顧客に意識を向けるための「想像力」

顧客に意識を向けるための「想像力」

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新聞を見ていると、毎回同じような広告を見ます。
同じ広告が出ている…ということは、
(1)効果があるので、そのまま継続している
(2)効果があるのだかないのだかわからないけど、とりあえず継続している
(3)効果はないけど、どうしていいかわからないから、とりあえず継続している
とのどれかでしょう。

コピーライターとして見る限りにおいては、少なくとも(1)ではないのは確かです。

その、よく見る同じような広告。
それは、不動産業者の広告です。
仲介業者が、「不動産を売りたい人を探す」ための広告となります。

コピー…といえるほどではないのですが、よく見かけるのが、
「不動産を売りたい方募集」
「不動産をお売りになりませんか?」
といったものです。

他には、その会社の商号や電話番号などの基本的な情報のみ、です。

いつも不思議に思うのですが、これで
「家を売る」
気になる、と思ってこの広告をだしているのでしょうか。

家を売る…というのは、多くの場合、一生に一度あるかどうか、というもの。
もちろん、この広告のターゲットは、当然持ち家をお持ちの方です。
家を、2軒も3軒も持っているような人は稀でしょう。
(もちろん、投資を目的にたくさん物件をお持ちの方はいるでしょう。そのような方は取引のある不動産業者はいるはずなので、広告のターゲットから外れます)

後にも先にも、体験したことのない、家の売却。
それを
「不動産を売りたい方募集」
「不動産をお売りになりませんか?」
といったコピーで、反応してもらえる、と期待していたとしたら、なんともファンタジーな話です。

 

人間関係を格段に良くするために必要な力。
それは「想像力」です。
例えば、道を歩いていたときに、誰かとぶつかったとします。
イラッとします。
そして、そのイライラを…誰かにぶつけて…負の連鎖が起きます。

もしここで、想像力を発揮することができたらどうなるでしょうか。
誰かとぶつかったとします。
イラッとします。
そこで、そのぶつかった人を見ると、紙袋を持っている。

「もしかしたら…誰かとデートなのだろうか。だったら、遅れるわけにはいかないだろう。仕方がないな」
と思えるかもしれません。
あるいは、
「これから取引先に、手土産をもって行くのかもしれない。慌てているのかな。まだ新人かもしれないし」
などと思ったら、イラッとした気持ちも収まるのではないでしょうか。

ここでは、その想像した内容が正しいかどうかは関係ありません。
そのように想像することができるかどうか、ということです。

その上で、先ほどの不動産の売却の状況を、具体的に想像してみてください。

家を手放さなければならない、その人の状況はどのようになっているでしょうか。
例えば、不動産の名義人である夫が亡くなり、妻名義にしたものの…妻も高齢で、1人で生活していくには大変。
そこで、都会に住む子どもの家に身を寄せることになり、家を手放すことになった…のかもしれません。
その家には、亡き夫との思い出がたくさん込められています。

そんな状況で、できれば住みたいものの手放さざるを得なくなった…
そんな人に。

「不動産を売りたい方募集」
「不動産をお売りになりませんか?」

と声がけするでしょうか。
あまりにも、自己本位過ぎるのではないでしょうか。

本当に少しだけでいいのです。
そのコピーを書く時に、ターゲットとなる顧客のことを想像してみてください。
あなたのその広告は、その想像の中の顧客に反応してもらえるでしょうか。

繰り返します。
想像の内容が正しいとか間違っている、ということではありません。
想像する、ということを通して、どれだけ顧客のことに意識を向けられるか。
ただそれだけです。

自分の言いたいことだけを言って、顧客のことをカケラほども省みない広告ばかりでうんざりしています。
きっと…顧客も同じようにうんざりしているのではないでしょうか。
少しでいいので、顧客に意識を向けて下さい。
その具体的な方法として、想像してみて下さい。

 

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