ネットなどで
「10年後も食える仕事、食えない仕事」
といった言い回しを見かけるようになりました。
あるいは、「無くなる仕事、存続する仕事」と表現しているものもあるかもしれません。
私自身は、士業の仕事をしています。(※本記事執筆当時の話です)
個人的な見解です。
弁護士を除くほぼ全ての士業が、10年もすれば消滅してもおかしくないでしょう。
例えば、会社登記手続きは、税理士、行政書士、司法書士などが関与します。
しかし、これらの仕事は…10年後には無くなるのではないでしょうか。
なぜなら、オンラインで、書類の書式がほとんど無料で手に入るからです。
例えば、同じ会社登記手続きでも、会社の本店移転をする人に聞いてみたら、
「自分で登記した」
という人がほとんど。
「法務局へ行けば、書類の書式を無料でもらえて、書き方もその場で教えてもらえる」
とのこと。
これでは、士業の仕事は将来的に無くなるのも仕方がないでしょう。
いわゆる「コモディティ(一般消費財)化」です。
トイレットペーパーやティッシュペーパーのように、日常的に消耗されるだけの商品に成り下がります。
大量生産され、大量消費されるともなれば、価値は下がります。
個性が無くなります。個性がなくなれば、ますます価値が下がります。
値段競争に突入し、さらに価値が下がります。
コモディティ化を脱するにはどうしたらいいのでしょうか。
2つあります。
ひとつは、コモディティ化したものを売りながらも、「売り手側」がコモディティ化を脱することです。
「どうせ買わなければいけないものなのだから、他でもないあなたから買いたい」
と言われるようになることです。
これについては、世界ナンバーワンマーケティングコンサルタントのジェイ・エイブラハムが「卓越の戦略」というコンセプトで紹介しています。
詳細は…今日の本題ではないので省略します。
このブログのあちこちに書いてあるので、そちらをご覧ください。
今日の本題は、2つ目。
「コモディティ化」したものを特別に仕立てることで、コモディティ化を脱することです。
言葉遊びのように聞こえます。
わかりづらいので、何度もよく読んで下さい。
「顧客は【解決策】が欲しいのではない。【解決】したい」
ということなのです。
これを、コピーライティングにおいて非常に有名な格言に例えると、
「顧客はドリルがほしいのではない、穴をあけたいだけ」
となります。
多くの場合、ドリルを売り込む人ばかりではないでしょうか。
あるいは、ドリルの性能をアピールしている人ばかりではないでしょうか。
顧客はドリルがほしいのではないのです。
穴を開けたいのです。
ドリルではなく別の例えにします。
大学には、様々なサークルや同好会があります。
OBなどの卒業生も含めた同窓会とも、かなりの人数規模になるかもしれません。
会費を集めて運営していたら…そこそこの金額の預金資産になるかもしれません。
規模によっては…不動産すら所有して、専門の事務局すらも設置されるかもしれません。
ですが。
同窓会やサークルでは、法人格はありません。
法人格がなければ、不動産の名義人になることはできません。
代表者個人名で登記するしか無いのです。
代表者個人で登記されるということは、代表者個人の資産か、同窓会の資産かの区別がつきません。
代表者が借金をしていたとしたら…
代表者名義で登記されている、同窓会の不動産が差し押さえされるかもしれないのです。
ではどうしたらいいのか。
「一般社団法人」
という制度があります。一般社団法人を設立すれば問題は解決します。
そこで…士業は
「一般社団法人設立手続きは●☓事務所へ」
と宣伝します。
この
「一般社団法人設立手続きは●☓事務所へ」
という宣伝文句で、依頼できるでしょうか。
問題点は次のとおりです。
(1)この同窓会の抱える問題の解決策が「一般社団法人設立」だということを、同窓会側は理解しているかどうかがわからない
(2)「一般社団法人設立手続き」をしてもらったところで、同窓会側のニーズに合った一般社団法人になるかどうかもわからない
(3)そもそも、この●☓事務所を選択する理由がない
根底にあるのは…穴ではなくドリルを売っているのです。
「一般社団法人」など、同窓会にとってはどうでもいいのです。
同窓会の資産をきちんと保全できればそれでいいのです。
しかし、9割以上の士業は,「一般社団法人設立」と掲げて、水戸●門の印籠の如く、資格を振りかざします。
これでは…ネットでちょっと調べれば書類をダウンロードできる時代においては、10年後…いや,3年後,5年後に消滅してもおかしくないでしょう。
開戦直後にウルトラ●ンは、スペシウ●光線を放ちません。
水●黄門は、開始3分で印籠を出しません。
なのに、なぜ士業は真っ先に資格を振りかざすのでしょうか。
9割以上の士業が勘違いしています。
繰り返します。
「ドリルではなく穴」
「顧客は【解決策】が欲しいのではない。【解決】したい」
のです。
一般論の解決策ではなく、細かいリサーチをして、その人の問題にスポットを当て、
「あ、これなら私の問題を解決してくれそう」
と思えるように見せられなければ、社会から淘汰されるだけでしょう。
そして、資格を掲げるだけでは、決して顧客を振り向かせることはできないのです。
【追記】
この記事の続編を書きました。併せてご覧ください。
「資格」に集客効果はあるのか
https://up-stats.com/?p=1139
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参考になります。ドリルと穴をあける例え。
コメントありがとうございます。
お役に立てて何よりです。書く側も励みになります。
大変参考になり、仰っているご主意はピンポイントでよく理解ができます。
しかし、それは業務の内容とその場面でのアプローチの方法論にもよるのではないでしょうか? 私は行政書士の業務を始めて20年になりますが… はじめてお会いしたお客さまに行政書士法にもとづく業務に関するご相談を伺う前に… 私は自分自身が行政書士としての身分を顕かにする必要があると考えています。 なので、私はそのつど必ずお客様に対して自分が行政書士であることを証明するために まず最初に名刺とともに行政書士登録証の原本をお客様にしっかり提示してから本題に入ります。 特に代理権を行使する案件であればなおさらです。 ♪これも私が勘違いをしており、9割の人間として批判されるべき行為なのですね? 特段、資格を振りかざすためにするのではなく…ごく自然な行為だと思うのですが。
コメントありがとうございます。
「これ以上の内容は有料コンテンツの一部にしよう」
と出し惜しみをしました。その結果、意図が正確に伝わりませんでした。失礼いたしました。
補足に変えて、今日の記事にしましたのでよろしければご覧ください。
「資格」に集客効果はあるのか
ためになりました。わたしは司法書士か弁護士か、どちらを目指すか迷っていたのですが、おかげさまで決心しました☺。
お役に立てて,幸いです。
コメントありがとうございます。