奥様から依頼を受け,司法書士として出張法律相談に行ってきたときのことです。
ご主人が不在だったので,奥様相手にいろいろとアドバイスしたところ,手続きの依頼をしたいということになりました。
ですが,当事者の1人がご主人。
ということで,在宅時にもう一度訪問したところ,
「あんた誰だよ」
という感じです。
本人確認が必要なので,丁寧に名乗った上で
「お名前教えていただけますか?」
と尋ねても,
「なんでアンタに教えなければならないんだよ」
と,極めて敵対的です。
奥様が必死になだめて,手続きの必要性を説明しても,
「税金なんかはらわなきゃいいんだよ」
「税金を取るほうが悪い」
とか支離滅裂。
最後には,
「どうせお前も,上前をはねていこうとする一人なんだろ,さっさと帰れ」
と言われたので,奥様から出張相談料を受け取って,さっさと帰って来ました。
私としては,名乗ってから正座してずっと待っていただけですが,奥様とのやり取りで言っていることが二転三転して,埒が明かない様子。
強情で意地っぱりな人なのかもしれません。
最後に奥様から,
「じゃあ,(ご主人が)死ねばいいのですか?」
と訊いてきました。
実際,この人が亡くなれば全てが丸く収まることは確かなので,
「そうですね」
と答えたところ,その人に対して
「自殺すればいいのに…」
とのことでした。
50年以上連れ添った妻から死を望まれるなんて,なんとも晩節を汚す人生なんだろうか…としみじみ実感です。
さて,法的な話としては,意思確認とか本人確認とかの問題はあります。
ですが,それは全部脇に置きます。
違法なことは当然ダメですが,合法であっても,ここで絶対にやってはいけないことがあります。
それは,ここでご主人をなだめようとしたり,説得することです。
士業というのは,
「お願いします」
と言われて初めて
「わかりました」
と言うのが仕事です。
お願いします…と言われるまでは,絶対にこちらから物欲しそうにしたり頼み込んだりしてはいけません。
どれだけ売上が欲しくでも,文字通り「武士は食わねど高楊枝」なのです。
これは,士業のセールス心構えとじて当然です。
ですが,最近では士業だけではなく,ありとあらゆる業種も,こうあるべきではないか,と思うようになりました。
具体的には,
「お願いします」
と言われて初めて
「わかりました」
です。
なぜか。
先程の例はわかりやすいので紹介します。
仮にご主人を説得したとしても,言っていることが二転三転します。
ですので,向こうから
「お願いします」
と言ったとしても,後から
「そんなことは言っていない」
と言われたらどうなるでしょうか。
「意思確認できないのに手続きをした」
ともなれば,司法書士の資格剥奪でしょう。
もちろん,証拠を揃えて反論もできますが…
「そんな事態に対応すること」
そのものが馬鹿らしいし時間もお金も労力も気力も無駄になります。
このように,感情的に敵対的な状態で,依頼をうけるようなマネは当然にダメだとして,仮に一旦収まったように見えたとしても,そんな人は絶対に相手にしてはいけないのです。
世の中,あなたの力を必要としている人はたくさんいます。
仮に,あなたのことを必要としている人が100人いたとして…このように,敵対的な振る舞いをする人を相手にしたら,あなたの気力や労力といったものは,どれだけ浪費してしまうでしょうか。
極端な話,その1人を相手にするだけで,他のあなたのことを尊敬して,あなたのに依頼したいというロイヤリティが高い見込み客100人を切り捨てることになりかねません。
それは,あまりにも愚かで,他の100人に対して失礼な話です。
スキルやテクニック,考え方が身についてくると,自信がつきます。
自信がつくと,セルフイメージも自尊心も上がります。
すると…油断すると,慢心につながります。
慢心とは,
「ちょっとむずかしい商談を成功させてみたい」
という冒険心です。
その行き着く先が,敵対的な人を説得して,関係性を構築して…というチャレンジです。
ですが,それはあまりにも愚かな選択という他ないでしょう。
そのような人には一切売ってはいけないし,相手にしてもいけません。
丁重にお断りして,ブラックリストに登録し,二度と相手にしないことです。
敵対的で愚かな人を相手にすることがやめましょう…ということではありません。
敵対的で愚かな人を相手にすることで,あなたが一番大切にすべき方に,大きな不利益を与える可能性がある,ということなのです。
あなたにとって大切な人のために,あなたの時間を使ってください。
やりがいや売上のために,敵対的な人を説得しようとしてはいけません。
あなたがよりアップスタッツな明日になりますように。
セールスコピーライター 飯山陽平
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