ヘッドラインとは,「見出し」のことです。
日本では,なぜか「キャッチコピー」と呼ばれることがあります。
コピーライターの業界としては,キャッチコピーのことをヘッドラインと呼びます。
メールだったら…いわゆる「件名」を指すことになるでしょう。
このヘッドラインでやってはいけない禁じ手があります。
コピーライティングの格言の一つに,こんなものがあります。
「ヘッドライン(HeadLine)に社名を入れると,デッドライン(DeadLine)になる」
デッドラインとは,いわゆる締め切り,死線などを意味します。
似たような英語のスペルを利用した,洒落のようなものなのでしょう。
死線とは,超えてはいけない一線という意味なのですが,ここでは文字通り「死んだ1行になる」くらいの解釈が適切ではないかと思われます。
解釈はそれでいいのでしょうが,この格言自体は本当なのでしょうか。
ヘッドラインは,本文の5倍以上読まれる,と言われています。
広告の成果の80%が,ヘッドラインだとも言われています。
つまり,広告はヘッドラインを読んでもらわないと,先に進まないのです。
そのヘッドラインが「死(Dead)」だとしたら…その1行が死んだだけでは済まされません。
広告そのものが,死亡した,と言うことになるのでしょう。
この格言の時代背景と現代とでは,かなり環境が違うので,解釈も分かれるのは仕方が無いことです。
ということで,だいぶ回りくどい表現になりましたが,やってはいけないのが,ヘッドラインで社名を入れること,となります。
ですが,より具体的に解釈するとどうなるのか。
社名は,売り込みの象徴的な単語です。
ということは,ヘッドラインで売り込みそのものをしてしまってはいけない,ということになるのです。
シンプルで当たり前のことですが,ヘッドラインで,いきなり売り込み臭さを出してしまうと,敬遠されます。
誰だって,見ず知らずの人から売り込みされたらイヤでしょう。
ヘッドライン…すなわち,一番目立つところで社名を入れることで,
「私はあなたに売り込みしようとしていますよ」
と意思表示しているのであれば…【よくわからないけど,とりあえず避ける】人のほうが多いのではないでしょうか。
繰り返しますが,ヘッドラインに社名や売り込みを入れてはいけません。
社名の代わりに商品名を入れるパターンもNGだと理解しておけばいいでしょう。
しかし,これには大きな前提があります。
例えば,私が自分のメールボックスを見てみたとします。
そこには,件名に新商品や新サービスの案内がたくさんあります。
これらについては,先ほどの
「ヘッドライン(件名)に売り込みを入れてはいけない」
というルールに違反しているかのように見えます。
これはこれでいいのです。
矛盾しているような気がするかもしれません。
けれど,前提が全く違うのです。
例えば,あなたがiPhoneが好きだとします。
新型が出ると,アップルストアの前で前日から並ぶくらい好きだとします。
そんな人に対して,新型iPhoneのセールスコピーを書くとします。
ヘッドラインはどんなものが適しているのでしょうか。
「私が前日夜から徹夜して行列に並んでいるの見て,みんなは笑った。けれど…」
みたいな回りくどいコピーは必要でしょうか。
それとも,
「Facebookに載せる写真を上手く撮るにはどうしたらいいのか」
などと最終的にiPhoneで上手く写真を撮る方法を説明して,iPhoneを売り込む,という搦め手のコピーは必要でしょうか。
必要ないはずです。
単に,
「○月○日,新型iPhone発売」
で十分でしょう。それだけで,前日夜からストアの前でスタンバイ完了…となります。
これは,ヘッドラインに商品名が入っています。
でもいいのです。
ヘッドラインに社名や商品名を入れても許される場合と許されない場合。
その決定的な違いは,売り手と買い手の関係性です。
十分な関係が気づけているのであれば,ヘッドラインに社名や商品名を入れた方が効果的な場合もあるでしょう。
ですが,全くの見ず知らずの人に,いきなりヘッドラインに社名を入れると…無視されます。見ず知らずの人に売り込みなんてされたくないでしょうから。
関係性が高い一つの目に見える形が,
「リピーター」
です。先ほどのiPhoneの例などでは,関係性どころか,すでに信者化しています。
また,メールボックスの件名に売り込み的なメッセージが入っていてもいい理由。
それは,メール配信を通して,十分に関係性が築けているかどうか,です。
十分な関係性が築けているならば,ヘッドラインに多少の売り込みを入れても問題ありません。
そうでなければ…普通に無視されて終わるだけです。
まとめます。
原則:ヘッドラインでは社名や商品名,売り込みは入れてはいけない
例外:リピート客相手など,十分な関係性が気づけている顧客であればOK
なのです。
リピート客に,新規顧客を獲得するかのような変化球のヘッドラインを使ってみたり,新規顧客になれなれしく売り込みをしないように心がけてください。
あなたがよりアップスタッツな明日になりますように。
セールスコピーライター 飯山陽平