必要最小限以下のサービスで顧客満足度が上がった話

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こんにちは。
アップスタッツの飯山です。

 

昨日は,
ある動物園のマーケティングについて
紹介しました。

 

今日は,
別の動物園を例に,
マーケティングだけではなく,
マーケティングと商品クオリティの
一貫性について考えていきます。

 

例によって,
カピバラ成分が多くなりがちですので,
諦めて最後までお付き合いください。

 

 

 

カピバラ日本一の動物園

 

 

 

カピバラの聖地と言えば,
長崎バイオパークである。

 

これは,
全国のカピバラ好きの間で
おそらく異論はないでしょう。

 

 

老舗であり…
「聖地」と言われるだけの
様々な仕組みがあります。

 

 

が。
聖地ではないものの,
近年,カピバラ好きの間で
話題になっているのが…

 

 

徳島市の
「とくしま動物園」
です。

 

 

それは,飼育頭数の多さ。

 

聖地,長崎バイオパークでも
20頭は超えていないでしょう。

 

 

でも…
とくしま動物園は…
確認したところによれば,
今年3月の時点で96頭。

 

 

これは,
ものすごい数です。

 

もっとも,
カピバラもねずみですから,
繁殖制限を掛けなければ
ねずみ算式に増えていきます。

 

 

ただし,
このとくしま動物園。
原則として,
カピバラをモフることはできません。

 

 

私は,
カピバラをモフるのが好きなので,
行くことは考えていなかったのですが,
思うところがあって,
思い切って訪ねてみました。

 

 

結論としては…
今までにない素晴らしい体験でした。

 

 

それが,
今日のテーマである,
マーケティングとサービスの
一貫性についての話でもあります。

 

とくしま動物園は,
徳島市の市営動物園です。

 

ウェブサイトは専用のものはなく,
徳島市ウェブサイトの一部に,
情報が若干載っている…程度のものです。

 

 

つまり…
非常に偏見に満ちた言い方をします。

 

 

いわゆる園長は,
市長であり…
責任者は別途いるのでしょうけど…
要するに,
市役所の職員…公務員です。

 

 

公務員が運営する
市営の動物園。

 

どんなイメージを抱くでしょうか。

 

 

もちろん,
行動展示で一世を風靡した,
かの旭山動物園は
旭川市営の動物園です。

 

市営の動物園が一律,
旧態依然とした,
ろくにマーケティングのできない
園である。

 

…とはいいません。

 

 

が。
とくしま動物園は,どうだったのか。

 

 

まず,
園内Mapがどこにもない。

 

紙媒体として配られることもなければ…
「園内MAP」
と書かれた掲示板にすら,
そのMAPがありません。

 

 

カピバラ以外に,
見に行きたいところ…
(モルモット…要するにげっ歯類)
を探して,園内をさまようこと3周。
どうしても見つけられず…

 

いろいろ検索した結果,
他サイトに情報があり,
いったん,園を出て,
別の入口から入らないとたどり着かない
ということでした。

 

 

園内マップがないのはもちろん,
売店も大した商品はなく…

 

 

園内の情報コンテンツも,
イマイチです。

 

動物の見せ方も…
ありきたりです。

 

ワニとか,亀とか…
その3周さまよっている間,
3回も前を通って…
微動だにしていないので,
本当に生き物を展示しているのか
心配になりました。

 

単なるガラス張りで,
そのガラスも曇っていて
中がよく見えません。

 

そんな感じの展示です。

 

では,
カピバラはどうなのか。

 

 

カピバラの展示は…
飼育頭数が圧倒的にぶっちぎり国内一位
ということで…
競合優位性はあります。

 

が,
触ることはできません。

 

実際に体験してみたところ,
どうなのか。

 

 

「これはこれであり」

 

というのが結論です。
なぜか。

 

大抵の動物園はBGMがかかっており,
ひっきりなしに放送が流れます。

 

 

が。
このとくしま動物園は…
1時間に1回,簡単な注意事項が
手短に流れるくらいで…
あとは一切,なにもありません。

 

BGMもありません。

 

訪れたのは,平日です。
来園者もそれほど多くはありません。

 

つまり…
これが,他の園にはない
要素をもたらしました。

 

園内が…
圧倒的に静寂なのです。
とにかく,静か。

 

音がほとんどありません。

 

 

つまり…
そんな状況で聞こえる音はなにか。

 

カピバラが発生させる音です。

 

カピバラが池に飛び込む水の音。
カピバラが,何かを食べる咀嚼音。
カピバラが歩くときの,湿った砂利を踏む音。
カピバラが水から上がって水滴を飛ばす音。

 

そして…小さな小さな
生後数週間の,仔カピバラの,か細い鳴き声。

 

これらが聞こえるのです。

 

 

この静寂さの中に響く
カピバラの出す音を耳にする…
というのは,他の園で体験したことがなく…
ものすごく,癒される気分でした。

 

 

旭山動物園のように,
「行動展示」
で動物本来の姿を見せる,
というスタイルもいいですが。

 

 

園自体が,
なにもしていない。
動物の飼育をしているだけで…
本当に動物園として最低限のサービスしか
しないことによって…

 

 

動物がもたらす様相を体験できる。

 

 

この「引き算的発想」は…
他にはありません。

 

もちろん,
私がそう考えているだけで,
園としてどのような考えで運営しているのかは
わかりませんが。

 

機会があったら…

なぜ繁殖制限をせずに,
数の多さで勝負しようと思ったのか。
そのあたりの意図も訪ねてみたいところです。

 

限られたリソースである,
ということを考えると…
「カピバラの数はとにかく増やそう」
という一点突破で競合優位性を確保。

 

あとは,
マーケティングどころか,
園内のユーザビリティなども含めて
本当に本当に何もない。

 

それでも
全国からカピバラ好きが集まるなら,
それはそれでとても効果的な打ち手ですね。

 

 

飼育員は,飼育はできるけど,
マーケティングや…
「見せ方」「魅せ方」などはわからない。

ならば,カピバラたちに丸投げしてしまう,
という発想,実に素晴らしいです。

 

100頭近くいれば…本当にいつまでも
見ていられるし飽きません。

100ちかくのうち,半分が寝ていて
微動だにしなくても,
残りのカピバラたちの中で,

相撲をしてたり,
腹を出してゴロンゴロンしていたり…
同居しているシマウマにマーキングして,

足で追っ払われていたり…

 

見どころはいくらでもあります。

 

最後に。

野生のカピバラは…
多くても30頭前後の群れのようですね。

なので,
100頭近いカピバラが集まる姿は,
自然では見られず…
まさに「動物園だから見られる」光景です。

この点に関しては
自然の,あるがままとは言えませんが。

ただ…
エサの時間になると,
飼育員の前にずらりと集まり…
そして…
体重50~60キロもあるカピバラが
数十頭,その飼育員の後ろについて,
歩いて行く姿は…
圧倒的な迫力です。

 

まさに…

カピバラという言葉の由来
「草原の支配者」
にふさわしい風格ですね。

 

なお,入園料は1000円。
年間パスポートは3000円。

年間3回以上行けるとは思わなかったので,
年間パスポートの購入は断念しました。

あなたがより「アップスタッツ」な明日になりますように。
アップスタッツ 飯山陽平

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