たまたま何かの広告を見ていて…思わず吹き出しました。
側にいた知人に,怪訝な目線を向けられてしまいました。
今日は,その時に見かけた実に「痛い」広告についてです。
あるコンサルタントの肩書が,そのままヘッドラインとして出ていました。
それが,
「京都大学MBA卒業・Mensa会員・ビジネスコンサルタント」
というものです。
MBA…経営学修士。米国で、ビジネススクールと呼ばれる大学院修士課程で経営学を専攻・修了した者に与えられる称号。実業界で重要視され、MBAの資格がエリートの条件ともいわれる。
Mensa…人口上位2%のIQ(知能指数)の人が入れる会員限定グループ。
この肩書を見て,あなたはどう感じるでしょうか。
私は上記の通り,
「痛い」
というのが第一印象です。
「京都大学」
「MBA」
「Mensa」
このように3つならべて「オレはお前より頭いいんだぞ!」と必死でマウンティング(相手より自分が上だ,とアピールすること)する姿が,実に無様で滑稽というか…痛いという他ありません。
ですが,マーケティング的に考えた時に,
「痛い人だな」
と失笑…というだけでは済まない,大きな問題があるのです。
商材は,これから起業したい人向けの情報コンテンツのようです。
だからこそ,大きな問題があるのです。
頭のいい人のはずなのに…頭はいいでしょうから,「バカ」ではないですが,でも「アホ」だな。
そう感じました。
さて,この肩書がもたらす大きな問題点は何でしょうか。
考えてみて下さい。
もちろん,こんな痛い肩書を付けていたら,集客できるはずのものも,集客できなくなる。
これも,マーケティング上の問題です。
では,この痛い肩書だと,「なぜ」集客できないのか。
ここが大切なポイントとなります。
「京都大学」
「MBA」
「Mensa」
非常に,効果的な「権威性」の象徴です。
ただ,これだけ強力な権威性だからこそ,使い方を誤ると諸刃の剣になることがあります。
そして,誤った例が,今回の「肩書」なのです。
こういった情報コンテンツで重要なものは何でしょうか。
「他所では教えない,凄いこと」
ではありません。
「本来は大金を積まないと学べない,超高難易度の情報」
でもないでしょう。
もしあなたが今,ゼロから起業することになったとします。
あなたが学びたいのはどちらでしょうか。
A 「MBAで学んだもっとも難しい起業のポイント」
B 「小学5年生の女の子が起業で成功するまでの100日間 詳細解説付き」
もちろん,人によって答えは分かれるかもしれません。
定義【起業】
新しく事業をはじめること
ですので,既存の会社が単純に新規事業を立ち上げることも,「起業」と言えることになります。
しかし,多くの場合,
「起業」
とは,はじめて自らのビジネスを立ち上げる場合に指す言葉ではないでしょうか。
誰でも,はじめての体験は多かれ少なかれ不安がつきまといます。
その不安を払拭して,一歩踏み出す勇気が手に入る。
そんなコピーはAでしょうか。それともBでしょうか。
起業に関わらず,ビジネスノウハウ的なコンテンツは,
「再現性」
が命です。
つまり,
「その人だからできるのであって,私にはできないかもしれない」
と思われたらアウトです。
その視点で考えると,
「京都大学」
「MBA」
「Mensa」
の3つ並べて起業ノウハウをアピール。
ここまで揃えば数え役満といっていいかもしれません。
「私,あなたほど頭は良くないから無理!」
と思われるのが関の山です。
そもそも,権威性とはどのような時に使うものなのでしょうか。
自分が主張したいメッセージを補強するために使うものです。
例えば,
「私は賢い」
という人がいたとします。単なる自画自賛です。
ですが,
「京都大学MBA卒業,Mensa会員であるビジネスコンサルタントから賢いと言われた…」
とあれば,とても強力な「主張の裏付け」になるのではないでしょうか。
最後に。
人の心は不合理です。
割り切れるものではありません。
楽に,簡単に,誰でもできるようなノウハウで起業したい…
そう思っていたとしても,それは自分ごととしての場合です。
他人事の場合,もっと山あり谷ありでなければつまらなく感じることでしょう
これを大げさに表現すると,
「人の不幸は蜜の味」
と言えるかもしれません。
それを踏まえて,こんなコピーだったら面白いかもしれませんね。
「京都大学MBA卒業・Mensa会員・ビジネスコンサルタントが,借金1億円のどん底から這い上がる際に頼った,たった1つの◯◯」
あなたがよりアップスタッツな明日になりますように。
セールスコピーライター 飯山陽平
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