10年以上前の話です。
知人と,飲食店に行きました。
メニューを見ていたところ,
「誕生日の方は〜」
という一節が。
その日が誕生日当日の場合,スペシャルメニューがあるようです。
早速,知人がそれをリクエスト。
スタッフが,いわゆる本人確認書類で,氏名と誕生日をチェック。
本当に誕生日であることを確認。
しばらく待っていると…
スタッフが,ずらずらと何人も連れ立って出てきました。
そして座席を囲み…
みんなで一斉に
「ハッピーバースデー」
の歌を歌い始めました。
しかも,全員が同じように歌うのではなく,ハモリまで入って本格的です。
発声練習をしてから望んだわけでもないのに,きちんと音程は合っています。
そのまま歌は続きます。
Happy birthday, dear (名前)
この歌詞のくだりで…綺麗に調和していた歌が,突然乱れました。
歌っている人が,祝われる人の「名前を間違えた」のです。
このあとの…微妙な空気感。
なんとも表現しがたいものがあります。
ちなみにこの知人。
名前はひらがなです。
例えば,
「愛」
と書いて,「あい」と読ませたり「めぐみ」と読ませたり…という,悩ましい状況はありません。
漢字と違って,ひらがなは,読み方が1つしかありません。
…それでも名前を間違えたのです。
10年以上たった今も,たまにこの話題が出ます。
せっかくの演出により,好印象を持ち,リピートしてもらうための施策のはずが…
「名前を間違えられた残念な店」
としてインプットされたことになります。
さて。
名前とは何でしょうか。
定義【名前】
ある人や事物を他の人や事物と区別して表すために付けた呼び方。
他と区別するための呼び名。
つまり,他と区別することで,他にはない,特別の…唯一無二の存在であることを示すためのものです。
実際に,同姓同名の人はいるでしょうが,そこは問題ではありません。
ちょっと想像してみてください。
あなたと全く同じ存在がいたら,どうなるでしょうか。
よく,忙しい経営者は,
「自分があと3人欲しい」
などと表現することがあります。
本当に,自分が3人いてもいいのでしょうか。
その恐怖に耐えられるのでしょうか。
自分と全く同じ存在が3人もいるならば…いつどの瞬間に
「自分はいなくてもいい」
という事態になるかわからないのではないでしょうか。
例えば,会社勤めの人が,リストラにあったとします。
とても衝撃的な出来事でしょう。
もちろん,失職する,という経済的な問題も大きいでしょう。
ですが…それ以上に,リストラとは
「自分はもうこの会社に必要とされない」
という通告にほかならないわけです。
もちろん,
「この会社にとって」
ですので,人間としての価値がないかどうかはまた別です。
ですが,それでもリストラされることで…メンタル的に大きな衝撃を受ける人がいるのは事実です。
会社勤めという,人生の中の一側面ですら,これだけの衝撃を受けるのです。
自分の存在そのものについて,
「自分はいなくてもいい」
と思われかねない状況に,耐えられる人は本当にいるのでしょうか。
だから…名前が必要なのです。
名前をつけて,「他とは区別された特別な存在」として自分自身を定義づけることで,自分自身のアイデンティティを保護することができるのです。
定義【アイデンティティ】
自己が環境や時間の変化にかかわらず、連続する同一のものであること。主体性。自己同一性。
人としての存在性を否定されかねないことはとても恐いことです。
ですが…割と簡単に,その人の存在性を否定することはできます。
その人を罵倒したりして貶めることも一つでしょう。
ですが,今日の話からもうおわかりではないでしょうか。
人の名前を間違える。
これも,相手の存在性を否定することに他ならないのです。
なぜなら,名前によって自分の存在性を確立する…ということであれば,名前を間違えることで,その存在性の確立を揺さぶることになるからです。
もちろん,過失による「間違い」は害意がないだけマシです。
せいぜい…
「10年以上経った今も,名前を間違えられた思い出が話題になる」
程度で済みます。たったこの程度です。
昨日に引き続き,接客に関する話でした。
小学生の頃を思い出してみてください。
足し算,引き算を習ってから,掛け算,割り算をならったのではないでしょうか。
中学生に入ってから,「方程式」を習ったのではないでしょうか。
接客で,人を感動させる。
これは方程式のようなものです。
方程式は,四則演算ができない人に扱えるものではないでしょう。
そして,足し算や引き算といった基本。
その中に,
「名前を間違えない」
という,極めて重要かつ,しくじった時のダメージは計り知れないものが含まれるのです。
今日は名前についての話でした。
ここから,「ダイレクトレスポンスマーケティング(直接反応型のマーケティング)」の極意が垣間見えます。
つまり,人を十把一からげに扱わずに,この世の中にたった一人しかいない存在として扱えばいいのです。
たったこれだけです。
意外と…できそうでやってないですよね。
一番顕著な例は,
「皆様」
と呼びかける,とか。
ぜひ一度,
「目の前の,その人を特別な存在として扱うためにどうすればいいか」
を考えてみてください。
「名前」は一番簡単な方法です。
相手を他にはない特別な存在として扱う…相手にとって,世界で最もパワフルな言葉です。
それだけパワフルなものを扱うのですから…間違ったら大やけどする,というのは想像に難くないのではないでしょうか。
あなたがよりアップスタッツな明日になりますように。
セールスコピーライター 飯山陽平
追伸
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冗談抜きで…これは相手の存在性を否定しかねない恐ろしい言葉です。
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