リピートシステムを構築することとは

リピートシステムを構築することとは

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先日のことです。
毎度お世話になっている、東横インの客室に、こんな案内がありました。
東横インレター
コピーライティング的に、このコピーが優れているかどうかはさておき。
今日は、この「システム」について、いろいろと掘り下げていきます。

重要な点は「システム」です。
システムの一つのパーツとして、このコピーが活躍します。
つまり、コピーがどれだけ優れているかどうかは、一旦脇においても構わないのです。

同じ会員システムとして比較すると、例えばアパホテル。
アパホテルは、会員に入会すると会員カードが発行されます。
そのカードを提示することで、チェックイン時に、宿泊カードに記入しなくても済みます。

さて、この宿泊カードへの記入省略は、宿泊者にとって、どれだけ魅力的でしょうか。

一方、東横イン。
(1)東横インの会員カードは、1泊する度に会員割引として5%オフになります。
(2)10泊すると、1泊無料となります。

東横インの「システム」として、上手いと思うのはこの2つの特典です。

ちょっと考えてみてください。
10泊すれば1泊無料。
10泊分のポイントを貯めれば1泊無料ですので、仮に1泊6500円だった場合、ポイント1つにつき650円分、ということになります。
ポイントカードで考えると、10個スタンプを貯めないといけません。
なかなか10個貯めるのも大変です。
単純に割り算で考えて1つ650円という計算はできても、10個貯めなければそのメリットを享受できない以上…その場で直感的に得られる「お得感」は薄くなります。

だからこそ、
「5%オフ」
という、その場で感じられるベネフィットを提供しているのです。

つまり、
(1)のその場で5%オフ、というベネフィットが、会員登録を促す仕掛けになります。
そして、(2)で、カードを保持し続ける仕掛けとなるのです。

このシステムを更に強化する目的で、上記写真のようなコピーが活きてくるのです。

もしかしたら、荷物が多くて大変だったかもしれません。
フロントが非常に混雑していて、うんざりしていたかもしれません。
あるいは、疲れていて、まずは部屋で一息つきたいかもしれません。

5%オフ、というベネフィットがあったとしても、
「ま、いいや」
と会員登録をしなかった時に、このコピーが活きてくるのです。

カードさえ持ち続ければ、ポイントを貯める仕組みが出来上がります。
これで、リピートシステムの完成です。

東横インの、さらに上手いところが、この会員割引の差。
日曜日夜など、比較的宿泊数が少ない日は、割引率が20%になります。
また、東(とお)横インに掛けているのでしょうか。毎月10日も、10%オフです。

つまり…意外と、貯めたポイントを使う機会がありません。

私の場合、日曜夜に泊まることが多いのですが、日曜夜は20%オフ。
そんな日に「1泊分の料金」と引き換えに、ポイントを使ってしまうのはもったいないもの。

ついポイントを温存しがちです。
使おうと思ったその日に、フロント係りから、
「ポイントと引き換えにご宿泊できますが、今日は10日で、特別割引の日です。ポイントを使ったらもったいないのではないですか?」
とのご案内を頂きました。

そんなこんなで、気がつけばポイントが貯まり、昨日で49ポイント。

あと1泊すれば、5泊分が無料になるのです。
5泊分無料のポイントカードを、手放すことがあるでしょうか。

前出のアパホテル。
一度会員登録したものの、会員カードを紛失。
2回目泊まった時に、
「会員カードは有りますか?」
と聞かれ、なくしたというのもどうかと思うので、
「忘れました」
と回答。
…それっきりです。

家に帰った後、アパホテルの会員カードを見つけましたが…その後二度と財布に入れることはありませんでした。

これが、システムの力です。
最終的にポイントを貯めて、財布から出さないような仕組みを整えること。
これが、リピートシステムというものです。

最後に。
だいぶ昔に読んだことがある記事なので,記憶は少々不確かです。
東横インでは,ホテルに来たお客様にホッと一息ついてもらう為に,女性スタッフを多く登用しています。
実際,ホテルには行ったときの第一声が,
「お帰りなさいませ」
です。

そんな雰囲気を演出している東横イン。
このコピーも,印刷した無機質なものではなく,いかにも女性が手書きで書いたような雰囲気です。
この「一貫性」が,ひとつの強みではないでしょうか。

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