矢野経済研究所によると,2015年のペット市場規模は,1兆4689億円。
昨年か…あるいは今年で1.5兆円を突破する勢いです。
今日はそんなペットの話をします。
…といっても,犬猫の話ではありません。
私はカピバラ好きですが,カピバラをペット…というのはまだまだ現実的ではないので,同じげっ歯類の仲間,ハムスターの話です。
別にハムスターに限ったことではないのですが,ペットには個体差,好みの差は大きくなります。
ここに飼い主のリスクも増します。
どういうことか。
例えば…人に例えるとします。
子供に人参を食べさせようとします。
子供も,好き嫌いはあるでしょうから,喜んで人参を食べる子供もいれば,嫌がって泣き出す子供もいるかもしれません。
そこで,親としては叱ったりなだめたり取引を持ちかけたり(人参食べたら,チョコも食べてもいいよ,とか)叩いたり(是非は脇に置きます)して,何とか食べさせようとします。
それでも食べなかった時に,どうするのか。
捨てるのもどうか…ということで,親が食べてしまう,という選択肢もあるでしょう。
あるいは,他の兄弟姉妹に食べさせて,無駄をなくす,ということもできます。
では…これがペットだったらどうでしょうか。
ハムスターに喜んでもらおうと,ハムスター用のおやつを買ってきます。
食べさせようとしても,食べません。
飼い主…涙目になります。
今度こそ…と思って,別のおやつを買ってきて食べさせようとします。
…食べません。
飼い主,さらに涙目です。
ハムスターの場合,他にも別のハムスターを飼っていたら,そのハムスターに食べさせる,ということはできるかもしれません(ここで食べるか食べないかはまた別の話です)。
ですが,ハムスターが食べないから,飼い主が代わりに食べる…ということもできません。
あるいは,自分の子供に食べさせるわけにもいきません。
そして…ハムスターと話をすることができるわけではないので,好みを聴くことができません。
こうして,開封されてほとんど中身が減っていない,ハムスター用おやつが山積みになっていきます。
ペット市場は,このような「無駄」を踏み台にして,成長しているのかもしれません。
冗談抜きで,このようにペットの味覚や好みはわからないので,
「買ってあげたけど喜ばない」
「まったく食べない」
ことで無駄になっているペットフードは,どれだけペット市場の拡大に貢献しているのでしょうか。
このままいけば,おそらくどんどんペット市場は拡大していきます。
飼い主の懐ダメージと涙と引き換えに,です。
そこで今日のタイトル。
「売上と顧客の幸せ,どっちが大事?」
に繋がります。
顧客…飼い主の望みはシンプルです。
ここではハムスターの例なので…自分のかわいいハムスターが,おいしそうに食いついている姿を見たいだけです。
あるいは,手乗りハムスターにしたいがために,おやつを手のひらに乗せて懐かせたりしたいだけです。
ハムスターに喜んでもらって,ハムスターと触れ合って…心癒される体験をしたいだけなのです。
その飼い主のシンプルで無垢な思いにつけこんで,
「売れるか売れないかわからないハムスター用おやつ」
で売上を稼いでいる…と言うことができるかもしれません。
これが,
「顧客の幸せよりも売上が大事」
というスタンスです。
では,
「顧客…そしてハムスターにも喜んでもらって,かつ売上も確保する」
にはどうしたらいいでしょうか。
もちろん,顧客を最優先にすることで,今までのような売上は維持できないかもしれません。
ですが,それでも顧客とハムスターに喜んでもらって,売上もあがるのであれば,その方がいい,という人もいるのではないでしょうか。
やることは簡単です。
「リスクリバーサル」
を導入すれば完璧でしょう。
例えば,
「この(ハムスター用おやつの商品名)をあなたの大切なハムスターにあげてください。でも私達,製品の開発者・販売者はハムスターではありません。人間です。ハムスターが本当に何が好きなのかは,個体差はあれど,ハムスターの気持ちになることはできません。そこで30日間返金保証します。あなたのハムスターが,この(商品名)を食べなかったら…巣穴にこもったまま,見向きもしなかったら,レシートと開封後の(商品名)を持ってきてください。全額返金いたします」
という感じです。こうして,返品の山を見ることで,ハムスターの好みをテストすることができるかもしれません。
もちろん,販売者側の負担が大きいので,このような保証はできないかもしれません。
もっとシンプルな方法は,1〜2回分の試供品を飼い主にあげて,実際にハムスターに食べてもらえばいいのです。喜んで食べるなら,飼い主はその商品をお金を出して買えばいいのです。これで,「開封済みの,中身がほとんど減っていないおやつの山」を作らなくて済みます。
試供品ではなく,「リスクリバーサル」とまでは言わなくとも,顧客のリスクを減らして販売する方法もあります。
例えば,「おやつセット」ということで1〜2回分のパックを…5種類くらいまとめてセット販売すればいいのです。
パックAは食べなかった,パックBの食いつきがすごかった。パックCは,Bが無くなったあとに食べた。DとEは食べなかった…という「ハムスターのリアルの反応」を見て,飼い主はBの正規の製品を買えばいい,ということになります。
このように,顧客のリスクを減らして,より顧客(とハムスター)に喜んでもらう手はいくらでもあります。
会話ができないハムスター相手でも,ここまでできるのです。
話の通じる人間相手なら,より貢献して喜んでもらってから,売上を上げる方法は,もっとたくさんあることでしょう。
最後に。
私自身としては,最後にハムスターを飼ったのは20年くらい前。
最近の事情はわかりませんが…今はここに書いたようなものが売られているかもしれません。
もしそうだったら,ハムスター市場がより伸びるので歓迎したいですね。
あなたがよりアップスタッツな明日になりますように。
セールスコピーライター 飯山陽平
追伸
今年もあと329日。
2月に入って1週間が経ちました。
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