顧客にヒットする「ベネフィット」の探し方

顧客にヒットする「ベネフィット」の探し方

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私がまだ小学生の頃です。
身内に不幸があり、遠くの親族の家まで行きました。
通夜を済ませたものの、宿泊先がないので、ちょっと離れた別の親族の家に泊めてもらうことになりました。

その家に向かう時のこと。
電車に乗ろうとしたところ、うっかり姉が私の靴のかかとを踏んでしまいました。
その結果、少しゆるめだった靴が脱げて、ホームに落下。
田舎の駅故に、30分待って次の電車に乗るはめになりました。

その時、初めて見たのが、ハンドキャッチャー。
勝手にホームに降りて、靴を拾うわけには行きません。
駅員を読んだところ、ハンドキャッチャーを取り出して、靴を拾ってくれました。

このハンドキャッチャーですが、この時期、ホームセンターでよく売られているようです。
ハンドキャッチャーをホームセンターで大売り出しするのはなぜでしょうか。
ネットでまとめサイトを見た時に、思わず「なるほど…」と唸りたくなりました。

POPに、こんなことが書いてありました。
「コタツからでなくても
 リモコンが取れる」

ハンドキャッチャーを、ハンドキャッチャーとして売ったところで、欲しいとは思わないでしょう。
まさか、ホームに靴を落とした時に備えて持ち歩く…なんてことをするはずがありません。

このハンドキャッチャーのベネフィットは何でしょうか。
ひとえに、
「コタツから出なくて済む」
ことに尽きるのではないでしょうか。

リモコンを手に取るだけなら、コタツから出て立ち上がればいいだけの話です。
けれど、寒いし出たくないのです。
だからこそ、コタツから出なくてもリモコンに手が届くことに価値があるのです。

そこにベネフィットがあるのです。

もし、このハンドキャッチャーを、
「遠くのものに手が届きます」
だけだったら、誰も興味を引くことはないでしょう。

「コタツから出なくても
 リモコンが取れる」
とピンポイントな状況のベネフィットを示したから、
「おお!」
と思うのです。

誰が考えたのかわかりませんが、本当に巧いという他ありません。

では、このようなベネフィットは、どうしたら見つかるのでしょうか。
これは、コピーライターが一人で考え続けるものではありません。
実際にいろいろと聞いてみるといいかもしれません。

例えば。
このホームセンターでハンドキャッチャーを売っているシーンを取り上げたまとめサイトがあります。
その記事に色々なコメントが書き込まれています。

例えば、
「冷蔵庫の脇の隙間の物を取る」
と書いてありました。

つい先日、私も冷蔵庫の脇の隙間の奥に入り込んでしまったものを取ろうと四苦八苦し、掃除機のノズルを使って、なんとか掻き出しました。
この時にハンドキャッチャーがあれば、簡単に取れたでしょう。
ですが、ハンドキャッチャーはなく…しかも、こういう場面でハンドキャッチャーを使う、という発想がなかったので、必要だと思うこともなかったのです。

私にはない発想が、こういった場面で書き込まれているので、ヒントになるのです。

同じように。
別のコメントの書き込みで、
「左ハンドルの車で、駐車券を取るのに使う」
と書いてあって、
「なるほどなぁ…」
と思いました。

高速道路の料金所では、左ハンドルに対応しています。
ですが、駐車場のゲートで左ハンドルに対応しているところは多くありません。
出口の精算をハンドキャッチャーで済ませるのは至難の業でしょう。一度車を降りて、精算するしかないでしょう。
ですが、駐車場に入る時に、いちいち車を降りなくても、ハンドキャッチャーで駐車券を掴むことができれば、かなり楽でしょう。

これも、左ハンドルの車に載っていない私には思いつかない発想です。
このように、私には思いつかない発想も、リサーチすれば、出てくるのです。

この、「自分には思いつかない発想」という考え方が大切です。
例えば、治療家がコピーを書くとします。
すでに、自分が治療家として活動しています。ですので、
「患者目線」になりきることはできないのです。

だからこそ、患者に
「どんな時に辛いですか?」
と訊かなければならないのです。
自分で想像しても、それはあくまでも想像。顧客目線に立った発想ではないのです。

コピーライティングは、創作ではありません。
リサーチに基づいて制作しなければならないのです。

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