コンビニ強盗を撃退した「一言」の威力

コンビニ強盗を撃退した「一言」の威力

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ある雨の朝。
宿泊しているビジネスホテルから東京駅まで無料で送迎しています。
そのバスに乗り込みました。

運転手さんに、
「東京駅の、いつもの降りる場所ではなく、その手前でおろしてもらってもいいですか?
成田空港行きの高速バスに乗るので、そのバス停近くで降ろして下さい」
と頼みました。

いつもの場所から歩いて3分ほどのバス停。
荷物がたくさんある中で、雨の中3分歩くのは面倒なので、素直に頼んでみました。
すると、快く降ろしてくれました。

話は変わります。
先日、非常に興味深い話を聴きました。
あるニュースで、コンビニ強盗を店員が追い返したという話です。

店員に刃物を突き付け、金を要求したところ、店員がある一言を言ったところ、強盗は何も言わずに逃げ去っていったとのこと。

店員は何を言ったのか。

それが、
「何で?」
という質問です。

「何で?」という質問…別の言い方をするならば、「理由」を尋ねる行為です。

この「理由」は、一説によるとコピーライティングにおいて最も効果のある心理トリガーだ、という人もいます。

改めて、理由の大切さを考えてみましょう。

具体的には、
「何で?」
という問いです。

この問いに答えられるかどうか。

コンビニ強盗は、答えられなかったので、逃げていったのでしょう。
もっとも、その時の店員は外国人労働者で、
「強盗」
というものがよくわかっていなかった可能性があります。
とはいえ、理由と行動に一貫性を取りたがるのが人間です。
理由を答えられなかったので、逃げていってしまったのでしょう。

逆に、適切かつ合理的な理由があれば…人の反応を期待できます。
ですが…実は、適切かつ合理的でなかったとしても、理由があると人は動きやすくなるのです。

有名な心理実験にコピー機の実験があります。

このブログで何度も書いたので、ざっくりまとめると次の通り。
行列のできているコピー機の前で、
(1)「コピーを先に取らせて下さい」とお願いしたら、60%の人が承諾。
(2)「【急いでいるので】コピーを先に取らせて下さい」とお願いしたら、93%の人が承諾。
(3)「【コピーを取りたいので】先に取らせて下さい」とお願いしたら92%の人が承諾。

(1)は、理由がありません。
(3)は理由っぽいような…でも理由にはなっていません。
それでも(2)とほぼ数字が変わらないのです。

さて、冒頭の話を思い出して下さい。
「成田空港行きのバスに乗りたいので、少し手前のこのバス停近くで降ろして下さい」

これは合理的な理由でしょうか。
実は、合理的ではありません。なにせ、正規の降車場から歩いて3分。決して遠いわけではありません。
3分歩けばいいじゃないか、と言われればそれまでです。
あるいは、「私が成田空港行きのバスに乗りたいので、少し手前で降りたい」ということと、実際に「本来のバス降車場よりも手前に降ろす」こととの間に、直接因果関係はありません。

もう少し平たく言うと「私が降りたい」だけであって「降ろさなければならない」理由はないのです。

そう、理由はないのです。
それでも、降ろしてもらえました。
ひとえに、理由になっているようでなっていないとはいえ、理由をつけてお願いしたからでしょう。

BtoBならば、徹底的に明確にしなければいけないでしょう。けれども、BtoCであれば「なんとなく」の理由でも割とまかり通ってしまいます。
もし、理由を言っていないなら…もったいない話です。

理由は何でも使えます。
例えば、リピート購入を促す時にも、理由があれば成約率が上がります。

新規顧客に購入をすすめる時に、やはり理由があれば成約率は上がるのです。

そして…コンビニ強盗をすることですら、「理由」は必要なのです。
どんな適当な内容でも、理由は出して下さい。出さないよりはずっとマシです。

出してから、どんどん理由をブラッシュアップすればいいのです。

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