こんにちは。
アップスタッツの飯山です。
今日は,
勘の正体と
精度を上げる方法について
考えていきます。
…といっても,
個人的な体験と
それに基づく考察です。
経営者の大きな役割に
「決断」
というものがあります。
通常は,
情報を収集して,
その情報を分析しながら
最良の決断をできるように
準備をします。
…が。
緊急事態などで
早急に決断をしなければならないことも
あるかもしれません。
その決断のための情報は
十分には揃っていない。
そして…その決断には
文字通り社運がかかっており…
その決断に失敗すると,
社長はもちろん,
社員まで路頭に迷い,
家族にも甚大な影響を
及ぼすことになる…
かもしれないのです。
それでも,
決断をしなければいけないのが,
経営者・社長であり…
では,その決断は
何によってされるのか。
身もふたもないですが,
「勘」
です。
今日はその勘の話です。
最後までお付き合いください。
一瞬の判断
先日のことです。
新しくパソコンを購入し,
パソコンのデータを引き継ぐための
ソフトウェア…
いわゆる引っ越しソフトも購入。
Macだったら,
Bluetoothで
すべて解決してしまうのですが,
Windowsではそうはいきません。
昔は,
そういう機能も
ありましたが…たしか
Windows7で,
その機能はなくなってしまいました。
Windowsは,
相変わらず,改悪が大好きなようですね。
それはさておき。
引っ越しソフトをインストールして,
マニュアル通りに動かしたが,
さっぱりうまくいかない。
仕方がないので,
電話をしてサポートを受けました。
遠隔操作で,
自分が触っていないのに
パソコンのマウスポインタが
動いている姿は
異様であり…また
ちょっと懐かしいですね。
昔は専用業務ソフトを
使っていた時代に,
その手のサポートを
よく受けていました。
さて。
私から軽く症状を聞き,
遠隔操作に繋いで…
ほんの少しだけ作業が止まり…
すぐに,
そのパソコンにインストール済みの
あるソフトの設定をいじったところ…
今までどうしてもうまくいかなかった部分が
何事もなく解消。
まさに,
一瞬の解決でした。
そこで,
尋ねてみたのです。
「何が原因だったのですか?」
すると…
「よくわかりません。
ただ,セキュリティソフトの設定を
変更したら,問題が解消しました。
おそらく,セキュリティソフトの
何らかの影響でうまくいかなかったのでしょう」
わかってなかったのか…
と思いつつ。
まあ,今までうまく行かなくて
進まなかった作業が
進んだのですから…
サポートを終了。
早速,作業を再開して…
そのまま,
買ったばかりのパソコンは
どうしても動かなくなり…
パソコンショップに持ち込んで
初期化するはめになりました。
Windows95時代から,
ずっとパソコンを使っていますが,
パソコンを「修理」に出したのは
これが初めての体験です。
それから…
そのサポートとの間で
かなーり面倒なやり取りが続き,
初期化してしまったため,
一度インストールして,
ライセンスが切れてしまった
引っ越しソフトの,
ライセンスを復活。
紆余曲折を経て,
ようやく引っ越しが完了。
まあ,
現在も,一部アプリで
音が出なかったりと
いろいろ悪戦苦闘中ですが。
それはさておき。
話を戻します。
サポートに繋いで,
パソコンを遠隔操作したら…
そのサポートの方は,
ちょっと考えて,
真っ先にセキュリティソフトを
いじったのです。
しかも,
理由を尋ねてみると,
「よくわからない」
らしい。
要するに,
勘でセキュリティソフトをいじって,
なんとなく障害を解消したのです。
さて,
今日のお題。
勘の正体とは何でしょうか。
勘の正体
個人的な考察で言うなら,
「中間省略」
です。
目の前に,
ある出来事があり…
その出来事を裏付ける
類似した膨大な経験の蓄積があり…
その結果,即時に結論が出る。
例えば,
空を見ていて,
即時に
「この後,夕立が来る」
と判断します。
それが,勘です。
そして,勘の正体は…
これまでに,
空を見て,
雲の様子,空の色,空気感,
