会社を滅ぼす謝罪会見の余波

会社を滅ぼす謝罪会見の余波

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日本マクドナルドの凋落が止まりません。

米マクドナルドが約5割を握る日本マクドナルドホールディングス株の売却に向け、大手商社や国内外の投資ファンドに打診を始めたことが21日わかった。

 
米マクドナルドが約5割を握る日本マクドナルドホールディングス株の売却に向け、大手商社や国内外の投資ファンドに打診を始めたことが21日わかった。
 
 
背景にあるのは日本事業の苦戦だ。2014年夏の期限切れ鶏肉の使用問題、今年1月には異物混入問題も表面化し、品質への信頼が傷ついた。

あくまでも、個人的な私見です。
その上でご覧ください。

マクドナルドの凋落を招いた、本当の原因。
それは、上記記事にある「品質への信頼」の問題ではありません。

これは、日本独特の問題にあるように感じます。
話が逸れますが、少々お付き合い下さい。

アメリカの不動産投資に関する銀行融資では、日本と大きく違うところがあります。
アメリカでの不動産投資に関する銀行融資は、極論ですが、80歳の老人でも30年ローンが組めるのだそうです。

それはなぜか。
アメリカの場合、何を以って信用となすのか、これが日本と違うからです。
アメリカは、あくまでも「その不動産」に融資します。
つまり、その不動産が投資用物件として収益を得られるかどうか、徹底的に銀行が審査します。
その結果、十分に収益を得られる見込があるならば、借主が80歳の老人であったとしても、融資の審査は通るのです。
なぜならば、人に貸すのではないですから。
万一、返済ができなくなったら、それは銀行の責任です。
その融資対象となった担保物件を引き上げて終わりです。借主が債務を引き継ぐことはありません。

一方。
日本は、どこまでも「対人」です。
人に対して融資します。
その物件がどれだけ投資物件として魅力的であっても、フリーターには融資することはありません。
また、返済できなくなった場合、その担保物件に大して競売を実行して回収します。
その上で、不足分はその借主たる債務者に請求します。

どちらがいいか悪いか、という問題ではなく、そういう「文化」「風土」なのでしょう。

話を戻します。
マクドナルドのカサノバ社長は、一連の「賞味期限切れ」鶏肉の自体が発覚した後1週間、姿を現しませんでした。
その後、会見では憮然とした態度で「(中国の業者に)裏切られた」と述べたのです。

アメリカのような訴訟社会では、隙を見せることでいつどんな提訴につながるかわかりません。
自らの非を認めることができない「文化」「風土」なのかもしれません。
しかし、日本では完全に裏目に出てしまいました。

日本人は、カサノバ社長の、あの憮然とした態度を見て、
「許せない」
という判断をしたのでしょう。
それが今の数字に現れています。

社長の謝罪会見一つで、有名企業でも滅ぶのです。
一定年齢以上の人であれば、まだ記憶に残っている人も多いのではないでしょうか。

今は亡き、「雪印食品」です。
「雪印集団食中毒事件」という、詳細は省きますが会社の「不祥事」がありました。
そこで、社長は「そんなこと言ったってねぇ、わたしは寝ていないんだよ!!」と発言。
今の時代の表現でいうところの「大炎上」となりました。これが滅びの始まりです。
2年後に起きた「雪印牛肉偽装事件」という別の不祥事に発展し、会社は解散しました。

あくまでも、後付の推測です。
おそらく、この発言がなけれなここまで事態は大きくならず…その結果、会社はそこまで追い込まれることはなく。
結果として「次の不祥事」に手を染めることはなかったのではないかと思われます。

根底にあるのは、「誰を大切にしているのか」ということです。
「寝てない」発言は論外なので脇においておきます。

カサノバ社長が守ろうとしたのは、自分であり、会社です。
傷ついたのは、顧客です。
どんな会社であっても、顧客から見放されれば生き残ることはできないのです。

本当に裏切られたのは、誰なのでしょうか。
マクドナルドを信じていた、顧客です。
顧客は傷ついていたのです。
それでも、これまでずっと信じてきたから…と一縷の望みを掛けていたファンの思いを粉々に打ち砕いたのが、カサノバ社長の、あの憮然とした態度と「(自分が)裏切られた」という自分本位な発言です。

マーケティングにおいて、どれだけ「顧客第一主義」を掲げていても、どれだけ信用と信頼の蓄積をしてきても…一瞬で打ち砕かれたのです。
残念ながら、これがマーケティングの限界です。なぜなら人は「言っていること」よりも「行動」を信用します。
彼女の憮然とした態度以上に強力なメッセージを発信できるマーケティング手法はありません。

「不祥事の発覚」
という非常事態において、その会社の本当の体質が問われます。
どれだけ優れたキャンペーンを展開したとしても、彼女が社長をしている限りは効果はないでしょう。

最後に。

タイレノール毒物混入死亡事件
1982年、米国で第三者がタイレノール(頭痛薬)に毒物(シアン化合物)を混入し、7人が死亡するという事件が起こった。シカゴでの事件であったが、同社は直ちにアメリカ全土から全てのタイレノールを回収し、異物を混入できない構造に改良。2500人の従業員を動員し、回収費用は当時で推定1億ドルとも言われる。当時のワシントン・ポスト紙は「J&Jは、費用を度外視して正しいことを自発的に行う企業だというイメージを確立することに成功した。」と伝えた。この一件は、企業理念の実践や危機管理における対応策に題材としてしばしば取上げられている。(Wikipediaより)

上記の通り「アメリカの訴訟社会では…」と書きました。
けれど、アメリカであってもこのような「誰が一番の被害者なのか」を考えて行動できる企業はあるのです。
ここでもし、ジョンソン・エンド・ジョンソンが、「裏切られた」と言ったらどうなっていたことでしょうか。

個人的には、マクドナルドのこのどん底からV字回復という奇跡を見てみたいような気もしますが、少なくとも彼女が社長である間はダメでしょう。

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