7000万部売れた「あの本」に隠された秘密 後編

7000万部売れた「あの本」に隠された秘密 後編

7000万部売れた「あの本」に隠された秘密 後編
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昨日は,あの有名な成功哲学の祖,ナポレオン・ヒルのでっち上げ疑惑の背景について,解説しました。
今日こそ…7000万部売れた本当の秘密について解説します。

その前にもう一度,ナポレオン・ヒルの「思考は現実化する」の内容についてです。

1.願望
2.信念
3.深層自己説得
4.知識
5.想像力
6.計画
7.決断力
8.忍耐力
9.マスターマインド
10.性衝動
11.潜在意識
12.頭脳
13.インスピレーション

道徳の教科書的な話かもしれません。
いわゆる精神論的な内容かもしれません。
今となっては,ありふれた内容かもしれません。

ですが,これはこの「思考は現実化する」が7000万部売れたからこそ,これらのコンセプトが「ありふれた」状態になったのです。

ナポレオン・ヒルとアンドリュー・カーネギーの逸話がフィクションである以上,ここで書いてあること自体は,特別な内容ではありません。
かの大富豪,「アンドリュー・カーネギーの教え」という権威があればこそ,ナポレオン・ヒルの本が注目されたのです。ですが…それはフィクションだった。

ということは,この本の…本当の価値,そしてナポレオン・ヒルの本当の功績とは何か。

このありふれた,めずらしくもなんともない…けれど本来は一つ一つが大切な教えを体系化。
その上で多くの人に興味をもたせ,そしてそれを読ませるに至らせたことです。

内容がありふれたもの,オリジナリティがあるわけでもない,ということであっても,この「思考は現実化する」という本の内容自体は,価値があるということです。

実際,この本の教えを自分なりに考えて検討し,実践して試行錯誤し続けた結果,大きな成功を収めた人も,たくさんいるはずです。

その人にとって,この「アンドリュー・カーネギーとの逸話が実はフィクションだった」ということに対して,どれだけ意味があるのでしょうか。

本当に価値があることは,「この本の教えを自分なりに考えて検討し,実践して試行錯誤し続けた」ことです。
それがフィクションだろうとなんだろうと,実践して手に入れた成功は,何一つ価値が薄れることはありません。

そのきっかけを作ったこと。それがナポレオン・ヒルの功績だと言えます。

そしてこの7000万部販売という功績を作った,本当の秘密。
それが,コピーライティングにおける,心理トリガーです。
心理トリガーは,人を自動的に反応させる,強力な仕掛けです。
しかし…ここでさらにこの心理トリガーを強力にしている仕掛けがあるのです。

ちょっと想像して下さい。
最近でこそ,かなり普及して少々飽きられる,あるプロモーションのテクニック。
プロダクトローンチという手法があります。
メール登録した人に,動画コンテンツを提供して提供して…を繰り返して,短い期間でドカンと売上を上げる販売戦術です。
本当かどうかは知りませんが,日本まだプロダクトローンチがほとんど普及していない頃に,ある会社が敢行。
12時間で5億円売れた,という話があります。

今日のテーマはプロダクトローンチではないので,さらっと済ませます。
このプロダクトローンチという,極めて強力な,かつ他の誰もがまだやっていない手法を…1937年に敢行していたら,どうでしょうか。
売れて当然ではないでしょうか。

プロダクトローンチの真価は,心理トリガーの重畳適用です。
一つ一つが極めて強力な心理トリガーを,立て続けにいくつも繰り出すから,強力な反応を引き出すことができるのです。

プロダクトローンチのように6つも7つも…というわけではないですが,この「思考は現実化する」を販売するにあたって,強力な3つの心理トリガーが仕込まれているのです。

もしあなたが,私のブログをよくご覧になってくださっているならば…
あるいは,コピーライティングについて,勉強している方ならば…
このナポレオン・ヒルが仕掛けた心理トリガーは何か,考えてみて下さい。

いかがでしょうか。
正解かどうか,ではなく,考えることに価値があります。

1.理由のトリガー
ある極めて実力が高いコンサルタントいわく,この理由のトリガーがありとあらゆる心理トリガーの中で,最も強力だ,と述べています。
私としてはこの理由のトリガーは一番ではなく二番目に強力だとは思ってます。

ここでの理由のトリガーは,大成功したアンドリュー・カーネギー。けれど彼は年老いている。
資産については,寄付などを通じて社会に還元したが,彼の最大の遺産は,これだけ大成功したノウハウや考え方。
それを形にするために,ナポレオン・ヒルに依頼した,という理由です。

実際,アンドリュー・カーネギーは膨大な資産を築き,かつそれを寄付という形で社会に還元しています。
それらの事実から,この理由には極めて説得力がある,と感じさせることができるのです。

2.ストーリー
世界で最も売れたセールスレターといえば,ウォール・ストリート・ジャーナル。
「二人の男」と呼ばれるストーリーです。
そもそも,ストーリー自体が人から好まれ,読まれ続ける性質のものです。
昨日紹介したとおり,「29秒の決断」のストーリーは,とても印象深く,記憶に残り,人に伝えやすいものです。

3.秘密のトリガー
上記2つのトリガーを統括してまとめ,さらにそれをパワーアップさせる効果を持つ心理トリガー。それが秘密のトリガーです。

上述の通り,全世界で7000万部売れた本でもあり,内容について知っている人も多いでしょう。
ですが,売り出した当時は,内容について知っている人などわずか。

つまり…
「あのアンドリュー・カーネギーが大成功した秘訣を,さらに20年掛けて体系化したもの」
です。
今風に売り出すならば,
「全米でも誰もが知っている,あの大富豪アンドリュー・カーネギーが保証する,成功するための秘訣を知りたい人,他にいませんか?」
という感じでしょうか。

成功哲学の中身自体を秘密にして,「それを知りたければ本を買って下さい」というプロモーションにしたのです。

上述1と2で,さんざん興味を煽って…その内容を秘密にしたのです。
しかも,これは書籍です。
どこかの自己啓発教材を売る会社みたいに,内容を薄く引き伸ばして100万円以上で売りつけるような真似はしていません。
1冊の本代で,その秘密を手に入れられるのです。

これが,7000万部売れた「本当の秘密」です。
秘密とは秘密にしたこと…という身も蓋もないオチでした。

あなたがよりアップスタッツな明日になりますように。
セールスコピーライター 飯山陽平

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