こうやって囲い込みをする

こうやって囲い込みをする

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私の記憶が正しければ,平成15年の年初くらいだったかと思います。
平成13年に司法書士試験に合格したものの,試験勉強の無理が祟り,入院手術リハビリ,そして自宅療養。
合格者向けの集合研修に参加出来ませんでした。
仕方がないので翌年度に参加。それが平成15年の年初の話です。

研修会場では,東日本の司法書士試験合格者が何百人も集まっていました。
人がそれだけ集まる…ということは,大きな商談の場にもなります。
様々なブースが出展していました。

例えば,司法書士用業務ソフト。
例えば,業務用のドットプリンター(今時ドットプリンターを使う業種はどれだけあるのでしょうか…)

各種印鑑,司法書士向けの様々なスタンプやゴム印。
業務用の書籍や加除式図書。
そして,印刷業者。
特に,いわゆる登記済権利証の表紙の展示品が並んでいました。

登記獅子別情報の表紙。 昔で言うところの登記済権利証。

登記識別情報の表紙。
昔で言うところの登記済権利証。

この印刷業者が,実に上手い手法を展開していました。
それは,
「新規独立開業セット予約」
といった感じのものです。
正式な名称は10年以上前のことなので覚えていません。大体こんな感じです。

そのブース【限定】で仮申込書を記入しておきます。
何年経った後であっても,独立開業する旨の連絡をすれば,封筒や名刺,登記済証の表紙等を,安く名入れ(事務所名の印刷)をして納品するというもの。

ここでのポイント。
それは「何年経っても」というものです。
5年後だろうが10年後だろうが,こちらから連絡すれば,開業パック価格での提供というものです。
司法書士事務所を開業しようとするに当たって,通常は初めてのことです。
そもそも何が必要かも分かりません。
また,開業時はお金もないので,それぞれを少量の格安価格で注文できる,という点もメリットがあります。

もちろん,その仮申込み自体は,あくまでも仮申込みです。
その場でお金を払うわけでもありません。
仮申込みする者にとって,リスクもデメリットもありません。

では,例によって,突然ですがここで問題です。
この業者側に獲ってはどんなメリットがあるでしょうか。
言うまでもなく,将来の売上確保…ということがまず1点挙げられます。
では,他に何があるでしょうか。
考えてみて下さい。

それが,今日のタイトルである「囲い込み」です。
この開業パックを買えば,それが無くなった時に追加注文をしてもらえます。
競合に流れることなく,自社の顧客として確保しておくことができるのです。

では,顧客の囲い込みにおいて注意すべきことは何でしょうか。
ここでも考えてみてください。
正解かどうかではなく,自分の頭で考えてみることが大事です。
私なりの見解をこの後書きます。ですが,それがあなたにとって正しいかどうかはまた別です。
「自分だったら~のようにする」
と思うのであれば,その方がいいかもしれません。
繰り返しますが,大切なのは自分で考えることです。

さて,話を戻します。
私自身も,しばらくはこの印刷業者に発注していました。
ですが,あるとき何となくネットで検索してみました。
そこで発覚した事実があります。
その業者の印刷物は,非常に高かったのです。
しかも,開業パックで買ったものの中で,当たり前のように追加注文して使っていたものがあり…。
冷静に考えてみれば,それは別に必要ないものだ,と思うものもいくつかありました。

そこで,ネットで検索した,もっと価格の安い…別の業者に発注しました。

先日,久々に新しいカタログが送られてきました。
開封することなく,処分しました。

では,この最初の印刷業者は,なぜ囲い込みに失敗したのでしょうか。

それは,単に他より高かったことが決め手ではありません。
何かいやなことを言われたりされたりということでもありません。
品質が劣るということもありません。

価格というものは重要な要素です。
ですが,それが1番の要素ということでもありません。
あえて言うならば,
「余所のもっと安いところに乗り換える」
ことを妨げる理由が何もなかったからです。

つまり,その元の印刷業者にロイヤリティ(顧客としての忠誠心)を感じることは何もなかったのです。
だから,
「なんだよ,ここは実はぼったくりだったんじゃないか」
と思って余所の安いところにしただけの話です。

この印刷会社が考えた,仕組み自体は大したものです。
ただ…そこに心が,気持ちが,感情が感じられませんでした。
ならば…安いところに流れたところで罪悪感を抱くことなど無かった,ということです。

全米屈指のコピーライターにして,億万長者メーカーと呼ばれるダン・ケネディは,囲い込みに関して
「顧客を囲いから出さないようにするのではなく,出る気が無くなるようにしなさい」
といった趣旨のことを述べています。

その手段の一つが,ロイヤリティの醸成でしょう。
日頃から人間関係を構築しておく…メルマガやニュースレターを送る等,できることはあります。
人間関係は一朝一夕では構築できません。
日頃の積み重ねがものを言うのです。

あなたがよりアップスタッツな明日になりますように。
飯山陽平

追伸
他に具体的に何をどうしたらいいかわからなければ…こちらのワークショップで一緒に考えましょう。
 

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