平成28年5月22日。
50年間続く、国民的人気、演芸バラエティ番組の「笑点」の司会者であった、桂歌丸師匠が勇退されました。
それこど、50年前の第1回からメンバーだった歌丸師匠の引退により…そして、6代目司会者として57歳の春風亭昇太師匠という、笑点メンバーの中でも若手の方が引き継いたことにより「若返り」の印象を受けました。
50年という非常に長い歴史がある番組でも、このように、時代の流れの中で、変わるべき時があるのだな、と実感です。
さて、この「時の流れ」の中で考えるべきこと。
それは、
「変わるべきもの」
と
「変えてはいけないもの」
というものです。
非常に逆説的ではありますが、今回の歌丸師匠の勇退は、
「変えるべきもの」
ではなかったからこそ、
「変えてよかった」
ものだと言えます。
体調面は一旦脇に置くとします。
歌丸師匠の芸や、司会者としての大喜利の進行は、笑点の象徴そのもの。
本来は変えてはいけないものです。
笑点の司会者として、視聴者から尊敬され、その提供する芸に価値が有る…言い換えると、惜しまれつつある状況において勇退したからこそ、
「引き際も素晴らしい」
と称賛されるのです。
逆に、変えなければならない人もいるでしょう。
面白くもなんともない答えを連発する人。
それ以上に、手を上げてから答えるまでの間に、回答内容を忘れてしまう、認知症の老人回答者。
彼は、テレビに出す以前の話です。
さて、笑点はあくまでも、一つの例です。
あなたはビジネスを初めてからどれくらい経つでしょうか。
その年月の中で、どれだけあなたのビジネスは変わったのでしょうか。
それとも変わらないのでしょうか。
これも、
「変えるべきもの」
と
「変えてはいけないもの」
があります。
単純に、ずっと同じビジネス「だけ」を繰り返しているならば、それは
「変えるべき」
でしょう。
今の時代の流れにおいて、同じビジネスをずっと繰り返しているだけでは、いずれコモディティ(大量消費財)化して劣化し、風化してきます。
ですが、変えてはいけないものもあるのです。
ご存じの方も多いでしょう。
テレビショッピングで有名な「ジャパネットたかた」。
元々は、長崎の佐世保にある、ただのカメラ屋でした。
ある時、ラジオに出演するきっかけがあり、そこでセールスしたところ、ほんの数分の間だったのに、たくさんのカメラが売れたのだとか。
そこから、ラジオショッピングが始まり、そしてテレビショッピング。
インターネット。
あとは、カタログやチラシ…。
結果として、今となっては
「マルチメディアミックス」
と称して、様々な媒体からプロモーションをしています。
そんなジャパネットの高田明前社長。
彼いわく、何年も前のインタビューにて、興味深いことを話していました。
今となってはラジオによる売上は、全体の5%以下しかないのだそうです。
だからといって、ラジオをやめてはいけないのだとか。
詳しい理由は話されてはいませんでしたが、ここではラジオショッピングが
「変えてはいけない(やめてはいけない)もの」
のようです。
しかし…ラジオに固執していたら、今のジャパネットは存在しなかったかも知れません。
だからこそ、
「変えるべきもの」
として、変え続けた結果、「マルチメディアミックス」というプロモーション戦略になり、テレビ、ネット、チラシ…などと進んでいったのでしょう。
全米屈指のコピーライターにして、マーケティングコンサルタントの、ダン・ケネディ。
彼は、レネゲイドミリオネア(非常識な億万長者)と題する講演の中で、
「レネゲイドミリオネアは、1年前と比べて何も変わっていなかったら、それは問題である」
といった趣旨のことを言っています。
本当に、レネゲイドミリオネアと呼べるようなレベルの人であれば、1年もしないうちに、どんどん何かを変えていくのでしょう。
レネゲイドミリオネア…とは言わなくとも、やはり
「同じこと」
だけをずっと繰り返していては、淘汰されていきます。
3年も5年も、ずっと同じビジネスだけを繰り返していくのであれば、時代に取り残されるでしょう。
例えば。
有名な例を出します。
かつてのアメリカの鉄道会社。
その鉄道会社は、自社を「鉄道会社」と捉えていました。
だから、トラックが運輸業界に台頭して来た時に、対応できずに淘汰されていきました。
仮に、そこで自社を
「鉄道会社ではなく、人や物を運ぶ流通会社である」
と捉えたとしたら、逆にトラック輸送に進出して、生き残ることができたかもしれません。
市場に注意を払ってください。
顧客の声に耳を傾けてください。
自社の大切な要素は残しつつ、改良できるものは改良していってください。
「ここ5年くらい、ずっと何も変わっていないなぁ…」
と思う方は、特にです。
ただ、自社のアイデンティティたる、
「理念」
の根本は変えてはいけないのです。
もちろん、進化させ、発展させる必要はあります。
ただ…元々の起業やそのビジネスの思いそのものは変えてはいけません。
もし、笑点が
「演芸バラエティ」
というアイデンティティを捨ててドキュメンタリーに走ったら…50年も続かなかったでしょう。
<予告>
6月29日(水)13時30分〜16時30分
東京から書籍を執筆した、あの東証一部上場のコンサルティング会社、船井総研出身のコンサルタントを札幌に招いて、出版記念セミナーまた読書会等を企画しています。
参加者にとって最大の価値を得てもらうために、読書会がいいのか、それともセミナーがいいのか。
内容はまだ検討をしています。
ですので、まずは、この日時を空けておいてください。
なお、開催場所はこちら。
札幌貸し会議室まなBiz
http://mana-biz.jp/?page_id=