今もまだまだ,自分の実力に満足はしていませんが…
今よりもさらに実力が足りなかった頃の話です。
あるコピーを書いて,クライアントに見せました。
すると…
「別に,こんなことわざわざ書かなくても,読み手はそんなこと知っているから」
と言って,バッサリとカット。
言われてみて,
「確かに…」
と思う反面,
「ん…何か違う…」
とも思い…結局,言葉にできず,その時は引き下がりました。
さて,今日のテーマは,イエスセットです。
イエスセットとは,セールスのテクニックの一つ。
相手に
「イエス」
を続けて言わせることで,クロージングも
「イエス」
と言ってもらいやすくなるようにする,というもの。
例えば,
「今日はいい天気ですね」
「はい」
から始まり,
「〜といった問題でお困りということですね」
「はい」
「〜の問題を解決することがお望みということでよろしいですか?」
「はい」
という感じで,ひたすら
「はい」
を言わつづけることで,最後に,
「ではお買い求め頂けますか?」
というクロージングに対して,
「はい」
と言ってもらう。
そんなテクニックです。
さて,このイエスセット。
そこまで
「はい」
を言い続けてもらうことは可能でしょうか。
もし,「NO」を受けたらどうすればいいのでしょうか。
もし「NO」を言われたら,直前に言ったことをそのまま裏返しにいうことで「YES」を引き出すことはできます。
例えば,
「品質よりも,価格を重視するということですね」
「いいえ…」
と言われたら,
「ということは,品質よりも価格を重視するわけではない,ということですね」
と言えば,相手は,
「はい」
という他ありません。
…これがイエスセットの基本的なテクニックです。
さて,このイエスセット。
本当に,セールスで使えるのでしょうか。
私は,セールスコピーライターであっても,セールストレーナーではありません。
正直…この問いに対して,私は答えを持っていません。わかりません。
ただ,あくまでも個人的な見解です。
「テクニックとしてイエスセットを使おうとしている限りは,イエスセットは通用しない」
のではないでしょうか。
例えば,ラポール(信頼)を築くテクニックの一つ,ミラーリング。
相手と同じことをする,というものです。
セールス相手がコーヒーを手に取ったら,自分もコーヒーを手に取る。
水を手に取ったら,自分も水を手に取る。
このように相手に「同調する」ことで信頼感を醸成するテクニックです。
個人的に思うのですが,
「ミラーリング」
をテクニックとして駆使されたら…醒めます。
「あ,こいつミラーリングしてやがる」
と思ったら,
「こんな安っぽいテクニックを使って,ラポールを築けるとでも思っているのかな」
などと考えます。
テクニックをテクニックとして使っている限りは,おそらく効果はないでしょう。
同じように…イエスセットも,イエスセットとして使おうとしている限りは,おそらく効果はありません。
ただ…結果的に,相手と同調して同じタイミングでコーヒーを手に取る。
これはしょっちゅうあります。
結果的に,相手に
「はい」
を積み重ねて言ってもらっていることは,よくあります。
別にミラーリングとか,イエスセットを意識しているわけではないのに,です。
つまり,テクニックをテクニックとして使った場合,対面セールスでは,なかなか通用しないのが現実です。
では,このテクニックをコピーライティングに使うことは可能でしょうか。
実はこのイエスセット。
コピーライティングこそ,使い所ではないでしょうか。
前提として,広告は「信じられない」ものです。
広告にだまされて嫌な思いをしたことがある人はたくさんいます。
あなたもきっと,一度や二度どころではないでしょう。
極端な話,広告の一言一句が疑われてもおかしくないのです。
だからこそ,コピーのオープニングにイエスセットが活きるのです。
例えば,こんな書き出しだったら,どうでしょうか。
「2017年も,7月になりました。」
「今年も折り返しを過ぎました。」
と書かれたら,どうでしょうか。
「2017年も,7月になりました。」
という書き出しに「NO」を出せるでしょうか。
現に,今は2017年7月です,NOを出しようはありません。
「今年も折り返しを過ぎました。」
これも「NO」を出せるでしょうか。
現に,2017年の折り返しを過ぎました。
NOはだせません。YESとしか反応が出せないのです。
このように,胡散臭い,疑わしい広告コピーだからこそ,YESセットで,書き出しからとにかく「NO」を回避して,いかに「YES」と思ってもらえるかどうか。
そのために,コピーライティングこそ,イエスセットが活きてくるのです。
冒頭の話で,
「別に,こんなことわざわざ書かなくても,読み手はそんなこと知っているから」
と言われました。
今だったら,
「だからこそ,書かなければならないんです」
とクライアントを説得したことでしょう。なぜなら,そのほうが内容を信じてもらいやすくなるからです。
あなたがよりアップスタッツな明日になりますように。
セールスコピーライター 飯山陽平
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