10年くらい前のことだったと思います。
ある男性がいました。
自己啓発セミナー関係で知り合った人です。
彼は定職についていなかったので,ある時
「来月までに◯件,企業に求人応募する」
と宣言。
翌月に,どうなったか聞いてみたところ,
「いやーなんか楽しくなくて…」
と何もやっていません。
それから二転三転四転くらいして,なぜかダンサーになる,と決め…活動開始。
それも長く続かなかったようで,今はどこで何をしているのか不明です。
私は,彼のことがとにかく嫌いで嫌いでたまりませんでした。
なぜ「やる」と決めたことを,なぜそう簡単に放り出し,恥ずかしげもなく,次から次へ,やりもしないようなことを「これが面白い」「これをやろう」といえるようになるのか。
その一貫性のない態度を,実に気持ち悪く思っていました。
今では…
「自分の決めたことを,こだわりなく変えられる柔軟な人」
と捉えるようになり…もっと正直に言うならば,
「異次元の生き物」
と,畏怖と若干のリスペクトを彼に感じるようになりました。
今ならよくわかります。
なぜ私は彼のことをあそこまで気持ち悪く感じたり,イライラしたのか。
これが,
「一貫性の法則」
のトリガーです。
返報性のトリガー,理由のトリガー,好意のトリガー,コントラストの法則,権威の法則,社会的証明の法則などがあります。
これらのあらゆる心理トリガーの中で,私はこの「一貫性の法則」が最も強力だと感じています。
ただし,使い方次第であることは言うまでもありません。
一貫性が積み重なれば積み重なるほど,この一貫性の法則の威力は上がります。
逆に,そこまで一貫性が積み重なっていない間は,その威力もたかが知れています。
そういう意味では,一貫性の法則は,他の心理トリガーよりは使いづらいかもしれません。
ただ,繰り返しますが,使い方次第では,極めて強力な心理トリガーです。
冒頭で紹介した彼のような,異次元レベルの柔軟性を持ち合わせていれば話は別です。
そうでなければ,この一貫性の法則の威力は十分に発揮することができるようになります。
有名な話として,赤十字社の例があります。
赤十字のピンバッジを渡して,
「赤十字社のキャンペーンの宣伝に協力いただけますか?」
と依頼。やることは,そのピンバッジを付けるだけです。
買うわけでもなく,無料でピンバッジをもらって,ただ付けるだけでいいのです。
そして…そのピンバッジを付けた人に,後日寄付金の支払いを依頼したところ,このピンバッジを受け取った人は,ピンバッジを渡していない人よりも300%寄付金の額が多くなった…という実験があるそうです。
ここでは,ピンバッジを受け取る=赤十字社の活動に協力する,という一貫性の法則が作用したので,その一貫性に則って,寄付金を払う,という流れを作ったことになります。
この一貫性の法則にもとづいて,人はリピートしやすくなるのです。
一度買った店なら,買いやすくなる理由の一つが,この一貫性の法則でもあるのです。
この一貫性の法則を,どう活用したらいいのか。
それが昨日書いた話です。
いきなり商品を買ってもらうのはハードルが高すぎます。
特に,個人情報を打ち込んで,サイフからクレジットカードを取り出して番号を入力。
これはとても面倒で大変な障害です。
だからこそ,この障害を突破するためだけに,強力なオファーを用意するのです。
いわゆる
「イレジスティブルオファー(抵抗できないオファー)」
と呼ばれるものです。
すなわち,NOと言うよりYESと言ったほうがいいようなオファーを提案すればいいのです。
通常,このイレジスティブルオファーは,何か商品を売るために使われることが一般的です。
ですが,昨日紹介した話は,商品そのものを売るのではなく,事前に個人情報の登録やクレジットカード番号の入力をさせるためだけに,このイレジスティブルオファーを使います。
そして,個人情報の登録,クレジット番号入力まで終われば…あとは一貫性の法則を活用して,いろいろ買ってもらいやすくなる,ということになります。
なかなか集客できなくて困っている。
そんな方は,「何が」障害になっているのかを特定してください。
昨日紹介した例は,個人情報の登録やクレジットカードの番号入力が面倒で,成約しない,という障害に対する解決策です。
イレジスティブルオファーを用意して,この障害を突破。
その後,一貫性の法則にもとづいて,収益を伸ばしていく,という考えでした。
一貫性の法則,イレジスティブルオファーとか,ライフタイムバリュー,フロントエンドとバックエンドといった,様々な要素が絡み合う話です。
よくわからなければ,昨日の記事をもう一度ご覧になって,まずは「個人情報登録・クレジットカード決済」の壁を突破する,ということに集中してみて下さい。
あなたがよりアップスタッツな明日になりますように。
セールスコピーライター 飯山陽平
1つの集客法で7割以上を集客している。
これは危険です。
とはいえ,どうしていいかわからない。
そんな方は一度こちらをご覧ください。