やってはいけない乾坤一擲の大勝負

やってはいけない乾坤一擲の大勝負

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小さい頃から読書が好きで…小学生時代の愛読書は、ことわざ・四字熟語辞典。
そんな、なんともマニアックな私が好きな四字熟語がいくつかあります。

定義【乾坤一擲】
運命をかけて大勝負をすること。

定義【起死回生】
滅びかけているものや絶望的な状態のものを、立ち直らせること。

これらの四字熟語には、なかなか心躍るものがあります。
小説や映画などでも、売れている人気のものであれば、必ずこんなシーンがあるでしょう。

あるいは、ビジネスにおいて大成功した人においては、何度もこんな体験をしてきたのではないでしょうか。

このような成功者が、講演や書籍で自分の体験を話す時に、このような「乾坤一擲の大勝負」や、「起死回生の一手」を打つ場面が出てきます。

ビジネスが倒産するか助かるかのギリギリの極限状況において、十分な判断材料も揃っていない中で、何かの経営判断をしなければいけない状況がおこります。

それを…聞いている側としては、
「凄いな」
「きっと怖かっただろうな」
「胃が痛い思いをしただろうな」
「うまく行ってよかった」
などと思うことでしょう。

そして…それ以上に、
「うまく行って、カッコいい」
と称賛する風潮があります。

話が変ります。
ちょっと思い出して下さい。
時計を見た時に、「ゾロ目」だった、という体験をしたことがあるでしょうか。
例えば11時11分11秒。
22時22分22秒。

あるいは、自分にとって、特別な意味がある数字だったことがあるでしょうか。
例えば…ロマンチストな人であれば、想いを寄せる人の誕生日とか。
具体的には、片思いの人の誕生日が3月20日だとします。
たまたま時計を見て3時20分だった時に、
「おお…これは偶然ではなく何かの意味があるはず!」
と思い込む…などという体験をしたことがあるかもしれません。

身も蓋もない言い方をすると、これはただの偶然でしかないのです。
人間の脳の処理方法が、そのように思い込む状況を作り出しています。

単純に、11時11分11秒。これは覚えやすいはずです。
寝ても醒めても想いを寄せる人の誕生日くらいは覚えていられるでしょう。

ただ、ここで重要なのは、そのたまたま時計を見たその瞬間に、その時間だっただけなのです。
そのたまたまに意味がある…と思ってしまいがちですが、そうではないのです。

海外の報道サイトNews.com.auによると、人は一日に平均で150回携帯電話を見るとのこと。
人が1日に何回時計を見るのかはわかりませんが、仮に、この150回だとします。

すると、1日150回時計を見ており…その中のたまたま1回ゾロ目だったに過ぎないのです。
ただ、そのたった1回だけが記憶に残り、149回は記憶に残っていないだけの話です。
149回分を忘れて、たった1回記憶に残った、それを以て、
「何か意味がある」
「これは偶然じゃない」
ということはありえないのです。

同じように。
成功した経営者にとって、乾坤一擲の大勝負は記憶に残ります。
その陰にある様々な決断は…いちいち記憶には残らないのです。

それ以上に、考えておくべきこと。
社運をかけて、乾坤一擲の大勝負に出た結果、敗北して倒産した会社もたくさんあるということです。
その成功した経営者は、その乾坤一擲の大勝負に勝てただけの話です。

成功者から話を聞くべきポイント。
それは、実は成功事例ではありません。
うまく行かなかった失敗事例、その失敗からどうやって立て直したのかということです。
…もちろん、わざわざ失敗事例を話したがる人はいないでしょうから、結局は成功事例、乾坤一擲の大勝負の逸話だけが独り歩きしてしまうのです。

結論としては…乾坤一擲の大勝負。
それはビジネスにおいて厳禁です。
乾坤一擲の大勝負をする、ということは、それをしなければいけない状況に追い込まれたということであり、戦略上の失敗です。

ではどうすればいいのか。
乾坤一擲の大勝負がいけないのですから、小さな勝負…失敗しても大して痛くない勝負を積み重ね、勝率を上げていけばいいのです。

具体的には、コピーライティングにおいて、いきなり大きな広告枠で大金をつぎ込むよりも、小さな広告枠で、キャッチコピーAとキャッチコピーBをテストマーケティングして、どちらが反応率が高いのかを測定します。
仮にBが高ければ、今度はキャッチコピーBとキャッチコピーCをテストマーケティングします。
やはり、Bの方が高い…。
このように、テストマーケティングを繰り返して、コピーの精度を高めてから、全国紙に広告を打つ、などの大勝負に出ればいいのです。

乾坤一擲のように、一か八かの大勝負はしてはいけないのです。

野球などで、9回裏二死満塁で起死回生の同点ホームラン…などの展開は、見ていて面白いものです。
2対0とか3対1で終わるような無難な試合よりも、よほど見ていてインパクトがあり、楽しい試合展開です。

ですが、それは野球は「スポーツという興業」です。
ビジネスは興業ではありません。
あなたやあなたの家族、従業員、取引先、そして顧客。
さまざまな人の人生が懸かっています。
乾坤一擲の大勝負よりも、小さな勝利を積み重ねて下さい。

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