あるひとつのビジネスが終わるときの物語

あるひとつのビジネスが終わるときの物語

あるひとつのビジネスが終わるときの物語
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こんにちは。
アップスタッツの飯山です。

 

今日は,ある店舗の
閉店の話です。

 

感じたことをそのまま書くだけなので,
マーケティング的な要素はありません。

 

あえて言うなら…
閉店に追い込まれるよなことがないように,
しっかりとマーケティングしましょう…
みたいな感じにしてもいいのでしょう。

 

ただ…
そこにある出来事と感情で考えると
いろいろと感じたり割り切れない思いも
あります。

 

以下,
読み物感覚でお付き合いください。

 

 

ずしりと来た,店員のつぶやき

 

 

 

先日のことです。
仕事で知り合った,ある方が
嘆いていました。

 

 

吉野家の,ある店舗が閉店するとのこと。

 

 

その方が,
いろんな店舗の中でも,
最も通った店だけに,
閉店の知らせに
がっかりしたそうです。

 

 

「まあ,
吉野家はチェーン店だから
どこの店で食べても
味は一緒だよね」

 

 

…とはおっしゃっていましたが。

 

 

 

ちょうど,
その最終日に
近くを通る機会があったので,
その店舗に行ってみました。

 

 

午前中の早い時間だったので,
店内は私の他に1人だけ。

 

 

ちょうど,
時間の切れ目だったのでしょうか。

 

パートのおばちゃん
らしき感じの店員が
出勤してきて,
店内で仕事を始めた時間帯でした。

 

 

 

その,
他の一人が
会計しながら,

 

 

「今日が最後だって?」

 

 

と尋ね…
その店員さんが,

 

「そうなんです」

 

 

と会話しながら…
現金のやり取りを終え…

 

 

「ありがとうございました!
またの…」

 

で言いよどみました。

 

ちょうどレジの後ろの席で
私は食事をしていたので…

 

 

その店員さんの,

 

 

「またはないんだな…」

 

という,小さな小さな
つぶやき声が耳に入り…

 

ぐっと,胸に刺さりました。

 

 

チェーン店といえども

 

 

知人の方がおっしゃる通り,
吉野家はチェーン店。

 

 

基本的に,
味はどこで食べても,
そう大差はありません。

 

 

ありませんが…

 

 

体験と記憶は違います。

 

例えば…

 

 

私も吉野家には
いろんな思い出があります。

 

 

吉野家というものを
よく知らなかった頃。

 

大学のサークル活動で,
「山手線を歩いて一周」
という行事があり…

 

 

半日かけて,
歩き続けるのですが。

 

明け方に,
開いていた吉野家で
食べた牛丼に,
「この時間にこの価格帯で
これだけのものが食べられるのか」
と驚いた記憶。

 

 

勤務していた時に,
職場の人と一緒に食べに行き…

 

 

当時販売していた
「豚丼」
に,ごぼうを始めとした
野菜がはいっていることで
喜んでいる姿の記憶。

 

 

BSE問題で,
アメリカ産牛肉が輸入できず,
吉野家も,牛丼の販売停止。
ずっと豚丼の販売を続け…

 

 

1日の販売分だけ
牛肉を確保できたとのことで,

 

 

「1日だけ牛丼を販売した日」

 

 

に…店を訪れ…
店内に入った瞬間,
懐かしい牛丼の香りに,
思わず目頭が熱くなったこと。

 

 

もちろん,
トラブルなどもあり,
嫌な思い出も,無くはないのですが。

 

いろいろな思い出があります。

 

 

同じように…
その知人の方も,
単に
「一番多く通った」
と言うだけでなく,
それまでの間に,
様々な思い出があったから…

 

「どこで食べても味は一緒」

 

などと言いながら…
閉店を嘆いたのでしょう。

 

 

そして…
それは顧客だけではありません。

 

 

そこでずっと働いてきた
店員にしてみたら,
大きな喪失感を抱くかもしれません。

 

 

 

長年ずっと

 

 

「ありがとうございました!
またのご来店お待ちしております」

 

…と言い続けて…

 

最終日も,
今までと同じように,
習慣で…反射で…

 

思わず

 

またの来店を…

と言いかけて

 

「またはないんだな…」

 

とつぶやいた,その一言。
本当に小さな声でしたが…

 

本当に,ずしりと重たい一言に
聞こえました。

 

 

店員さんも,
その店の中で,
いろんな体験と,思い出を
積み重ねてきたことでしょう。

 

 

そう考えると…

 

 

一つのビジネスが終わる,
というのは,
なんとも言えないものがあります。

 

 

 

多店舗展開している場合は…
その中の
数字だけで,
「不採算店」
と判断され…

 

これ以上赤字になる前に…
という判断かもしれません。

 

そして
ビジネスは引き際,
出口が大事であり,
不採算事業を,
赤字が拡大する前に
対処することは本当に大事です。

 

 

だから…
不採算店の閉店は
やむを得ない判断…
むしろ,賢明な判断と言えるかもしれません。

 

 

ただ,
それは経営面だけの話です。

 

 

現場レベルで言うと…
顧客には,その店への
愛着があるでしょう。

 

店員も…
ずっと働いてきた
思い出や愛着があり…

 

 

そして…
顔なじみにになった
顧客と店員との間には
絆があることでしょう。

 

それは,
チェーン店とは無関係に
築かれるものです。

 

 

そう考えると…
仕方がないとは言え,
寂しいものですね。

 

 

これが,
一つのビジネスの終わりの
姿といえます。

 

いつも…飲食店で会計の際は,
「ごちそうさまでした」
と一言,言ってから退店するのですが。

 

この日は…

 

「お世話になりました」

 

と言って,出てきました。

 

 

店の外には…
販促の垂れ幕があり…

 

 

本部から送られてきたものを
そのまま使うしか無いのでしょう。

閉店日よりも先までの
キャンペーン案内がされていて,
ますます寂寥感を増幅させていました。

 

 

あなたがより「アップスタッツ」な明日になりますように。
アップスタッツ 飯山陽平

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