ホテルの送迎バスに乗って,移動していたときのことです。
車内には,ラジオの声が響いていました。
適当に聞き流していたのですが,ふと耳に入ってきました。
広告です。
日頃はラジオを全く聞くことがありません。
マーケティングを勉強していると,ラジオ広告を活用する例を耳にすることはあります。
ですが,まったくリアリティがありませんでした。
せっかくなので良い機会だと思って聞いてみることにしました。
それが今日のテーマです。
個人的に興味深いと思ったのが,その商品。
販売していた商品は,なんと「畳」です。
私の記憶を遡ってみたのですが,「畳の広告宣伝」というものは,目にしたことがありません。
仕事柄,広告宣伝が好きで,休日に夜更かしした時には,深夜のテレビショッピングを食い入るように観ていたり…オンラインの24時間動画通販サイト(TVショッピングの内容をオンラインで同時放映)を眺めていたり…
それでも,畳の宣伝は,記憶にありません。
せいぜい「茣蓙(ござ)」くらいでしょうか。
「畳って広告宣伝するものなんだなぁ」
と実感した次第です。
コピーライターであり,マーケティングコンサルタントの私が,
「畳って広告宣伝するものなんだなぁ」
と実感してしまう,というのはおかしな話です。
それだけ畳の広告宣伝が少ないから,
「そういう発想がなかった」
ということに他なりません。
だからこそ,このラジオで畳の広告宣伝をしたことは素晴らしいことです。
もちろん,広告の中身も重要です。
私の記憶が正しければ…ですが,畳のベネフィット,特に感情へのアプローチに,
「香り」
を持ってきた時点で,非常に巧い,と感じました。
新品の畳であれば,「あの」畳の香りがします。
多くの日本人が,一度や二度は体験したことがあるのではないでしょうか。
特に,年配の方であればこそ,郷愁を感じる香りかもしれません。
あるいは,そのラジオ番組のリスナーを分析した結果かもしれません。
あくまでも私の先入観であり,独断と偏見です。
今の時代に,テレビでもネットでもなく,ラジオを聴く…というのは,一定の年齢を越えた層ではないかと思われます。
特に,畳を購入する人というのは,基本的に「一戸建てのマイホーム」を所有している,という前提に立ちます。
そこからも,きちんと顧客をセグメンテーションして,ターゲットに合わせたメディアで広告宣伝をしていることになります。
さらに,電話番号を伝えるだけでなく,
「(キーワード)で検索すれば,オンラインで注文することもできます」
と,レスポンスデバイス(反応の仕方)も増やしています。
実に基本に忠実です。
ですが…おそらく今回の中でもっとも重要なポイントは,
「広告宣伝をした」
ということです。
伝統的な産業で,口コミや人脈だけで受け継がれて売れているような印象の商品を,きちんと広告宣伝したのです。
ここに,見習うべきポイントがあります。
例えば,
「ウチは口コミだけで顧客が来ます」
というビジネス。
これはこれで素晴らしいことです。
口コミは,コストが掛かりません。コストを掛けることもできますが,掛けないパターンが多いでしょう。
ここで考えなければならないのは,
「口コミだけ」
ということ。
これを言い換えると,
「口コミ以外では集客できない」
と言っているも同然です。
今,口コミで顧客が来ていますが,明日はどうでしょうか,明後日は…?
来月は?
半年後は?
1年後は?
自力で集客できなければ,いつかどこかで必ず淘汰されます。
もちろん,口コミも立派な集客です。
ですが,1つの集客手段に頼って,それ以外のことを何もしない,というのは怠慢でもあります。
決して,畳をこき下ろしたり悪く言うつもりはありません。
畳のような,職人気質の,伝統産業ですら,きちんと広告宣伝しているのです。
…ならば,他の業界ももっと集客に力を入れてもいいのではないでしょうか。
あなたがよりアップスタッツな明日になりますように。
セールスコピーライター 飯山陽平
1つの集客法で7割以上を集客している。
これは危険です。
とはいえ,どうしていいかわからない。
そんな方は一度こちらをご覧ください。