こんにちは。
アップスタッツの飯山です。
今日は,
顧客からの不平不満を防いで
感謝に繋げる例についてです。
以前,
直接目にして,
見事だな…と思ったので
紹介します。
一歩間違えると,
不平不満,
そこからつながって…
SNSなどで悪口を垂れ流し…
なんてことも起こりうる
今の時代です。
それを先まわりして
予防することが,
逆に「感謝」につながるこの事例。
何が決め手になったのでしょうか。
以下,最後までお付き合いください。
修理業者の極めて効果的な一手
いつだったか…
以前のことです。
知人宅でエコキュートが故障して
エラー表示がされるようになりました。
その方は,機械関係が
さっぱりなのです。
ちょっとしたきっかけで,
その方から頼まれて修理業者を手配,
現場に立ち会うことになりました。
エコキュートとは
自然冷媒ヒートポンプ給湯機
とのこと。
まあ,オール電化の家庭で,
安い電気を使ってタンクにお湯をためておく,
装置…とでも言えばいいのでしょうか。
ガス給湯器よりもランニングコストが
安いらしいですね。
そんなエコキュートに
不具合が発生して,
浴槽にお湯をためることが
できなくなった…とのこと。
メーカーに電話して,
修理担当者に来てもらい,
私もその場に立ち会いました。
機器を開いて見ると,
明らかに,水滴が漏れ出ています。
その漏れがどこから来ているのかを
突き止め…
また,
お湯が漏れることで,湯気により
一部の配線が腐食したことが
今回のエラーの直接的原因との
ことでした。
エコキュートそのもの入れ替えると
ン十万円します。
しかし今回は
配管などの交換だけで済んだので,
価格としては入れ替えの10分の1以下の
金額でした。
さて。
見事だと思ったのは,
ここから先の話です。
私は当事者ではなく,
知人に頼まれて
立ち会っただけ。
なので,
お金の請求やその説明は
直接本人にしてもらったのですが。
その様子を見ていると…
修理業者が,
本人に…
工事料金がいくら,
パーツ代がいくら…
タブレット端末の液晶表示を
見せながら,説明していました。
ところが,
あるパーツ代が0円になってたのです。
それはなぜなのか。
業者いわく,
「これはサービスです」
とのこと。
詳しく聞くと,
もともと,経年劣化で
今回の不具合が発生した。
そして,
このパーツも,
今はまだ稼働しているが
経年劣化していて,
近い将来,不具合を引き起こす可能性が高い。
不具合が起きると,
また出張して工事…と,
同じことの繰り返しになってしまうので,
前もって交換しておいた。
…とのこと。
それを聞いた本人は,
「ありがとうございます!」
と,とても喜んでいました。
そんな様子を見て,
一石二鳥の上手い打ち手だな,
と思った次第です。
一石二鳥の正体
前提にあるのが,
人の記憶についてです。
人の記憶は,
時間と共に,変化します。
変化…と言えば,聞こえがいいですが。
端的に言えば,
「自分の都合のいいように改竄されるものである」
ということですね。
民事裁判などでも,
証拠としては,
証人尋問による証言よりも,
書類などの証拠のほうが,
裁判官にとって重要視されているのは
これが原因です。
今回は,
配管からのお湯が漏れ…
その蒸気で配線が腐食したのが
原因です。
そのパーツは
経年劣化しているものの,
今回の不具合とは
直接関係がありません。
単に経年劣化しているのは
どちらも同じ…ということですね。
それはそれ,これはこれ。
ただ,
そのパーツが経年劣化を経て,
完全に機能しなくなり,
それが原因でエコキュート全体に
不具合が起きる可能性は
起こりえます。
そして…
それはいつかはわかりません。
極端な話。
翌日かもしれないのです。
翌日の場合。
「昨日直してもらったのに,
また不具合が…」
なんてクレームになるかもしれません。
ただ翌日の場合,
前日の工事の内容は
「まだ」覚えているので…
「別の要因である」
ということは
認識できるかもしれません。
では…これが1ヶ月後だったら
どうでしょうか。
「割と最近工事してもらったのに,
また不具合が…」
となり,
そして…出張費をはらって
また来てもらって…
でも,前回の工事は
何をしたか,覚えていない…
となると,
「出張費を稼ぐせこいやり方」
みたいな,言いがかりを
つけられるかもしれませんね。
…全く別の原因なのに。
業者さんは,
エラーの原因を精確に突き止めて,
的確な処置をしているのに…
それを不正とかせこいとか
そんな扱いされたら
どう思うでしょうか。
しかもそれを
SNSで風評としてばらまかれたりしたら
どうなるでしょうか。
…というリスクがあるので,
今回は業者が先回りして,
そのパーツを無償で交換したのです。
明細には0円と書いてあるので,
そのパーツがいくらかはわかりません。
わかりませんが…
その本来有償のものを,
無償で,先回りして交換してくれたのです。
そこに生まれるのは…
その業者への感謝です。
クレームを防いで,
感謝される。
一石二鳥ですね。
このポイントはどこにあるのか。
本来,
その無償で交換したパーツは,
現時点で経年劣化しているだけです。
今回のエコキュートの不具合とは
別の要因です。
それを
「分けて」
「先回り」
したことですね。
つまり…
これをひとまとめに
「工事一式」
で済ませてしまうというのも手です。
これで不平不満は防げるでしょう。
でもそれだと
「頼んだことをやってもらっただけ」
です。
ある意味
「当たり前」
の話になってしまいます。
なので…
それとは「分けて」
別の要因だけど,
近々,別の不具合を引き起こす可能性が高い。
だから,前もって交換した。
これは今回の件とは直接関係がないから,
サービスで無償にした。
このように
「分ける」
ことで,
より付加価値を提供したことになり,
感謝されるのです。
とてもシンプルですが…
効果的です。
私達日本人は,
日本人の奥ゆかしさ故か…
それすらも
「当たり前」
になってしまって…
顧客は,よりその付加価値を
提供されていることに
気づかない…
なんてことがおきてしまうものです。
言葉を選ばずに言いますが,
「恩を着せる」
見せ方,言い方をしないと,
感謝されることはないのです。
特に…
今回は,経年劣化です。
エコキュートそのものの交換は
回避しましたが…
それすらも時間の問題とも言えます。
ン十万もするエコキュートを買い替える際…
他社ではなく同じメーカーの
エコキュートを選んでもらえるかどうか。
そのちょっとした布石になるのです。
感謝されることで,
ちょっとした恩を着せて
顧客ロイヤリティを高め…
次の購買時に,自社に有利な展開にする。
それが…
金額はわかりませんが,
ちょっとしたパーツ代を負担すること。
そして…
それを「敢えて言う」だけです。
実に…効果的ですね。
素晴らしい事例なので紹介しました。
自社が「当たり前」として
やっている付加価値アップのサービス提供。
その点をしっかり説明することは
心がけていきたいですね。
あなたがより「アップスタッツ」な明日になりますように。
アップスタッツ 飯山陽平