「マーダー」の一言に込められた意図

「マーダー」の一言に込められた意図

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※少々物騒な言葉が頻発します。自己責任でご覧ください。

2年ほど前でしょうか。
運転しながら、ある教材CDを聴いていました。

全米屈指コピーライターであり、「億万長者メーカー」と名高い、ダン・ケネディの、「レネゲイドミリオネア」というオーディオ教材です。

インタビュアーが、ダンに質問をして、ダンが答える、という方式で話が展開していきます。
もちろん、インタビュアーもダンも英語です。
CDは、逐次翻訳という形で、まず本人の肉声が流れ、すぐに翻訳の日本語が流れます。

ある時、インタビュアーが、こんな質問をしました。

「あなたは、無能な人たちに対してどのように対処すればいいのですか?」

直後に、ダンはぼそっと低い声で、
「マーダー?」
としゃべりました。

マーダー。
英語です。
スペルだと、
「murder」
です。

あまりの内容に、運転中だったのですが思わずハンドルが乱れてしまいました。
なぜなら、英語に疎い私でも、たまたま「マーダー」という単語の意味を知っていたからです。

そしてすぐに、逐次翻訳で、
「抹殺する」
と日本語が流れました。

そのまま、インタビュアーが、
「まあ実際に抹殺するわけにはいかないでしょう」
と話がつながっていきます。

ざっくりとまとめると、
「無能な人」
に迎合してしまうと、社会全体が悪循環に陥ってしまうので、少なくとも自分の会社だけでも無能な人には妥協なく排除すべき、というニュアンスです。

それを、一言で、
「マーダー?」
とダンは言ったのです。

さて、このマーダーの単語の意味。
それは、「殺人」「人を殺す」という意味です。

昔読んだ、サスペンス物に出てきた単語なので、たまたま覚えていました。

ですが、「抹殺」と訳されています。

殺人と、抹殺。
かなりニュアンスが異なるのはわかるでしょうか。

全く話が変わります。
マーケティングとかコピーライティングとは全然違う分野の勉強をしていた時のことです。
海外の書籍を翻訳されていたものを読んでいたのですが…読んでいてどうにもすっきりしません。
日本語の文章としては何か問題があるわけではありません。
意味の分からない用語がそこにあるわけでもありません。
ですが…読んでいて、どうにもすっきりせず、意味がつかめなかったのです。

そこで。
その書籍の原書を探してきて、該当箇所の英文を見てみました。
もちろん、英語が堪能ではないので、英語を見てもよくはわかりません。
ですが、なんとか該当箇所を探し当て、その箇所の単語を片っ端から辞書で調べて見ました。
その後に…もう一度、日本語訳を読んでみると、なんともすっきり理解できたのです。

繰り返しますが、英語が堪能ということではありません。
ですが、英語から直接受け取ったほうが、かえってわかりやすくなる時もあるようです。
言い換えると…翻訳によって、翻訳者の意図が混じることによって、本来の意味から離れてしまい、理解しにくく鳴ってしまうこともあり得るようです。

話を戻します。
先ほどの、ダン・ケネディの話です。

彼は、
「マーダー」
と言ったのです

「キル」
とは言わなかったのです。

キル…Kill。殺す、という意味です。
マーダーという単語は知らなくても、キルという単語を知っている人は多いでしょう。

ですが、マーダーとキルとは、微妙に意味が違います。
キルは、一般的に「殺す」という意味です。
一方、マーダーは、「【人を】殺す」時に限定して使います。

より、その【人を殺す】…それくらいの意図を込めて、ダン・ケネディは、無能な人に確固たる態度で臨む、という意思を示したかったのでしょう。

これも、
「マーダー」
という言葉の意味が分かればこそ、理解できた話です。

単純に、英語をそのまま理解できればいい、という話ではありません。
翻訳ですら、第三者の意図が混じって、本質から微妙にずれてしまう、という現象がある、ということなのです。

もちろん、誰もがダン・ケネディのような大御所から直接英語で学ぶことができる、ということは難しいでしょう。
ですが…翻訳や、「誰かの要約」によって、少しずつ少しずつ劣化コピーとなっている、ということなのです。

この劣化コピーの行く末が、改ざん、恣意的な解釈。
そして、某テロ組織が某宗教の聖典の教えを根拠にテロ活動へ…という話に発展、という可能性すらもありえるのです。

一度は…自分が学んでいるものは、本当にその人が伝えたい事なのだろうか。
疑ってかかる姿勢も大切かもしれません。

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