こんにちは。
アップスタッツの飯山です。
昨日の続きです。
商品やサースそのものについて
直接触れたキャッチコピーを表
間接的なものを裏…とした場合。
多くの場合,
裏のほうが注意を取りやすい反面,
いくつかの問題がある…
という話をしました。
私のような
「本職」としてではなく,
社長・経営者が
自らの会社で扱う
商品やサービスのために,
キャッチコピーを考える場合。
どうすればいいのでしょうか。
以下最後までお付き合いください。
原理原則と例外の逆転現象
10年以上前のことでしょうか。
私が法務職をしていたときのことです。
その経歴から,縁をいただき,
出身大学の法学部で非常勤講師をすることに
なりました。
学生に法律を教えながら…
話をしていると,
どうも法律をきちんと理解していない。
その原因を探っていくと,
あることがわかりました。
民法の法律を
しっかり「書いてあることを理解する」
のですが。
原理原則を理解していないのです。
これは,
昔の法律特有の問題ではあるのですが。
「あまりにも当然なことは
いうまでもないので,
法律にあえて書くまでもない」
例えば,
「契約自由の原則」
そのものを
直接具体的に定義づけした
民法の条文はありません。
その上で,
未成年者やら,制限能力者やらの
規定がいろいろ書いてあるわけです。
本来,
契約自由の原則にもとづき,
誰もが平等に,対等に,自由に
契約することができる。
けれど…
判断能力が未熟な未成年者だったり…
認知症やら,精神・知的障害の人を相手に
自由に契約することができる。
…となったら,
不都合がおきますよね。
よくわからない壷をン十万で買ったり…
一人暮らしの老人が,
高級羽毛布団を5セット買ったり…
なんてことが起きてしまう。
そういう人のために,
「自由」を是正するための規定が,
法律に書いてあるのです。
…が。
原則そのものは法律には書いていないので,
人の能力や権利をいかに制限するのか。
…みたいな理解に鳴ってしまっているのです。
法律に書いてあることは
「例外」
であって,原則は書いていないのです。
これがわかっていない学生が,
法律についてトンチンカンな考えを
持っている傾向にあることが
わかりました。
さて,
なんでこんな話をしているかというと…
キャッチコピーも同じだからです。
先日の
キャッチコピーの表と裏に関する記事で,
こんなコメントをいただきました。
コピーライティングを勉強していると、
無駄に裏のキャッチコピーを作りがちになりますね。
まさにそうなのです。
キャッチコピーの目的は,
あくまでも注意をひくこと。
注意をひく前提で,
正攻法が表の場合。
昔から
「押してもだめなら引いてみろ」
と言いますよね。
つまり,
正攻法が通じない
業種業態などもあるから…
その場合には,
「裏」
を使うということです。
表の正攻法で
注意を引けるなら,
あえて,奇を衒った裏を使う必要は
ないのですね。
…でも,
キャッチコピーに関する
様々な教材,書籍,セミナーなどでは,
「裏」
のやり方ばかりを
解説する傾向がある。
そして…
それが行き過ぎて,
高度なコピーライティングの
知識スキルに発展してしまうのです。
もちろん,
コピーライターを生業にするなら
ともかく。
経営者・社長が
「本業のビジネスで,
商品やサービスを売り出す」
ためのなのに…
不相応に高度で複雑化した
コピーライティングを
学ぶ必要はあるのでしょうか。
もちろん,
「社長の仕事はマーケティング」
ですから…学んだ方がいいに
越したことはないのですが。
でも…
その前に,
「原理原則」
すなわち,
「表のキャッチコピー」
をしっかり使いこなせるようになる方が
遥かに効果的です。
裏のキャッチコピーのほうが
注意を引けるとしても…
表のキャッチコピーを徹底的に
理解し使えるようになる方がいい。
コピーライティングはあくまでも
「単なるひとつの戦術レベルの話」
です。
具体的には…
表のキャッチコピー大原則
表のキャッチコピーをいろいろ解説することは
できますが。
今日は本当に大事なものを1つだけ
紹介します。
マーケティングは
リサーチが大事です。
しっかり顧客リサーチをして…
その顧客に対して,
どう売っていくのかを
考えるのですが。
そのリサーチをそのまま使えたら
いいですよね。
今日紹介する本当に大事な
コピーライティングの大原則。
それは,
ターゲットたる顧客が,
「あ,自分のことだな」
…と思えるコピーです。
経営者・社長向けに,
「年収1000万を越えたい方,他にいませんか?」
にはならないのです。
なぜなら,
経営者は
「年収」
という概念は,
基本的にないからです。
経営者の頭には,
「年商」
のほうがリアリティーがあるでしょう。
それは,
しっかり顧客リサーチをしていれば,
わかることですね。
顧客リサーチの結果,
1日15時間働いて,
年商7000万が精一杯。
ますます忙しくなるばかりで,
ちっとも売上が伸びない。
…なんてことがわかった場合,
この経営者が
「あ,コレ私のことだ」
と思えるコピーは何なのかを,
しっかり考えればいいのです。
具体的には
「年商1億円までもう少し…と思いつつ
到達しないまま3年を経過した社長へ」
…なんてコピーだったら
どうでしょうか。
場合によっては,
そのリサーチした相手に,
ストレートに,
「こんなキャッチコピーだと,
自分ごとって感じしますか?」
と尋ねてしまうのも手でしょう。
表コピーは,
ターゲットたる顧客をどれだけ
精確にリサーチできるかどうかに
かかっています。
そして…リサーチは
まさにマーケティングの命です。
奇を衒ったコピーライティングスキルを
身につけようとするよりも…
リサーチスキルを高めたほうが,
成果は出やすいのです。
最後に。
この表のキャッチコピー。
ターゲットの人以外には
かすりもしません。
まるで注意をひくこともないのです。
一方,
裏キャッチコピーは,
私がピアノの前に座るとみんなが笑った
でも弾きはじめると…?
復讐のストーリーでもあるし,
好奇心のトリガーも仕込まれているので,
ピアノのレッスンに興味がない人も,
…ん?
と思う方もいるのではないでしょうか。
これが裏のキャッチコピーの威力なのですが。
でも,それって不要ですよね。
「ターゲット外」
の人からいろいろ言われて,
迷ってしまうこともあるかもしれませんが。
届けたい方にだけ的確に響くメッセージを
考えられるかどうか。
他の人の注意を引くことは必要ないのです。
ターゲットの人だけが
「あ,私のことだ…」
と思えるかどうか。
これが原理原則です。
忘れずに心がけたいですね。
あなたがより「アップスタッツ」な明日になりますように。
アップスタッツ 飯山陽平