数ヶ月くらい前のことだったかと思います。
テレビを付けっぱなしにして,見もせずにまったく別の作業をしていたときのこと。
たまたまそのときに,あるCMが流れました。
「芸能人は歯が命」
というキャッチコピーで有名な,某歯磨き粉のCMです。
それを聞いて,一瞬
「なんだそれ」
「売れるはずがないコピーだ」
と直感的に思いました。
そして,ふと我に返って,
「このキャッチコピー,昔から聞いているような気がする」
と思い出しました。
そこで,ちょっと調べてみたところ,かなり歴史のある商品のようで,相当の数売れ続けているようです。
私はなぜ最初に
「芸能人は歯が命」
というコピーでは売れない…と判断したのか。
それは文字通り解釈してしまったからです。
理由は単純。
「芸能人は歯が命」
というコピーということは,
「ターゲットは芸能人」
だと判断した,ということです。
芸能人向けに開発された商品を,一般の人が買うことは考えられない。
よって,売れるはずがない。
そのように判断したのです。
ですが,実際には売れているのです。
少々話が変わります。
有名な飲食店があるとします。
その有名な飲食店では,芸能人がそこに食べに行くこともある。
実際にそこを訪れた際に,色紙か何かにサインをして,それが壁に貼られます。
すると,その店は
「芸能人が来るような店だ」
ということで,流行る要因になります。
ここで問題です。
この例では,明らかに理屈に合いません。
それは何でしょうか。
考えてみてください。
では,改めて基本を確認してみましょう。
定義【芸能人】
芸能を職業にしている人
定義【芸能人】
映画・演劇・落語・歌謡・音楽・舞踊など、主に大衆演芸向けの娯楽の総称。
この定義を見る限りでは,やはり不思議に思うのではないでしょうか。
例えば,ミシュラン3つ星のレストランオーナーシェフが,何度も通う店。
これなら理屈はわかります。
芸能人が来る店。
…なぜ流行るのでしょうか。
全く理屈は通りません。
なぜなら,芸能人は,料理に冠するスペシャリストであるとは限らないからです。
現に,さきほどの定義では,どこにも「料理」とは書いていません。
つまり,芸能人が通う店だからといって,
「おいしい店である」
ということは何ら保証されていないのです。
にも関わらず,
「芸能人が通う店である」
というだけで,飲食店が流行る。
この奥にあるのは,
「理屈では割り切れない」
というシンプルな考え方があります。
先ほどの歯磨き粉の例に戻ります。
「芸能人は歯が命」
だからといって,一般人は芸能人ではない以上,歯を白くしなければいけないとは限りません。
普通に清潔そうにしていればそれでいいのではないでしょうか。
必要以上に白くするのは,かえって不自然のようにすら感じます。
芸能人は,テレビカメラを通しての写り具合の都合もあるのでしょう。
だから,ある程度白くなければいけないのかもしれません。
ですが,一般人はそこまでする必要は無いはずです。
…でも,
「芸能人は歯が命」
で売れたのです。
私にはどうにも意味が分からなかったのです。
とはいえ,売れているならば,それが正しいのです。
コピーやマーケティングにおいて,正しいとか間違っている,正解は存在する,という発想はありません。
反応が取れるかどうか。
数字になるかどうか。
これだけです。
敢えて何が正しいか…と言えば,「常に市場が正しい」のです。
ですので,
「芸能人は歯が命」
では売れない…という私の判断が間違っていた,ということになるのです。
その奥にあるのは,芸能人の存在の本質です。
一般人にとって,あこがれられる存在である,というものなのでしょう。
コピーライティングで言うならば,一種の「権威性の象徴」でもあるのです。
…と後から理屈を付けることはできます。
でも,それに意味があるのでしょうか。
結局は売れるか売れないか。
それがすべてではないでしょうか。
ではどうすればいいのか。
さっさとコピーを書いて,小さく売りだしてテストしてみる。
その結果。それがすべてです。
理屈も重要なのですが,それ以上に大切なのが結果です。
素早くコピーを書いて,早くリリースしてください。
あなたがよりアップスタッツな明日になりますように。
セールスコピーライター 飯山陽平
追伸
素早く,さっさとコピーを書いて…。
それができれば世話がない。それができないから困っているんじゃないか。
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