メールボックスに,
「【1000円OFF】(中略)クーポンは全商品でご利用いただけます」
という件名のメールが来ていました。
今は使っていないけれど,昔はよく使っていた,あるネット印刷会社からのクーポンです。
それまで使っていた印刷会社より安かったのでこの会社を利用。
ですが,今となっては,この会社よりもさらにずっと安いネット印刷会社を見つけたので,それ以来一度も使っていません。
これを見て,
「どーせ,使えないだろうな…」
と思いながら,期待せずに一応クリック。
すると。
本文に,
「1,000部2,000円のチラシや100部500円の名刺にもご利用いただけます」
とのこと。
これを見たら,
「ん?」
という違和感が。
「どーせ使えない」
と思っていただけに,使えそうなのが意外でした。
その後…
「【1万円以上のご注文限定】」
という文字を見て,
「ああ,やっぱり…」
という失望感,裏切られた気持ち,ちょっとだけでも期待した自分自身に対する苛ついた気分になります。
「1,000部2,000円のチラシや100部500円の名刺にもご利用いただけます」
とか言っておきながら,1万円以上の注文なんて,嘘つき!!
という感じです。
これは,不定期的に送られてくる,クーポンのメールです。
見るたびに,この失望感を味わっており,学習しない自分をアホだなぁ…と思う次第です。
さて,この「1万年以上のご注文限定で,1000円引き」というオファー。
マーケティング的に考えて,何がまずいのでしょうか。
ぜひ,ちょっと考えてみて下さい。
上述の通り,かつてこの印刷会社は,「安かった」から使っていたのです。
今は,「他に,もっと安い」ところに乗り換えてしまったため,それ以降2年ほど使っていません。
この印刷会社は,
「安さ」
を売りにしています。
また,私が乗り換えた先の「さらに安いネット印刷会社」は,この会社の価格を意識して,値段表を作成しているように感じます。
つまり,「安さ」を強みに戦ってきて,「安さ」で負けている状態です。
その結果,2年以上,顧客が離脱している状況です。
この「価格が全て」といったプロモーション自体を何とかしない限り,この「さらに安いネット印刷会社」には勝てないでしょう。
それとは別に,もう一つ大きな,そして今日の主題である問題があります。
単純に,
「安さを売り」
にしている会社が,どれだけ
「客単価1万円以上」
なのでしょうか。
私は,だいたい毎回チラシを1000枚とか2000枚程度,小ロットで発注しています。
とても1万円には到達しません。
半分の5000円にも到達することは稀です。
にも関わらず,「1万円以上」という条件は,現実的ではありません。
さらに「500円の名刺でも使える」というコピーは,もはやウケ狙いの領域です。
100枚500円の名刺を1万円以上…名刺だけで2000枚も印刷しろ,とでも言うのでしょうか。
一度にそれだけ名刺を消費する状況は,ちょっと考えにくいものです。
つまり,やろうとしているマーケティング上のゴールが,ちぐはぐなのです。
2年以上買い物していない,ということは,データ上明らかでしょう。
しかも,平均客単価がどれくらいなのかも,データ上すぐにわかること。
にも関わらず「1万円以上」という条件は,「客単価アップ」と「離脱客の取り戻し」というマーケティング上の施策を一度に行おうとしていることになります。
これでは,うまくいくものもいきません。
まずは,「離脱客の取り戻し」の施策をして,顧客に戻ってもらってから,その人に「より高単価の発注」をしてもらうための施策をする,という2段階に分けるべきでしょう。
離脱客…といえば,かつての客かもしれません。
ですが,一定期間以上離脱したら,もはや「過去の客」ではなく,事実上の新規客も同然。
関係性は,ほぼ白紙状態です。
ならば…離脱客の取り戻しには,新規客と同等くらいのエネルギーを掛けて,実践しなければならないでしょう。
つまり,1万円以上…という条件など論外,ということです。
平均注文単価を調べた上で,最適なクーポンの価格や,最低利用金額などを検討すべきでしょう。
最後に。
安さが全て…というポジショニング「だけ」では,いつかは他所に抜かれます。
現に,私が今となっては使っていないように…。
そして,知り合いが,この会社を使っているのを聞く度に,
「そこよりもっと安い会社,知ってますよ」
と,口コミしてます。
なぜなら…その知り合いが「安いから」という理由で安くない会社を使っているのを放置したら…それは後ろめたいですから。
ポジショニングを変えない限り,この会社の未来は明るくはないでしょう。
あなたがよりアップスタッツな明日になりますように。
セールスコピーライター 飯山陽平
追伸
2〜3通りしか集客法を知らない。
このままではまずい…けれどどうしていいかわからない。
そんな方は一度こちらをご覧ください。