適合者です。
だから…
私は組織を改善,改革とか
まるで意味がわからない。
問題を解決して
生産性を向上させるために
どうしたらいいのかはわかります。
実際にその内容でコンサルティングを
行ってもいます。
…が。
腐敗で凝り固まっている
上層部に風穴を開けるなんて…
やり方以前に,
それをやる意義が見いだせないのです。
その方は半沢直樹とかなんとか
言ってましたが…
組織内の権力闘争の話っぽいですので
まったく興味がなく…
納得いかないなら
自分で起業すればいい。
実際…
私もよく言われました。
独立するために実力をつけようと
下積みをしていた頃に…
その事務所のやり方が
非効率で不合理だったので,
より早くより効果的な方法で
仕事をしていたら…
周りの人も,
同じようなやり方で
どんどん仕事を効率化していき…
そして上層部と衝突。
「そういうやり方は
自分の事務所でやってくれ」
…と言われたものです。
2回目言われた時に
退職を決意しました。
それが私の在り方であり…
そして…
その人は…それでも
組織の風通しを良くしようと頑張る。
その人のあり方ですね。
これは優劣がどうこう…
という話ではないので…
私が安易に,
「だったら起業すればいい」
なんて言ってはいけないのです。
ただ…きっと
多くの会社は,こういう
気骨あふれる会社員がいるから
かろうじて空中分解せずに
踏みとどまっているんだろうな…
と思いつつ。
その人が自分の会社をもったら
どれだけいい会社になるんだろうか…
もったいない。
…と思うのが私なのでしょう。
生き方,在り方,考え方は十人十色。
どれがよくて,悪くて…
なんて評価や否定をすると
不和と対立を生むだけです。
あらためて気をつけていきたいものです。
あなたがよりアップスタッツな明日になりますように。
アップスタッツ合同会社 経営軍師 飯山陽平