コピーライティングにずっと触れていく中で,様々な「単語」に接します。
それらのありとあらゆる単語の中でもいくつかパワーワードがあります。
それだけ強力な単語,という考え方です。
パワーというのは,それだけ読み手の興味や注意を惹きつけられる,ということです。
一昔前なら,
「無料」
という言葉が,トップクラスの実力を誇っていました。
ですが,今はこの「無料」という言葉も,だいぶ劣化しつつあります。
つまり,無料という言葉自体がありふれてしまったのです。
そもそも,無料とはどういう意味なのでしょうか。
定義【無料】(デジタル大辞泉)
料金を払わなくてよいこと。無代(むだい)。ただ。
定義【よい】
人の行動・性質や事物の状態などが許容範囲内であるさま。
ア)許せる。承認できる。「帰っても―・い」「代理人でも―・い」
(以下略)
つまり,「払わなくてもよい」という言葉の意味は,
「本来,支払われるべきものに対して,特別に支払い不要」
ということになります。
しかし,この本来の意味が薄れてしまい,単に「ただ」=「0円」,そして「価値」=「0円」という印象が形成されてしまいました。
ところで,あなた自身,
「価値のないもの」
をもらって嬉しいでしょうか。
本来価値があるものを,対価を払わずに得られるからこそ,そこに醍醐味がある,というものです。
そこで,無料という言葉を使うなら,「本来価値がある」ということも合わせて伝えなければならないのです。
例えば,ネットの記事などでは,ネット通販の「送料無料」という言葉に対し,
「送料当社負担」
という言葉を使ったほうがいい,などという意見も見受けられます。
これは本来,運送業者に対して支払うべき送料を,販売者側が負担している,という意図を伝えるものです。
さらに言うなれば,送料無料は,販売者側の特別なオファー(提案)であって,決して「当たり前」ではない,ということです。
「無料」という言葉をつかうならば,本来の価値もセットで使わなければ,その言葉のパワーは機能しなくなるのです。
…ですが,上述の通り,「無料」という言葉が使われすぎて,力を失ってしまいました。
では,この「無料」以上に強力なパワーワードは何でしょうか。
ちょっと考えてみてください。
もちろん,これは私の見解です。
他のコピーライターも,同様の見解を持つ方もいるでしょう。
そのパワーワードはこちら。
「because」です。
定義【because】(新英和中辞典)
[Why で始まる疑問文の答えの冒頭に用いて] なぜなら,というのは
この「because(なぜなら)」という言葉そのものが強力なわけではありません。
このbecauseとセットのWhyにこそ,強力さがあるのです。
正確に表現するならば,「理由」をきちんと明確にすればこそ,そこにコピーとしてのパワーが出てくるのです。
先程の「無料」の例ならば,「無料」であること。そしてその本来の価値はいくらなのかを伝えること。
そのうえで「なぜ無料なのか」という理由を伝えることで,パワーが激増します。
コピーの中でも極めて強力さを発揮するのが,この「理由」なのです。
さて,今日の本題。
「あなたはこの質問に答えられますか?」
です。
あなたは,次の質問に答えられるでしょうか。
そして,その答えを,コピーに盛り込んでいるでしょうか。
セールストークに入れているでしょうか。
あるいは,ブログやメルマガ,WEBサイトで発信しているでしょうか。
いくつかありますが,この3つの質問だけは,しっかり答えてください。
1.なぜその商品/サービスを選ぶべきなのか。
2.なぜあなたから買うべきなのか。
3.なぜ今買うべきなのか。
あとは,もし特別価格を設定するなら絶対に欠かせないのがコレ。
・なぜ特別価格なのか。
具体的には,50%オフだった場合,
・なぜ50%オフなのか
ということです。
オファーということで,何らかの特典を付けるなら,
・なぜその特典を付けるのか
ということです。
これらの質問に対する答えは,しっかりと考えて準備しておいてください。
最後に。
【なぜ】理由のコピーは強力なのか。
このブログで何度も何度も書いてきました。
勉強彼の方や,このブログをよく御覧いただく方は「またか…」と思うかもしれません。
ですが,先日ワークショップでこの話をしたら非常に驚かれました。
もしかしたらあなたが初耳かもしれないので紹介します。
ある有名な心理実験の話です。
行列のできているコピー機の前で、順番を譲ってもらうようにお願いする,ということです。
(1)「コピーを先に取らせて下さい」とお願いしたら、60%の人が承諾。
(2)「【急いでいるので】コピーを先に取らせて下さい」とお願いしたら、94%の人が承諾。
(3)「【コピーを取りたいので】先に取らせて下さい」とお願いしたら93%の人が承諾。
(1)は、理由がないので60%と低めです。
(2)は正当な理由があるので,納得の94%。
問題は(3)です。
(3)は理由っぽいような…でも理由にはなっていません。
それでも(2)とほぼ数字が変わらないのです。
人は「理由」があると,何となく反応してしまう…という性質があるようです。
ですが,その理由が「なんとなく」ではなく,論理的にも感情的にも納得できるものだったら…より高い反応が見込めます。
ぜひ,理由を考えて,コピーに活かしてください。
今までよりも高い反応に驚く日が来るはずです。
あなたがよりアップスタッツな明日になりますように。
セールスコピーライター 飯山陽平
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