半日かけて、相続に関する書類の作成をしていました。
といっても、相続手続きではなく、司法書士宛の手紙です。
ある司法書士から突然送られてきた手紙のを受け取って、内容に不審感を抱いた依頼者が私の元へ来所。
代わりに、司法書士に手紙を書く、というものです。
依頼者自身は最初から司法書士に対して不審感を抱いており、分からない点をいろいろと私に尋ねました。
私でもわかることとわからないことはあります。
与えられた情報から、法的にどのような扱いになるの判断はできます。
ですが…情報を与えられない中で判断することはできません。
ちょっと想像してみてください。
(1)あなたの遠い先祖の、かろうじて名前がわかるかわからないか、という方の相続につき、面識のない遠縁の方から、相続手続きに協力して欲しい、という依頼が来ました。
(2)あなた自身が相続権を持っている、とのこと。
(3)不動産の相続手続きに協力してほしいので、実印で押印して、印鑑証明書を付けて送り返して欲しい、とのこと。
(4)押印する書類は、遺産分割協議書です。相続となる対象となる不動産について記載されています(要するにどこの土地か、がわかる内容です)。
(5)遺産分割協議書には、あなたではなく他の人がその土地を取得する、という内容のみ書かれています。
さて、あなたはこれで遺産分割協議書に実印を押印して、印鑑証明書を付けて返送できるでしょうか。
考えてみてください。
考えてみたところで、
「何もわからないし判断ができない」
のではないでしょうか。
例えば、
「相続権を持っている」
ということが、どういう意味かがわからないでしょう。
相続権があるならば、それは自分にとってどれだけの価値があるのか。
あるいは、今回名義変更する土地は、価値があるのか。どんな土地なのか。
ほとんど価値が無い土地であり、むしろ取得するほうが面倒な土地というものは多々あります。
今回、そんな土地なのであれば、面倒ですからさっさと印鑑を押印して返送した方がいい、という判断もありえます。
ですが。
今回は、土地に関する情報が一切ないので、判断できないのです。
【もしかしたら地価1億円かもしれません。】
そんな土地を、一方的に「自分は相続分を主張しない」という遺産分割協議書に、何の代償もなく押印できるでしょうか。
ここでの最大のポイント。
それは、上記の【】です。
【もしかしたら地価1億円かもしれません。】
受け取った側が、勝手に頭のなかで空想を膨らませます。
なぜなら、情報がないからです。情報がない以上、推測や憶測、予測や妄想で足りない情報を埋めるしか無いのです。
今回、登記簿謄本も、土地の評価額がわかる資料も何もありませんでした。
ただ、遺産分割協議書を送ってきて、「押印してほしい」という要求の手紙だけ。
情報がないから、
【もしかしたら地価1億円かもしれません。】
という、空想で足りない情報を埋めるしか無いのです。
あるいは、情報がないので、
【価値が分かる書類を一切出さない、ということは、本当は価値がある土地に違いない】
【書類を出せないよということは、何かやましいことがあるに違いない】
などと、どんどん足りない情報を補完してきます。
その結果、
「不審感」
をいだき、相続手続きには協力できない、という結論に至りました。
もしここで、はじめから全ての情報を開示しておき、その上で真摯に
「この土地の件について、手続きに協力をお願いします」
とお願いしていたら…不審感には至らなかったでしょう。
不審感を抱かないから、相続手続きに協力する、しないという話はまた別です。
だからといって、不審感を抱かれて感情をこじらせたり混乱させたり、という事態にはならなかったでしょう。
さて。この
「情報が足りないと、読み手は推測や憶測、予測や妄想で足りない情報を埋める」
という点。これはこのままコピーライティングにそのまま当てはまります。
私の努力不足なのかどうなのか、未だに長いコピーを書くと、
「長すぎるので短くして下さい」
と言われます。
短い、ということは、情報を削ることになります。
情報を削ると…足りなくなります。足りなくなると、足りない分を読み手が勝手に補完します。
「値段」が書かれていないのであれば、「値段が書けないほど高い」と思われるかもしれません。
「値段の根拠」がきちんと書かれていないと「高いし、ボッタクリじゃないのか?」と思われるかもしれません。
「商品の効果効能」について書かれていないと、「本当に効果があるのか?」と思われるでしょう。
なによりも。「その商品やサービスのデメリット」がどこにもないと、「いいことしか書いていないんじゃないか?何かを隠しているに違いない。怪しいからやめておこう」ということになりかねません。
情報は、良いことも悪いことも、出せば出すほど、信ぴょう性が高まるのです。
そして、情報を出さなければ出さないほど胡散臭くなります。
コピーを短くまとめようとすればするほど、情報が不足して胡散臭くなるのです。
「長ければいい」というものではないにしても、短くまとめようとするほど、コピーライティングでは振りになるのです。
出せる情報は全て出して下さい。
紙面の限界があるのであれば、その限界の中で出せる限り出して下さい。
つまらない写真を載せたり、凝ったデザインにするよりも、少しでも多く情報を出して下さい。
ただでさえ、「広告」という時点で、胡散臭く思われているのです。
情報を出せば出すほど真実だと思ってもらいやすくなります。
出さなければ出さないほど、真実とは思ってもらえなくなるのです。
非常にシンプルな法則ですので、忘れずに活かして下さい。
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