風の流れ…
それらがその後,
実際に夕立になった場合。
ならなかった場合。
それらの膨大な経験を
積み重ねて…
目の前の空を見たときに,
これまでのデータの蓄積を
「参照」
した結果,
「夕立の可能性が高い」
と判断するとします。
…が。
9月10日夕方4時の空模様が
こうだったから…
なんて,
データを参照して
比較検討しているわけでは
ありません。
コンピュータは
人間の脳を模して作られた
と言われますが…
人間の脳は,
コンピュータよりも
アバウトかつ高性能です。
「100%確実に当たる天気予報は
できるが…
そのために必要なデータを入れて
演算すると…
その処理に3日かかってしまう」
なんて話があります。
つまり,
9月10日の天気予報が,
9月13日にならないと
できないのです。
それがコンピュータだとして…
その演算の過程を,
一部かっ飛ばして,
結論だけ手に入れようとするのが
「勘」
ということですね。
勘の精度を高める方法
勘の正体が,
前提にある膨大な情報をもとに,
その処理をかっ飛ばして
結論だけを手に入れる
「中間省略」
だとした場合。
勘の精度は
どうやって高めればいいのでしょうか。
ざっくりと2つのステップです。
一つは,
前提となる情報を
どれだけ多くインプット
しているかどうか。
もうひとつが,
どれだけ,
実際に「勘」で判断して,
その精度を分析したかどうか。
上述の例では,
「夕立が来る」
と勘を働かせたものの,
実際に夕立が本当に来たのか,
来なかったのか。
そこを検証しないと,
勘の精度はあがらない,
ということですね。
冒頭の例で言うと,
サポートの技術者は
これまでの経験則上から,
なんとなく
セキュリティソフトに原因がありそう,
と判断して…
それを言語化して
説明するのは大変ですから,
「なんとなく」
といった感じで言ったのでは
ないでしょうか。
別の例では…
私の場合,
はじめての方をコンサルティング
している時などに
よくあるのですが。
言っていることと,
その結果としての事実や出来事に
「矛盾」
が発生している場合。
例えば…
話を細かく聴いていくと,
毎月20人くらいは
アポが取れている。
セールスの成約率は,
だいたい半分(5割)程度。
そして…
毎月の案件獲得数は
1~2件なのでつらい。
みたいな相談,
実はかなり多いです。
これ…
計算が合わないですよね。
何がが間違っています。
大体の場合,
1~2件,という前提は
間違っていないので
(たまに間違ってますが)
・毎月20件はアポが取れている
・セールスの成約率は5割
…とあった場合,
どちらかが間違っているわけです。
その間違っているのは
どちらなのか。
その人と話していると
だいたい分かるのですが…
それは勘であって,
説明するが難しいものです。
だから
「勘」
なんですよね。
つまり,
勘は,一定のインプットがないと,
精度があがりません。
例えば,老練の経営者が,
経営判断については
バンバン,的確に勘を
はたらかせて,
やばい案件は避けて通る。
そして…
ろくにやったことのない
人材採用で,地雷…
どうしようもない人を
雇ってしまうのは…
契約に関する勘は
磨いてきたけど,
人材採用の勘は磨いてこなかった。
…というだけの話でもあります。
まずは,
どれだけ蓄積できるか。
なお,
情報は,「自分の体験」だけとは
限りません。
だから,
コンサルタントは,
膨大な事例を学ぶことが
大事になってきます。
もちろん,
コンサルタントが
「勘です」
なんて言えませんから…
勘の正体を言語化するのが
コンサルタントの
大事なスキルでもありますね。
将棋の世界でも,
棋士が3時間考えた指し手と
3秒で考えた指し手は,
ほとんど変わらない…らしいです。
結局,
それも,これまで
学んできて,指してきた
膨大な棋譜という情報の上に
成り立っている,
勘の指し手なのでしょう。
最善手には限らない,
情報の収集と地癖は
大事ということが
身にしみて分かる話です。
あなたがより「アップスタッツ」な明日になりますように。
アップスタッツ 飯山陽平