先日、歯医者に行った時のことです。
前回、歯の型を取るところまで済ませてあったので、今回はその歯のかぶせるものを填める作業となりました。
ところが、填めてみたものの、どうにも違和感があります。
歯科医の先生は、
「どうですか?違和感ないですか?」
と訊かれ…違和感はあるものの、どこがどのように違和感を受けるのか、それを口にすることは出来ません。
言葉が出てこず、途方に暮れました。
そんな私の様子を見て、かぶせた箇所をもう一度外し、また削って填めて、それからまた外して削って填めて…
ちょうど1時間くらいで、違和感が全く気にならないくらいの状態になりました。
歯は体の一部であり、毎日使う(食べる)以上妥協したくないところです。
とはいえ、どう違和感があるのか口に出来ずにいたところ、結局最後まで口にすることなく、満足の仕上がりとなりました。
1時間が長すぎるのか適正なのかは脇においておきます。
(歯科医の先生曰く、私は噛みしめの癖が強いため、特に慎重に歯型を合わせなければならないのだとか…)
何も言わずに、こちらの満足通りに仕上げてくれた先生には、とても感謝の気持ちが生まれました。
…こマーケティングがうますぎて予約が1ヶ月半〜2ヶ月先まで入らない、という困った歯科医院ではあるのですが、これからもここに通うことになりそうです。
話は変わります。
6年ほど前、ある眼鏡屋で眼鏡を買いました。
もともと、北海道に引っ越してきた際、知人に紹介された眼鏡のチェーン店です。
とはいえ、その紹介された店舗は少々遠いため、自宅から比較的近い店舗で眼鏡を買いました。
その後、その店舗で眼鏡を調整することになります。
販売の時に担当していただいた店長が眼鏡を調整してくれると、とてもよい具合に仕上がります。
一方、他の方が調整すると大変です。
なぜなら、調整した後、
「これでどうでしょうか」
と訊かれても、わからないからです。
眼鏡のフレームがきちんと顔にフィットしているのかしていないのかすらわかりません。
だからこそ、
「どうですか?」
と訊かれてもわからないのです。
しかたがないので、
「いいんじゃないですか」
と妥協して…翌週もう一度来店して、
「どうにもイマイチ…」
と、今度は店長に調整してもらって満足して帰る、という感じでした。
ところが、その店長が異動で札幌市南区の店舗に配属されることになりました。
札幌の方は土地勘があるのでわかるでしょう。
誤解を恐れずに例えるならば、東京都でいうところの、23区に対して八王子市…くらいのイメージでしょうか。
用があって札幌に行ったとしても、とても「近くだからちょっと寄ってみる」という距離ではありません。
それでも、その店長のいる店に行って、調整しています。
なぜなら、
「自分にとってもっともよい状態」
を知っており、その通りに仕上げてくれるのはその店長だけだからです。
この2つの事例の奥にあるのは、
「自分の望んでいる状態を口に出して言えない」
ということです。
本当に歯が違和感なく填まっているのか。
眼鏡が最適な状態に調整されているのか。
これを私は口に出して説明できません。要望もできないのです。
だからこそ、売手側は、十分に聴きとった上でその要望を言語化して実現しなければならないのです。
今の時代、多くの業種についてコモディティ化が加速しています。
つい最近も、税理士と打ち合わせをした時に、この話題が出ました。
最近はスマホで写真を取ると、自動的に仕訳がされるアプリまで登場しています。
「申告代行」というだけでは税理士にお願いするまでもない状態になりつつあります。
それでも、税理士が顧客に対して十分に聴きとって、顧客が口に出せない本当の悩みを聞き出し、その解決策を示すことが出来たならば…どれだけ安くて手軽なアプリ会計がたくさん出てきたとしても、その税理士は選ばれるつけることになるでしょう。
なぜなら、人は自分の本当の口には出せない悩みを真摯に聴いてくれた人には恩義を感じるからです。
なによりも、ほんとうに自分の悩みを真摯に聞いてくれる人は、今の世の中どれだけいるのでしょうか。
例えば、コーチ。
コーチングといえば「傾聴」という人もいるかもしれません。
ですが、私の知っているコーチングを行う人は…
「この人だけには絶対に自分の悩みなど話したくない」
と思わせるものがあります。なぜなら、全くこちらの話を聞こうともしないからです。
コーチはさておき。
本当にその顧客の悩みを真摯に聞いてくれる人など、数えるほどしかいないでしょう。
そして、その悩み真摯に聞いてもらうという体験は、他所ではできないもの。
だからこそ、顧客は恩を感じ、ファンになってくれます。
値段ではなく、「あなたから買いたい」と言ってもらえるようになるのです。
顧客に質問して下さい。
悩みを聞き出して下さい。
その上で、その悩み、問題の解決に対して全力で取り組んで下さい。
これができれば、あなたは売上に困ることは無くなるのです。
…といっても、
「じゃあ、顧客に何を聞いたらいいのか」
と思うかもしれません。
かつて、私も思いました。
そして、この点についての解説はあまり多くないように見受けられます。
あるいは、解説はしてあっても、
「練習」
しなければ身につきません。
だからこそ、練習に重点を置いたワークショップを開催することにしました。
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