数年前のことです。
腰痛を患って、苦労していた時のことです。
ある施術を受けました。
施術は強めにやってもらうのが好きなので、3回ほど、その治療家に
「もっと強くお願いします」
と言ったのですが変わらず…少々ガッカリしながら家に帰りました。
それから5日ほど経った、ある瞬間。
腰をかばうしぐさをした時に、やっと気付きました。
腰痛がひどくて、その治療家から施術を受けてから5日間、まったく腰痛の症状が出ていなかったのです。
ちょっと想像してみてください。
あなたにとって「当たり前」の状態は何でしょうか。
例えば、空気。
「当たり前」のように呼吸しています。
この呼吸している状態を意識する時とはどういう時でしょうか。
泳いでいる時かもしれません。
あるいは、風邪を引いて、咳が止まらず苦しい時かもしれません。
登山をする人は…もしかしたら、高山病を体験した時かもしれません。
私は、香りに対するアレルギーがあるので、百貨店の1階に進入するときは、いつも呼吸を止めて我慢しているので、その都度苦しい思いをします。
余談ですが、百貨店の1階といえば、キツイ香りのする化粧品と、宝飾品が定番です。
理由としては、きつい香りと、宝飾品の反射による煌めきで、ある種の催眠状態にしてしまい…別の言い方をすると、正常な思考能力を低下させることで、財布の紐をゆるくさせることが理由なのだそうです。
…人から聞いた話なので、本当のところはわかりません。
話を戻します。
呼吸に関して何らかの「事情」がない限り、呼吸を意識することはないでしょう。
もう一つ別の例を紹介します。
歯が痛くて痛くて夜も眠れない。
そんな体験をしたことがあるかもしれません。
そんな折に歯科医に行きます。
適切な処置の結果、歯の痛みは収まります。
歯の痛みが収まってから、数時間経った後、
「あ、今は歯が痛くない」
と思うことはあるでしょうか。
よく言われることですが、人間は
「ない」
ことを直接的に想像できない、と言われます。
よくある例として、
「紫色のゾウを想像しないで下さい」
と言われて、想像しない人はいません。
まず紫色のゾウを想像してから、そのゾウのイメージを消す、という工程になるので、どうしても想像してしまうのです。
同じように、
「歯が痛い時を想像しないで下さい」
と言われても、どうしても歯が痛い時を想像してしまうのです。
反対に。
「歯が痛くない時を想像して下さい」
と言われても、はじめに歯が痛い時を想像してから、次に痛くない時を想像します。
ダイレクトに歯が痛くない時を想像することはできないのです。
人は、想像できないことに対して感謝の念を感じることはできるのでしょうか。
「ありがとう」の反対語は「当たり前」だと言われます。
なぜなら、「ありがとう」は「有り難い」…めったにないという言葉だからです。
めったにないことに対する反対語が「当たり前」となるのです。
何かが痛くない時のことを直接想像することはできないのです。
同じように、何か問題がない時のことは、想像できないのです。
冒頭の腰痛の話に戻ります。
本来、人の体は健康であることが「デフォルト(初期設定)」のはずです。
つまり、腰が痛くないことが当たり前なのです。
むしろ、腰が痛い時のほうが異常なのです。
腰がいたいという異常事態から、腰が痛くないという「当たり前」の状態に移行したとき…その変化は極めて気づきにくいものになります。
実際、私は5日間気付きませんでした。
そして、5日間腰痛の症状が出ていなかった事に気がついて…はじめて、その治療家に感謝の念を抱いたのです。
マーケティングにおいて、
「5日後」
は、ある意味遅すぎます。
なぜなら、帰るときは「腰が痛くない」という「当たり前」の状態すなわち感謝の念を抱かない状態です。
それでは次回予約の取り付けはおぼつかなくなります。
後から電話して
「次回予約はどうしますか?」
と聴くのは大変です。
だからこそ、
「マーケティングシステム」
が必要なのです。
例えば、再来店を流すシステムとして、サンキューレターと呼ばれるものがあります。
来院後に、はがきを書いて送ります。そのはがきを見ることで、その時点で症状の違いを意識することができます。
その結果、
「あ、気づかなかったけど良くなっている」
となるのです。
その時点で、「当たり前」ではなかった、と気付いてもらうことができます。
あなたの提供する商品やサービスは、素晴らしい価値があります。
ただ…その価値は気付いてもらえなければ、意味はないのです。
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