知床の道の駅でのことです。
建物に入ろうとしたところ、制服を着た、学生らしき少女3人に囲まれました。
嫌な予感はしたのです。
車を降りて、道の駅の建物に歩みを進めた時から、何らかの
「意図」
がこちらに向けられたのは感じていました。
…そこで逃げればよかったのですが、それはそれでかなりの挙動不審。
仕方ないのでそのまま歩いて行ったら…囲まれてしまいました。
ご存じの方はご存知ですが、私はかなり人見知りが激しく、いわゆる「コミュ障」でもあります。
いきなり女子中学生3名に囲まれたら…無表情のまま、内心はパニック寸前です。
何事か…と思ったら、
「アンケートのお願い」
とのこと。
少女Aが、
「そんなにお時間取らせませんので、アンケートにご協力いただけますか?」
とのこと。
道の駅への入口を塞いでおきながら
「ご協力お願いします」
と言われて、断る選択肢はあるのだろうか…と思いつつ、諦めて質問に答えることにしました。
質問の1つ目が、日本地図のパネルを取り出して、見せながら
「どちらから来ましたか?」
とのこと。
答えると、その都道府県に赤いシールが貼られます。
質問の2番目が、4つの答えが並べられたパネルを取り出して、
「キタキツネをどう思いますか?」
そこで、正直に、
「しっぽをモフりたい」
と言ったところ、くすっと笑った少女が、パネルに書かれた4択の答えの、
「さわりたい」
という回答に赤いシールを貼りました。
質問の3番目が、新たなパネルを取り出して、
「ヒグマに餌をやるとどうなると思いますか?」
とのこと。
「え、殺されちゃうんでしょ?」
と答えたところ、少女は困ったような表情に。
パネルの4択の答えに直接当てはまるものはなかったようです。
そこで、
「あ、これで」
と指を指しました。
その選択肢の枠には、赤いシールがいっぱい貼られていました。
ああ…こうやって囲まれた人たちが私だけではなくいっぱいいるんだな…と、どこか安心しました。
最後に、PRの決まり文句を聞き(心理的圧迫が原因のため、少女がどんなことを言っていたかは憶えてません)、パンフレットを渡されて、囲みから開放されました。
さて、今日のテーマは、アンケート・リサーチの注意点です。
コピーライティングの作業工程の8割がリサーチだ、と言われています。
そのリサーチをしていく仮定で、アンケートを取ることもあります。
そこで気をつけなければならないことは何でしょうか。
当然ですが、アンケートの目的を達成できるかどうか、です。
そこで、アンケートの目的は何か、を再度確認しておきましょう。
1.統計データそのものに意味がある場合
例えば、顧客満足度のデータを取って、それをプロモーションに活かそうとする場合は、データそのものに意味があります。
具体的には、
「このセミナー参加者の95%が【満足した】と評価しています」
とプロモーションで打ち出す、ということです。
この場合、単に20人中19人が満足した、というデータを活用することになります。
このような、ある意味「欲しい数値」をデータとして手に入れたいのであれば、あまり気を遣うことはありません。
2.マーケティングリサーチとしてのデータ
これは、気を使わないと、大惨事に陥る可能性があります。
前のブログにも書いたのですが、わかりやすいので同じ例を出します。
あくまでも例え話です。
マクド◯ルドが新商品開発のために、顧客にアンケートをしたとします。
「どんな新商品を食べてみたいと思いますか?」
という質問をしたとします。
ある人が
「もっとヘルシーに、野菜がいっぱい食べられたらいいと思う」
と答えたとします。
別の人に質問をした時に、前の人がどんな回答をしたかが分かる状態だったら、どうなるでしょうか。
「あ、私も野菜いっぱいのヘルシーメニューが欲しいかも」
と答える人かもしれません。
そこで、正の字を1本書き加えます。
どんどん、この回答に答えが集まります。
圧倒的多数の答えになります。
そして、本部に提出し、
「ご覧のとおり、アンケートの結果、この答えが圧倒的な多数となりました。新商品は、野菜いっぱいのメニューにしましょう」
とプレゼンします。
プレゼンには、数字の裏付けが取れているので、それなりに説得力が出ます。
その結果、採用されて野菜いっぱいのメニューが作られたらどうなるでしょうか。
大々的にプロモーションして、広告宣伝費を大量につぎ込んで…
そして、売れること無く、大失敗に終わります。
プロモーション費用が大赤字、という大惨事に終わります。
なぜか。
そもそも、ヘルシーさを求めた場合、マクド◯ルドに行くという選択肢はないからです。
マクドナ◯ドといえば、ファストフードの代名詞。
言い換えれば、不健康な食事の代名詞でもあります。
だから…グランドビックマ◯クや、ギガマ◯クのような、大ボリュームの、ガッツリこってりしたようなメニューのほうがヒットしたのです。
では、話を戻します。
このアンケートの問題は何だったのでしょうか。
それは、他の人の回答を見せることで、回答者に思考誘導をしてしまったのです。
ちょっと考えればわかることです。
いちいち頭を使って、なんで
「どんな新商品が欲しいか」
を考えてあげなければならないのでしょうか。
あるいは、自分がどんなものがあったらいいかを、思い出さなければならないのでしょうか。
考えたり思い出すのは…思っている以上に面倒な作業です。
誰かが、
「それっぽい」
答えを出しているのをみたら、
「あ、私もそれで」
となっても仕方がないのではないでしょうか。
冒頭の少女達のアンケートは、問題ありません。
なぜなら、アンケートではないからです。
アンケートの形をとった、ただのプロモーションです。
知床で、野生動物に餌をやらないでください、という啓発キャンペーンです。
ただ、単に啓発を聴いてもらうよりも、巻き込んだほうが真剣に聞いてもらえると思ったので、アンケートにしたのでしょう。
ですが、本当にリサーチしたいのであれば…他の人がどんな答えをしたのかを知れる状態にしてはいけません。
思考誘導してしまうからです。
あなたがよりアップスタッツな明日になりますように。
セールスコピーライター 飯山陽平
追伸
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