新聞を手にとって…思わず目を疑いました。
寝ぼけているのか…と思ったのですが、意識は正常だったようです。たぶん。
意識も目の正常なのに、異常を感じたヘッドライン(見出し)はこちら。
「女性柔道整復師が整骨院開業」
あなたは、このヘッドラインを見て、どう感じたでしょうか。
私は、
「何でこれが記事になるの?」
「意味がわからない」
と混乱したのです。
札幌中心街を車で走れば信号1つ分の間に、整骨院など1〜2件はザラ…と言えばさすがに言い過ぎです。
とはいえ、整骨院など珍しくもなんともありません。
にも関わらず、新聞のトップの見出しを飾り…実際に記事を見てみると、1ページの6分の1くらいのスペースを割いて、写真つきで掲載されていました。
広告ではなく、記事です。
マスコミ…といえば、一部による偏重報道で評判を落として入るものの、一応建前としては「公益性」という前提での報道になります。
PR(パブリック・リレーションズ)の基本は、この公益性を逸脱しないことです。
単なる宣伝であれば、
「掲載料を払って広告を出してください」
と言われるのがオチ。
…のはずでした。
にも関わらず、なぜ女性柔道整復師の開業などという、ありふれた、営利性の強い出来事が報道されるのでしょうか。
話は変わります。
似たような出来事を私自身も体験しました。
数年前、とある方とコラボしてセミナーを開催した時のことです。
WEB集客に関する基本的な内容です。
私はWEBには強くないので、コピーライティングの基本を解説し、コラボ相手の方に、オンラインについて解説してもらいました。
さて、この勉強会を開催するにあたって、集客についていろいろ行いました。
その時に、そのコラボ相手の方が、知り合いに新聞記者がいるとのことで、その人にPRしたそうです。
その結果、2社取材に訪れました。そして1社で採用され、記事になりました。
この時も、今回と同じように、酷く驚いたのを覚えています。
なぜなら、集客に関する勉強会など、日本各地で毎日どこででも開催されている…とまで言ってしまうと言い過ぎですが、珍しくもなんともない話です。
ですが、実際にPRとして採用され、記事になりました。
この出来事について、意識も目も正常なのに、異常を感じたのであれば、おかしいのは思考です。
思い込みと先入観から、私の中では
「おかしい」
と思い至ったものの、実際にはおかしくなかった…から記事になったのです。
もう一度PRについて考えてみましょう。
上述の通り、読者の役に立つ…という側面は必要です。
だからといって、整骨院開業は、ただの宣伝です。
公益性ではなく、ただの営利性です。
そこで、PRに必要な別の側面まで考えてみると…
それは、話題性・意外性・希少性といったものです。
ありふれたものは記事にはなりません。
ですが、珍しいものは記事になります。
これはマスコミという性質上さけて通れないところですが、おかしいところや異常なところに焦点が行きがちです。
どこかの都知事がまじめに仕事をしていれば、それが当たり前ですので報道はされません。
ですが、私的流用などあれば、それは当たり前ではないので、報道されるのです。
この話題性や意外性、希少性…という側面で考えたとしても、整骨院開業など珍しくもなんともない…としか私は思えませんでした。
結局のところ、何でこれが記事になったのかはわかりません。
推測の範囲ですが、記事を読む限りでは、女性の柔道整復師は珍しいのだとか。
10人に1人くらいの割合なのだそうです。
それでも柔道整復師自体はめずらしくなく、10人に1人「も」いるのですから、ありふれた話です。
ですが、この地域密着媒体においては、
「珍しい」
ことだと判断したようです。
私のセミナーも、きっと田舎のこの次元では珍しかったのでしょう。
記事を東京の知人などに見せると非常に驚かれます。
驚く理由は私と同じ。
「なんでこれが記事になるの?」
というものです。
私自身も、関東出身で、競争の激しい環境に身を置いた経験があります。
結果として、思い込みと先入観で「珍しくもなんともない」という思考に行き着いてしまいます。
ですが、
「珍しくもなんともない」
と、誰が判断するのでしょうか。
私ではなく、記者でありマスコミ側であり、読者です。
結論としては、思い込みや先入観など脇において、行動する大切さを実感しました。
かつて私の開催した勉強会では、コラボのパートナーが行動してくれたので記事になったのです。
この女性柔道整復師も、誰かしらが行動したから、記事になったのでしょう。
個人的には、
「女性だから珍しいから」
という理由であれば、ある意味性差別(女性優遇、男性蔑視という意味合いです)に近いものを感じます。
ですが、それを判断するのは私ではない、ということです。
知識を身につけると、失敗は減るかもしれません。
ですが、知れば知るほど行動量が減ります。
なぜなら、「うまくいかない原因があらかじめわかる」ようになるからです。
でも、本当にうまくいかないかどうかなど、行動してみるまではわからないものです。
なんでこれが記事になるのか。
納得はいかなくとも、目の前ですでに記事なっているのです。
行動した女性柔道整復師の勝利、でしょう。
結果を変えるには原因を変えるしかありません。
どれだけ高度なマーケティング知識を身につけても、行動しなければ何も変わらないのです。
あなたがよりアップスタッツな明日になりますように。
飯山陽平