「天職」という言葉が受ける隠された理由

「天職」という言葉が受ける隠された理由

「天職」という言葉が受ける隠された理由
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メルマガを何度となく解除申請しても,ゴ◯ブリの如くしぶとく,メルマガを送り続けてくる某社。
今は開き直ってブログのネタにでもなればいいか,くらいに思っています。

今回送られてきたメルマガの件名は,

飯山陽平様の「天職」を創り出す(以下略)

さて,天職とは何でしょうか。

定義【天職】
天から授かった職業。また、その人の天性に最も合った職業。

あなたは,
「天職」
という言葉を聞いて,どんな印象を抱くでしょうか。

私は…言葉を選ばずに表現するならば,
「キモい」
と感じます。

なぜか。
特に前半部分の定義がキモさに直結します。
「天から授かった」
です。
いかにも,スピリチュアル系にハマった人が好きそうなフレーズのような感じがします。

さて,私は別にスピリチュアルは好きでも嫌いでもありません。
ただ,明らかに嫌いなのは,
「原因と結果の法則」
から外れる思想です。

例えば,ただひたすら願っていればいつか叶う,というよくわからない考え方とか…

仮に天が自分自身の職を決めるのであれば,その原因と結果…あるいは明白な理由がわからなければ,気持ち悪くて仕方がない。

天から光が差してきて,脳裏に
「あなたの職業は◯◯です」
的な電波を受信すれば,それが天職になるのでしょうか。

そんな発想をする人がいたら,本当に気持ちが悪いという他ありません。

さて,きっとそんな人はいないでしょうから,定義の後半部分。
「その人の天性に最も合った職業」

これを見て,あなたはどう感じるでしょうか。

この定義だけを見て,何も感じるものはありませんが,この定義を見て「天職」を追い求め続ける人がいたとしたら,やはりキモくてドン引きするのではないでしょうか。

少々個人的な話をします。
高校三年生の時に,進学が決まりました。
お世話になった先生方に報告とお礼を言うために職員室へ行きました。
中高一貫校だったため,中学時代からお世話になった先生を含めると,お礼を言う先生の数は多くなります。

そして…報告とお礼を言うたびに,
「法学部か。君にはとても合ってるよ」
と言われました。

私自身は,消去法で法学部を選んだので,法学部が自分に合っているとは思わず,
「みんながみんな,不思議なことを言うな…」
くらいに思ってました。

それから時が経ち,司法書士試験に合格して,独立開業。15年が経ちました。

それこそ,学生として法律を学び始めてから今日まで,一度たりとも法律が自分に合っていると思ったことはありません。
司法書士が私の適職だと思ったことがありません。天職など論外です。
むしろ,司法書士という仕事はとても自分には向いていないとすら思っています。
たまたま知識スキル経験があるから,十分に仕事がこなせるだけです。

では,今のコピーライターという仕事はどうなのか。
正直に言うならば,
「司法書士よりはよほど自分には合っているが,天職だと思ったことはない」
です。
コンサルタントとしても,全く同じです。

ならば,私の天職は何でしょうか。
天から与えられた…というのはキモいので,私の天性に最も合った職業は何か。

…知りません。
わかりません。
わからないからと言って,別に困ったことがあるわけでもありません。

コピーライターの仕事は,とてもきつくて大変ですが,やりがいがあります。
司法書士(の中の一部の業務)と違って,よほど世の中,社会,人々に貢献している,という実感もあります。

だったら,コピーライターが天職なのか。
それこそ,知りません。

よく,天職かどうかを判断する質問で,
「その仕事が二度とできなくなる代わりに1億円もらえるならどうするか」
というものがあります。

1億,2億ではコピーライターを手放す気にはなれませんが,これが10億,20億ならば,考えてしまいます。
その時点でもはや天職とは言えないでしょう。

ただ,私は「それでも構わない」と思っています。
自分の今やっている仕事が天職でなくても,別に気にはしていません。

それ以上に,
「これは自分の天職ではない」
と思いながら,イヤイヤその仕事を続けているという状況のほうが目も当てられません。

さて。
では,「その人の天性に最も合った職業」という定義で考えたときに,天職を追い求める人が,なぜキモいのか。

「天職」というコピーに反応する人ということは,今の目の前の仕事に全力を尽くしていないことに他なりません。
そして,その人の中では
「これは私の天職ではない。天職だったらもっともっと能力を発揮できていて,素晴らしい成果を出し続けているはずだ」
と思っていることでしょう。

つまり,目の前の仕事から逃避している人たちに,
「それはあなたの天職ではありませんよ。あなたの天職,探してみませんか」
という甘い言葉で,目の前の仕事から逃避する口実を与えている,実にえげつないコピーだと言えます。

そして…そのコピーを「これ幸いとばかりに」受け入れる。その共依存状態がキモいという他ありません。

何よりも,天職は「最も合った」です。つまり80%正解でもなければ90%適合でもありません,100%で「最も」すなわち「正解」となります。

常に「正解」を探す思考から抜け出せない人が「天職」を追い求め続けて徘徊しているのではないでしょうか。

そして,そんな人には,天職など見つかるはずもないでしょう。
食虫植物に捕らえられて,虫が溶かされて捕食されているのを脇から見ている気分です。
こういったコピーは,本当に気持ち悪い。
そして,反応する人も気持ち悪い話です。

「天職」という言葉を使えば,大きな反応は見込めます。
ただ…そこで集まる人々はどんな人達でしょうか。
そんな人達を相手に顧客として迎え入れたいと思えるのでしょうか。

コピーに使う,象徴的なキーワード。
ここで言う天職。
そのキーワード次第で,どんな客層が集まるのかが,ガラリと変わります。
くれぐれも,理想の顧客像にあった言葉を使って集客して下さい。

あなたがよりアップスタッツな明日になりますように。
セールスコピーライター 飯山陽平

 

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