この日、本当に売ったものは何だったのか

この日、本当に売ったものは何だったのか

この日、本当に売ったものは何だったのか
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2016年4月21日。
この日、ジャパネットたかたでは、その日のテレビ通販の売上全額を、震災被害者のために寄付する、という発表がありました。

正確にはテレビ通販、ラジオ通販、インタネット通販(対象商品)からの売上全額です。

比べたらジャパネットに失礼でしょう。
どこかの政党が、震災被害者のために寄付金を募って、選挙活動に使おうとして炎上したのとは大違いです。

結局、この日1日で、売上は1 億 7858 万 6160 円となりました。
この全額を義援金として寄付したとのこと。

「売上全額を寄付」
というのは、考えれば考えるほどすごい話です。
なぜなら、実際に支払いコストはその額以上になるからです。

通常は、
(1)仕入れに要した金額
(2)広告宣伝費
(3)販管費
などの費用を掛けて売上を上げて、利益を得ます。
その売上全額を寄付した以上、売上全額だけではなくこの(1)〜(3)の分全額も負担していることになります。

寄付すればその分寄付金控除される…という考え方もあります。
それは、利益から寄付している分です。この(1)〜(3)に掛けた費用を考えると、実に経済的負担が大きいことは言うまでもありません。

これこそが、利他の精神に基づく「寄付」だったり「義援金」の見本でしょう。

ところが、この「全額寄付」という行為が、計算づくだったとしたらどうでしょうか。

あくまでも推測です。
非常に巧いマーケティング戦略です。

それが今日のタイトル、
「この日、本当に売ったものは何だったのか」
です。

この日、ジャパネットたかたは何を販売したのでしょうか。
エネループなどの防災グッズを販売しました。
けれども、売上は寄付済みです。
売上を寄付しても、それでも売ることに成功した何かがそこにあるのです。

1つは、話題性です。
ジャパネット自体は、テレビショッピングを始めとしたメディアを持っています。
ですが、あくまでもそれは自社の枠内だけでのメディアです。
それ以上のPR効果を狙うためにも、話題性は不可欠。

PR…すなわち、マスコミにアプローチして、(無料で)報道してもらう、という話題作りになりました。

2つ目は、アップセルです。2度目3度目のきっかけとして売ったのです。
別の言い方をすれば、新規顧客の獲得です。
普段ジャパネットに興味が無い人でも、マスコミの報道によって興味を持つかもしれません。
また、このような趣旨に賛同して、ジャパネットから買ったことがない人がこれを機会に購入したかもしれません。

その売上自体は全額寄付するので入ってきません。
しかし、そこでジャパネットから一度買った、という事実は残ります。
0回を1回にするのは大変です。しかし、1回を2回、2回を3回にするのは、そこまで大変ではないでしょう。
「損して得取れ」の精神で、新規顧客を獲得したはずです。

最後に、ジャパネットが本当に売ったもの。
それが、信用です。

似たような事例では、YKKの話があります。
オイルショック時に、物価が高騰。
様々な商品がどんどん値上がりしていく中で、YKKは
「今は商品を売るのではなく信用を売る時だ」
と判断。じっと耐えて、値段を維持して販売を続けたのです。
もちろん、仕入れ価格が高騰している以上、大赤字です。
それでも値段を維持したことによって得た信用は…他から得られるものではありません。
オイルショックが終了した後に、一気に売上を伸ばしたそうです。

ジャパネットも同じです。
単に金額を寄付するのではなく、売上から経費を引いた「利益」から寄付するのではなく、売上全額です。
この覚悟ある行動によって、ジャパネットの経営理念、ビジョン、思いを売ることが出来たのです。

前社長高田明氏がテレビショッピングから完全に引退。
高田氏のパーソナリティで作られ、発展してきた会社です。
これでジャパネットはどうなるのだろうか…
正直不安ではありました。

ですが…ここまで「損して得取れ」のしたたかな戦略を取れるのであれば、杞憂で終わりそうです。

犠牲者を悼み、被災者のために尽くす。
それはそれで素晴らしいことです。
ただ…そのために自分自身を犠牲にする、というのはどうなのでしょうか。
私自身はあまり好きにはなれません。

だからこそ、今回のジャパネットのように、多額の負担…だけではなく、無形の恩恵を手に入れる。
そんな戦略が素晴らしく感じます。

これこそが、辞書に出ている本来の意味である
「情けは人のためならず」
なのでしょう。

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