自宅で、片付けをしながらつけっぱなしのテレビを聞き流していたところ、ある報道番組が始まっていました。
見もせずに、作業をしながら聞き流し続けていたところ、
「え?」
というかなりの違和感がありました。
政治がらみの問題に、コメンテーターとして
「スポーツジャーナリスト」
が質問に受け答えしていたのです。
言うまでもありませんが、スポーツジャーナリストとは、スポーツに関する専門家です。
もしかしたら、そのスポーツジャーナリストは、たまたま政治がらみの問題に精通しているのかもしれません。
ですが、そのような背景があるかどうかもわからず、当然かのように、MCがスポーツジャーナリストに政治がらみの問題にコメントを求め…その人は回答していました。
これがおかしい…ということはご理解いただけるのではないでしょうか。
では、この話を前提に考えてみてください。
たまに、飲食店などに行くと見かけるものがあります。
「芸能人(名前)が絶賛!」
といったコピーと共に、顔写真と、その芸能人のコメントがあり…商品名の写真や名称も出ているような、販促ポスターか何かです。
あなたも一度は見たことがあるのではないでしょうか。
なぜ、芸能人が絶賛…というコンセプトでポスターを使うのでしょうか。
その理屈がまかり通るなら、その辺を歩いている通行人でも同じではないでしょうか。
その辺の通行人と、芸能人。
いずれも、料理に関するプロフェッショナルではありません。
なぜ、その道に精通しているわけでもないのに、
「いかにも芸能人だから…」
といったスタンスで販促ポスターを作るのでしょうか。
…もしかしたら、その飲食店のほうが、芸能人よりも有名だから、芸能人を売り出すためのキャンペーンかもしれません。
テスティモニアル広告というものがあります。
定義【testimonial(テスティモニアル)】
1 (人の人格・品行・資格など,また物の価値・長所などの)証明書;推薦状.
2 賞状,表彰状,感謝状;賞品,賞金,記念品.
3 (…の)証拠(となるもの),証あかし((to …)).
証言広告などと言われることもあります。
いわゆる、「お客様の声」も、このテスティモニアル広告に該当します。
ですが、お客様の声と、推薦とは、厳密に役割が違います。
推薦とは、推薦する人の権威性や専門性から、その商品やサービスの性能や品質を保証するものです。
お客様の声とは、単純にその商品やサービスを利用した人の感想等です。その本質は、「自分が言いたいことをお客様に言ってもらうことで、売り込み臭さを無くすこと」でもあります。
例えば、商品価格についてプレゼンしたいときに、売手自らが「高くない」と言っても自画自賛っぽくて説得力はありません。
そこで、お客様の声として、
「はじめはちょっと高いかな…と思ったのですが、実際に使ってみたら思っていたよりもずっとよくて、実際には安かったと実感しました。買って良かったです」
などと書いてあったらどうでしょうか。
売手自らが言うよりも、ずっと信ぴょう性があります。
売手と買手では、立場が相対してしまう時に、お客様の声を活用することができます。
ですので、お客様の声とは、その商品を実際に買った人の率直な意見ということであれば機能します。
一方、推薦は違います。上述の通り、権威性や専門性といった立場が必要になります。
では、芸能人はどちらに当てはまるのでしょうか。
もちろん、「お客様の声」です。芸能人には、専門性も権威性もありません。
「芸能」という分野であればあるのかもしれませんが、飲食店の推薦としては力不足…のはずです。
にもかかわらず、芸能人を「推薦」のポジショニングとして扱うから、何かがおかしい…ということになるのです。
冒頭の、政治問題についても、コメンテーターとしてではなく、一市民としての立場から意見をすれば、何ら違和感はない…ということになります。
推薦も、お客様の声も、どちらも大切です。
ですが、扱い方を間違えることで、
「あれ?」
という違和感から、胡散臭さを醸し出すことになります。
推薦も、お客様の声も、広告の「信ぴょう性」を高めるという共通の目的があります。
ですので、そこに胡散臭さがあったら本末転倒です。
使い分けには気をつける必要があります。
あなたがよりアップスタッツな明日になりますように。
セールスコピーライター 飯山陽平
追伸
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