15年以上前のことです。
司法書士試験を終えた翌日、整形外科に行きました。
試験勉強で文字を書きすぎたせいでしょうか。
肘が痛くて、手首までしびれてきてペンが持てなくなったからです。
原因は、幼少のころの骨折の悪影響。
診察を受けたところ、当時の接骨が上手くいっていないとのこと。
対処するにはどうしたらいいのか。
再度骨折するわけには行かない以上、骨盤の骨を切り取って、肘に移植手術するしかない、とのこと。
その際のメリット、デメリットを一通り受けた後、医師から
「どうしますか?」
と訊かれました。
さすがに、骨盤の骨を切り取る…などと、聞くだけでも痛いのですが、利き手が今後機能しなくなることを考え…
悩んだ挙句、次の通り言いました。
「先生、おねがいします」
今日のテーマは、
「専門家による、売り込まずに売る方法」
です。
ここでいう専門家の極致、それが医師です。
ちょっと思い出してみてください。
あなたは、これまでにそれなりの数の医師と会って話したことがあるはずです。
(これまで、一切病院に行ったことはない、という人はいないでしょう)
医師とのやりとりを思い出してみてください。
医師から、
「売り込み」
を受けたことがある人はどれだけいるでしょうか。
少なくとも、私は記憶にありません。
冒頭の一連の出来事においても、医師は私に
「どうしますか?」
と尋ねただけです。
私自身も、「売り込まれた」という感覚はありませんので、
「先生お願いします」
と言いました。売り込みに対して、
「買う」
という印象ではなく、こちらから(手術を)お願いする、という考え方でした。
とはいえ、医師が行ったことは、「手術のセールス」である、と言われたら否定できません。
しかし、これは売り込んでいるのでしょうか。売り込まれた…という感覚は与えていないのではないでしょうか。
これが、専門家による、売り込まずに売る、という考え方です。
話は変わります。
付き添いで病院に行った時のことです。
院内の待ち時間に、興味を惹かれたので撮影しました。
こちらをご覧ください。
※病院を特定されないように、また、個人の顔写真もあったため、一部モザイク処理しました。
これは、その出来の良し悪しはさておき。
完全にセールスコピーだと言えます。
販売するためのコピーです。
特に、こちらをご覧ください。
セールスコピーの特徴の一つ、Call To Action(行動への呼びかけ)がなされています。
新聞の折り込みチラシや、紙面広告よりも、よほど
「セールス」
している広告です。
ですが、1枚目の「 かわら版」を見た時、それをあなたは
「広告」
として見たでしょうか。
これが、売り込まずに売る、という考え方を、コピーライティングに応用した結果です。
いずれも、共通するのは、
「売り込み」
を受けていない、ということです。
専門家による、十分な情報提供の後、判断基準を示され…その上で、
「提案」
を受けているのです。
「売り込み」ではなく「提案」です。
「あなたは〜という問題を抱えていますね。私はあなたに〜という解決策を提案します。どうしますか」
という意図なのです。
「先生」と呼ばれる専門家は、セールスはしてはいけません。
絶対にしていはいけないのです。
なぜなら、セールスした時点で、「先生」といわれる立場を喪うからです。
そこで、セールスではなく「提案」をして下さい。
売り込みはしてはいけません。
最後に。
十分に情報提供すること。これも忘れないで下さい。
これが、
「専門家による、売り込まずに売る方法」
の基本的な考え方です。
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