札幌に向かって国道を走っていると,ある空き地があります。
その空き地の入口は,ロープが張ってあり,入れないようになっています。
その奥には,全く手入れされていない草むらと,朽ちかけた簡易トイレだけ。
それ以外は何もありません。
2007年1月21日。
私が北海道民になった日です。
住み慣れた札幌を離れ,北海道に飛行機で移動。
新千歳空港まで迎えに来ていた車に,そこで移動した先が,その空き地でした。
そこは,新千歳空港を利用する方向けの駐車場と,レンタカーを営んでいた会社です。
北海道に移住したその日に,そこでレンタカーを借りた兼ね合いもあり,以降,東京に行くときは,いつもその駐車場に車を預けるようになりました。
その後,結婚したので,空港まで直接送迎してもらえるようになり,利用頻度は減りました。
それでも二人で東京に行く時とか,あるいは妻に用事があるは,依然として,その駐車場を利用しました。
…そして。
ある時,妻と二人で話し合って,
「二度とここは使わない」
ことを決定。
些細なことと言えば些細なことかもしれません。
重大なことと言えば重大なことかもしれません。
私は,駐車料金を現金で払い,係員に領収書を発行するように言ったら,領収書を書き始めたものの,
「社名,長いから,もうこれでいいでしょ」
と書きかけの領収書を突き出された。
あえて言うなら,これくらいです。
妻は,飛行機が遅れることになり,空港まで迎えに来てくれるはずの,この駐車場に電話したら,社長が出て,
「そんな時間やってないんですよね。明日にしてください」
と言われて電話を切られた,とのこと。
車の鍵を預けてあるので,北海道に着いても家には帰れません。
仕方ないので,飛行機を変更し,1泊してから帰った,とのことです。
それで,
「もうここはやめよう」
と決断。
それから1年は経っていなかった,でしょうか。
しばらくは,その駐車場の前を通る度に,ちょっとイラっとした気にはなりました。
でもいつしか忘れ…気がつけば,草むらになっていたのです。
空港から,その駐車場まで送迎してもらいますが,10分くらいは車に同乗することになります。
そこで,ちょっとした会話もします。
私が司法書士だ,という話をしたところ,
「この前,司法書士に頼んで,株式会社の登記してもらったんだよね」
…と,嬉しそうに話していました。
私も,
「それはめでたい話ですね」
と笑顔で話したのは覚えています。
それが…今となっては,ただの草むらです。
松尾芭蕉の句,
「夏草や兵どもが夢の跡」
というものがありますが,そこはかつて,ある商売人が,起業して頑張ろう…と志して…今となってはその思いが砕け散り,そしてただの草むらです。
集客がどう,とかの問題以前の話です。
顧客を馬鹿にしてないがしろにしているから,草むらになったのでしょう。
これは,集客の問題では解決できません。
集客すればするほど,顧客から憎まれ,嫌われ,疎まれるだけですから。
「倒産原因」
でいうなら,
「販売不振」
にカテゴリされることでしょう。
それでも,その背後にあるのは,経営者の,顧客を見下した思いです。
今となっては,SNSで拡散しますので,悪評が一度立ったらおしまいです。
今日は自戒を込めて。
私自身が,集客とか売上アップとかを志す以前に,人として適切な振る舞いをしているだろうか。
この草むらを意識する度に,考えるようにしています。
あなたがよりアップスタッツな明日になりますように。
セールスコピーライター 飯山陽平
1つの集客法で7割以上を集客している。
これは危険です。
とはいえ,どうしていいかわからない。
そんな方は一度こちらをご覧ください。