こんにちは。
アップスタッツの飯山です。

 

今日は…
カピバラ様拝謁に訪れた話から
「元祖」
という点についてお伝えしていきます。

 

身もふたもない話
元祖だからこそという
魅力がなければ
「元祖でしかない」
ということになってしまいます。

 

世の中，
元祖を差し置いて有名になった
企業や商品，サービスは
いくらでもありますよね。

 

それを踏まえて，
元祖カピバラの露天風呂，
伊豆シャボテン動物公園に
初めて訪れた時の話です。

 

 

いつもどおりマニアックな話ですが
お付き合いください。

 

 

 

 

カピバラの露天風呂の背景

 

 

時は１９８２年の冬。

 

カピバラは水辺に生きるげっ歯類です。
カピバラの飼育に水は欠かせません。

 

普段は，
カピバラ用の大きな池の水を抜いて，
水で洗っていたところ。

 

 

その日はたまたま，
お湯で洗っていました。

 

 

すると，
カピバラたちが集まってきたのです。
それを見た飼育員。
お湯を澑めたら，浸かるのではないか。

 

そう思って試したのが
カピバラの露天風呂の始まりです。

 

 

以来…
元祖カピバラの露天風呂として
伝統を守り…

 

 

めでたく４０周年ということで，
今まではオンラインで眺めるだけだった
「元祖」
カピバラの露天風呂を
直接見てくることにしました。

 

 

 

競合の動向

 

 

カピバラといえば，
ガピバラの聖地，
長崎バイオパーク。

 

長崎バイオパークでも，
２０００年代に
カピバラの露天風呂を始めています。

 

始める切っ掛けが，
元祖カピバラの露天風呂を見に行って
現場の飼育員に

 

 

「うちも温泉があればやりたいんだけど」
「え？温泉ではなくただのお湯ですよ？」
「なら，うちでもできるかも…」

 

なんてやり取りがあったらしく
長崎バイオパークでも露天風呂を設置。

 

 

むしろ，
一歩先を行く…
「元祖カピバラの打たせ湯」
でもあります。

 

竹の先から出てくるお湯にずっと打たれ続け，
微動だにしないカピバラの姿は
修行僧…には見えませんね。
うっとりしていますので。

 

このように，
競合が発生する中で，
元祖カピバラの露天風呂の実力は
どうだったのでしょうか。

 

 

「元祖」という超えられないはずの壁

 

 

１５匹のカピバラが
お湯に浸かっている姿は
なかなかに圧巻。

 

コラボで
「牡蠣」の殻を浮かべており，
その殻を気まぐれに齧る
カピバラもいて…
なかなかに可愛らしい。

 

１５匹もいると
年齢層も様々。

 

 

ざっくりと
大中小そして巨大な
カピバラが一度にお湯に浸かっているのです，

 

１時間ほどでしたが，
見ごたえがありました。

 

…が。

 

これ「だけ」なら
よそでもできることです。

 

もちろん，
飼育頭数の問題はありますが，
お湯を入れれば，
カピバラは中に入って
ゆったりくつろぎます。

 

 

もともと，
南米の生き物ですから，
日本の冬は寒すぎます。

 

 

湯の中であたたまるのは自然です。

 

なので…

 

「元祖」
でなくてもできることです。

 

 

４０年前に始めた
伊豆シャボテン動物公園。

一方，
２０００年代ですので，
２０年くらい前でしょうか。

 

つまり，
４０年の歴史を後発が超えることは
ありえないわけです。

 

でも，
やっていることだけで見ると，
「他所でもできること」
となってしまいます。

 

もちろん，
カピバラ好きなら
どちらも訪れて，
どちらも楽しむのでしょうけど…

 

「どちらをまた行きたいと思うのか」

 

 

…つまり，リピート率で考えると，
優劣の問題は発生します。

 

 

そして…
本来は，元祖を超えることは
理論上できないのですが。

 

…でも，
その元祖「でしかできないこと」を
やらなければ…
他所が追いついてしまう。

 

現実には，
多世代のカピバラ１５匹が
一斉にお湯に浸かる姿…
というのは他所では難しいでしょう，

 

でも
「元祖ならでは」
というわけでもありません。

 

では，
元祖の実力は
どこにあるのでしょうか。

 

 

カピバラの寿命は…
飼育下で９年前後といわれています，

 

つまり…
４０年も経てば，
だいたい，４〜５世代は
経ているわけですね。

 

それだけのカピバラが，
その露天風呂で湯に浸かったのです。

 

飼育員も，
同じ人がずっと…
というわけでもないでしょう。

 

つまり，
沢山の人達が関わり
ずっと支えてきたから
４０年記念を迎えることができたのです。

 

 

そして…
その中に何があるのか。

 

物語です。

 

個性の強いカピバラが，
何かをやらかして…

 

その顛末に追われた…
なんてことはあったかもしれませんね。

 

他にも…
伊豆ですから
台風が直撃して，
施設にダメージが。

 

今季の露天風呂開催は難しい…
そこを，関係者が力を合わせて
なんとじゃ事態を打開した。

 

 

という状況があったかもしれません。

 

これらは私の空想ですが。

 

こういった物語…エピソードは，
歴史があればこそ，
数が生まれ，深みが増すのです。

 

 

今回，
カピバラの露天風呂を見ながら
飼育員による簡単なアナウンスがありましたが。

 

そういった
「歴史と背景」
にふれることは…上述の
「発端」
しかなく…

 

それ故，もったいないと感じた次第です，

 

 

元祖カピバラの露天風呂。

 

ショーとしては
元祖の名に恥じない
見事なものでした。

 

…が
元祖でしかできないアプローチが
ないのはもったいないですね。

 

今後のさらなる飛躍を
楽しみにしたいところです。

あなたがよりアップスタッツな明日になりますように。
アップスタッツ　飯山陽平