たまたま食事時にテレビを付けたら,非常に興味深い内容でした。
気象情報を提供している「ウェザーニューズ」の話です。
ウェザーニューズが提供しているのは「正確な気象に関する情報」です。
この「正確な気象情報」を,どのように「売上」につなげたらいいのでしょうか。
ちょっと考えてみて下さい。
繰り返します。
売り物は,正確な気象情報です。
では,誰が対価を払って正確な気象情報を購入するのでしょうか。
それは,なぜ対価を払ってまで正確な気象情報を購入しようと思えるのでしょうか。
私たちにとって,気象情報はタダで手に入るものです。
一昔に比べたら,情報もかなり正確になってきました。
ですが…ただで入手しておきながら,当たったところで何も思わないでしょう。
「ああ,今日は天気予報,当たった!よかった!」
といちいち思うでしょうか。
ですが,外れたときには,テレビの気象予報士の顔を想起して,イライラをその人に感じたりすることがあるかもしれません。
「タダ」で手に入る情報ともなれば,まあそんなものでしょう。
それを,企業がお金を出して買うのは何故でしょうか。
テレビでは,このウェザーニューズの情報を,どのようにビジネス等に活用しているのかが紹介されていました。
例えば,コンビニ。
予め,正確な気象情報がわかっていれば,「日配」と呼ばれれる,メーカーによって生産され,要冷蔵で,かつ日持ちがしない商品の発注数が変わってきます。
具体的には,コンビニ弁当の一つ,冷やし中華。
これは,暑いと売れますが,寒いと売れません。
あらかじめ,その日のその地域の最高気温がわかっていれば…雨が降るので最高気温が,さほど上がらない…ということであれば,発注量を抑えることで,商品の売れ残りによるロスを減らせるでしょう。あるいは,天気がよく,最高気温が上がる…ということがわかっていれば,発注量を増やすことによって,品薄による販売機会のロスを減らすことができるでしょう。
そして,何よりも,気温による販売個数の増減が予めわかっているならば…アルバイトやパート職員であっても,簡単に発注作業を行うことで,店長やマネージャー,オーナーなどの店舗経営幹部による手をわずらわせる頻度が減るでしょう。
「気象情報はいりませんか?」という売り方であれば,ネットやニュースでいくらでも手に入るので,誰もお金を出してまで欲しいとは思わないでしょう。
それが,「その地域限定の正確な気象情報」だったとしてもです。
ですが,「その地域限定の正確な気象情報」を知ることで,売上を伸ばし,経費削減に繋がり,かつ店舗運営の手間が軽減される…ということであれば,興味を持つ企業は,当然に出てくるでしょう。
気象情報という売り方では,誰も買わないのです。
きちんと,その気象情報がもたらす,クライアントにとってのベネフィットを明確にして,それを提案内容としてプレゼンテーションをすれば,売ることができるのです。
別の例では,航空会社に正確な気象情報を販売する,という話もありました。
気象情報…といっても,様々な内容があります。
ここでは「風の強さと風向き」という情報を,航空会社に販売した,ということでした。
具体的には,航路上の風向きと風の強さがわかれば…「風にぶつかる」ことが回避できます。
フライト中の,強い揺れを防ぐことができます。もちろん,風に逆らって飛ぶことで,燃料代を消耗します。この消耗を防ぐことができます。
また,航空会社にとって,やはり安全は何よりも大事です。
離陸してしばらくして高度が安定した後に,「シートベルト着用サイン」が消灯します。
すなわち,席を立つことができるようになります。
そこで…乗客が立ち上がって,お手洗に向かおうとした瞬間,「風の壁」にぶつかったらどうなるでしょうか。
転倒して大怪我に繋がるかもしれません。
あるいは,機内ドリンクサービスを,CAが提供するシーンがあります。
熱いコーヒーを紙コップに入れて手渡ししようとした瞬間に,激しく揺れたら…こぼれたコーヒーでやけどをするかもしれません。
ですが,あらかじめ,風向きと風の強さがわかっていれば,こういった事態を回避できるようになるのです。
ここでは,乗客の安全性の確保,燃料ロスの回避,というベネフィットに繋がるのです。
これも,
「正確な気象情報」と謳うだけでは,お金を出して買うことはないでしょう。
その気象情報が,航空会社にとってどんな素晴らしいベネフィットになるのか,ということを「提案」できてこそ,はじめて興味を持ってもらえるのです。
今の時代は,情報過多社会です。
あまりにも情報が多すぎて,多くの人は混乱しています。あるいは,じっくり考える時間や集中力,注意力が低下しています。
「正確な気象情報があります」
というコピーに対して,見込み客側から,わざわざ
「なるほど,ではその正確な気象情報があれば,冷やし中華の販売個数の予測に役立ちますか?」
などとは聞いてくれないのです。
こちらから,どれだけその見込み客にとって有益なベネフィットを提案できるかどうか。
これが売れるかどうかを左右するのです。
あなたがよりアップスタッツな明日になりますように。
セールスコピーライター 飯山陽平
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